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こども家庭庁とは?役割と設置の背景をわかりやすく解説

投稿日2023.2.6
最終更新日2023.05.02

2023年4月に発足したこども家庭庁とは、どのような役割が期待されているのでしょうか?

この記事では、以下について紹介していきます。

  • こども家庭庁とは?
  • こども家庭庁が創設された背景
  • こども家庭庁の政策の柱・組織の役割
  • こども家庭庁の抱える課題

本記事がお役に立てば幸いです。

1、こども家庭庁とは?

こども家庭庁とは、子どもの育成を支援するための政府施策をまとめ、効果的に展開する組織で2023年4月に発足しました。

こども家庭庁は、内閣府の外局に設置され、子ども政策担当の内閣府特命担当大臣を置くこととなります。そのため、各省庁などに子ども政策の改善を求めることができる「勧告権」を持てるようになり、各部の統一を測りやすくなります。

また、内閣府の子ども・子育て本部や、厚生労働省の子ども家庭局がこども家庭庁に移管され、300人規模の職員が配属されました

こども家庭庁とは?

2、こども家庭庁が創設された背景は?

日本は、こどもに関する様々な社会問題を抱えています。

そこで政府は、こどものことを専門で取り組む行政組織が必要であると考え、こども家庭庁を創設しました。

(1)こども家庭庁が創設された背景①少子化問題

少子化問題
引用:令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況

2021年3月時点で、日本では出生数が前年より2万9231人減少し、81万1604人と過去最少を記録しています。

こども家庭庁は、少子化という日本の深刻な社会問題を解決するミッションを抱えています。

(2)こども家庭庁が創設された背景②児童虐待・ネグレクト(育児放棄)問題

児童虐待・ネグレクト(育児放棄)問題
引用:令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)

児童虐待やネグレクト(育児放棄)の問題も増加傾向にあります。

新型コロナウイルス蔓延の影響でストレスの溜まりやすい環境となり、親からの児童虐待・ネグレクト(育児放棄)が増えています。さらに、人と会えない環境となり、周囲の人が問題に気づきにくい状況になっていることも問題の1つです。

(3)こども家庭庁が創設された背景③幸福度の低さ

幸福度の低さ
引用:子どもたちに影響する世界

ユニセフのこどもの幸福度調査では、日本は「身体的健康」の項目で1位ですが、「精神的幸福度」と「スキル」の項目が低い数値となっています。

安全性が高く、医療・保健制度も整っている日本は「身体的健康」の数値は高くなりました。しかし、自殺率が高く「精神的な幸福度」が低いことが問題として挙げられます。

3、こども家庭庁の政策の柱・組織の役割

こども家庭庁の政策の柱・組織の役割

こども家庭庁では、以下の3つを政策の柱としています。

①結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会を目指す
②全てのこどもに、健やかで安全・安心に成長できる環境を提供する
③成育環境にかかわらず、誰一人取り残すことなく健やかな成長を保障する

この政策の柱をもとに、以下の3つの部門を立ち上げました。

(1)成育部門

成育部門では以下の内容を扱います。

  • 妊娠・出産の支援、母子保健、成育医療等
  • 就学前の全てのこどもの育ちの保障
  • 相談対応や情報提供の充実、全てのこどもの居場所づくり
  • こどもの安全

子どもの出産・成長を支援する「成育部門」では、文部科学省と協議して、幼稚園・保育所・認定こども園の教育内容の基準を策定する予定です。

(2)支援部門

支援部門では以下の内容を扱います。

  • 様々な困難を抱えるこどもや家庭に対する年齢や制度の壁を克服した切れ目ない包括的支援
  • 社会的養護の充実及び自立支援
  • こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援
  • 障害児支援

困難を抱える子どもや家庭の支援にあたる「支援部門」では、家族の世話を日常的に行っているこども・ヤングケアラーの早期把握にも努めます。

(3)企画立案・総合調整部門

企画立案・総合調整部門では以下の内容を扱います。

  • こどもの視点に立った政策の企画立案・総合調整
  • 必要な支援を必要な人に届けるための情報発信や広報等

全体をとりまとめる「企画立案・総合調整部門」では、今まで各府省庁が別々に行ってきた子どもに関する政策を一元管理します。また、デジタル庁と連携しデータベースの整理も行う予定です。

4、こども家庭庁の抱える課題は?

こども家庭庁の抱える課題は?
こども家庭庁では、以下の問題を抱えています。

(1)課題①幼保一元化の対応

以前から課題といわれていた幼保一元化の問題は見送られました。

幼保一元化とは、文部科学省が所管する「幼」稚園と、厚生労働省が所管する「保」育所を一本化することで、幼稚園と保育所の抱える問題点を解決しようとする政策のことです。

こども家庭庁は、各省庁に対して勧告する権限がありますが強制力はありません。そのため、全てのこどもを抜け落ちることなく支援をする、というこども家庭庁の目標を、縦割り行政のまま果たせるのかどうかが課題として挙げられます。

(2)課題②財源の確保

現時点ではこども予算の増額に向けた議論が続いてます。安定した財源を確保するための議論が今後も引き続き実施されるでしょう。

まとめ

今回はこども家庭庁について解説しました。

こどもに関する日本の課題は多く残っているため、今後の動きをぜひチェックしておきましょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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