政治ドットコムその他沖縄県の米軍基地とは?政府見解から普天間基地移設問題まで簡単解説

沖縄県の米軍基地とは?政府見解から普天間基地移設問題まで簡単解説

投稿日2021.6.1
最終更新日2021.07.01
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

沖縄県の米軍基地とは、沖縄県に配置されているアメリカ軍の基地を指します。
沖縄県には米軍基地が集中しており、米軍による県民への影響が度々問題視されています。

今回の記事では、

  • 沖縄県にある米軍基地の概要
  • 歴史的経緯と政府見解
  • 日米地位協定の概要
  • 普天間基地移設問題

などについて、わかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、沖縄県の米軍基地とは?

沖縄県の米軍基地とは、日本と米国および国際社会の平和を維持する目的で、沖縄県に置かれている米軍の基地を指します。 

2021年現在、県内には31の米軍施設があり、その総面積は沖縄県本島の約15%です。その規模は東京23区の13区分、約半分にあたるようです。

沖縄県 米軍基地画像出典:第2章米軍基地の現状と日米地位協定

また、施設周辺にある、

  • 水域:約5.4平方キロメートル
  • 空域:約9.5平方キロメートル

は訓練場として利用されています。

参考:沖縄から伝えたい。米軍基地の話。Q&ABook|沖縄県

2、沖縄県の米軍基地の歴史的経緯

沖縄県に米軍基地が置かれた背景には

  • 米軍統治による沖縄米軍基地の形成
  • 日本への返還

という沖縄県の歴史が関係しています。
その流れについて、みていきましょう。

(1)米軍統治による沖縄米軍基地の形成

沖縄県に米軍の基地がつくられたのは、1945年4月に、米軍が沖縄本島に上陸したことがきっかけです。

米軍は民間地を制圧しながら基地を作り、終戦後も国際情勢の変化に伴って、基地を拡大していきました。

1952年には、サンフランシスコ講和条約によって、日本は独立国として主権を回復したものの、沖縄県は本土から法的に分断。

翌年の1953年には、土地の強制収用手続きを定めた「土地収用令」が米国政府によって発令されました。

これにより、那覇市の安謝、宜野湾市の伊佐浜などで、武装兵が強制的に土地を取り上げ、続々と基地建設に着手していきました。

このような米国よる強行を受けて、琉球政府は1955年5月、米国政府に「土地を守る4原則」を要請。

民間でも、抗議運動が次々と展開されていったのです。
そして、沖縄県の返還問題は、世界から関心を集めるようになっていきました。

(2)日本への返還

沖縄県が日本に返還されたのは、1972年のことです。 

当時の佐藤首相とニクソン大統領との会談により、約27年間の米国による統治に終止符が打たれ、日本に返還されました。

しかし、返還後も多くの米軍基地は、そのまま引き継がれることになりました。
2021年現在も、県土の約8%、本島の約15%を米軍基地が占める状態です。

3、沖縄県に米軍基地が集中する理由について

それでは、なぜ日本に返還されたにも関わらず、沖縄県には米軍基地が集中しているのでしょうか。

この章では、

  • 日本に米軍基地が存在する理由
  • 沖縄県の米軍基地に対する政府の見解
  • 沖縄県の米軍基地の反対論

について、以下にみていきましょう。

(1)日本に米軍基地が存在する理由

日本に米軍基地がある理由は、「日米安全保障条約」が関係しています。 

日米安全保障条約とは、1951年にサンフランシスコ平和条約の調印と同じ日に、日米間で締結された条約です。 

当時の安保理条約の内容は、主権回復の代償として、占領下に引き続き、米軍基地を日本国内に存続させるものでした。

また、米国による日本の防衛義務は定められていませんでした。
これを問題視した岸信介内閣総理大臣は、1960年に、旧条約を日本防衛の義務を課したものに改定します。

以来、日本の外交・安全保障の基軸として、2021年現在も、日本は米軍へ基地を提供しているのです。 

沖縄県以外にも、

  • 青森県
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 山口県
  • 長崎県

の5つの都道府県に、米軍基地が配置されています。

米国防衛省の2018年米会計年度の「基地構造報告書」によると、米国が外国に展開する基地は45ヶ国、合計514施設でした。

最も多いのがドイツで194、次いで日本が121、韓国が83と続いています。

参考:海外米基地、10年で247減 在日米軍は3減どまり 海兵隊、沖縄に集中|琉球新報

(2)沖縄県の米軍基地に対する政府の見解

政府では、米軍基地の存在を、平和維持のための抑止力と捉え、「米国の軍事力を活用することで日本の安全が確保されている」との見解を示しています。

日本は、エネルギーのほとんどを輸入に頼っており、その輸入の多くは、沖縄県周辺を通過します。

もし、朝鮮半島や台湾海峡などで紛争が起これば、輸入品の多くを安全に確保できない可能性があるのです。

そういうた不測の事態に備えるためにも、アメリカの軍事的な体制が必要であると言えます。
また、沖縄県の位置は、日本のシーレーン(海上交通路)に近く、安全保障上とても重要な地域です。

そのため沖縄県は、戦略的にも軍事的にも、非常に重要な場所であると言われています。

こうした背景を踏まえて、「沖縄県に米軍を駐留させることは、日本のみならずアジアの平和と安定の維持への貢献につながる」という見解を出しているのです。

参考:「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」|防衛省

(3)沖縄県の米軍基地への反対論

一方、沖縄県の米軍基地の存在に対して、反対を主張する人もいます。

その主張の内容としては、

  • 沖縄県に多く米軍基地を集中させるのは憲法の公平平等に反する
  • 日本の警察による米兵の身柄確保が困難である
  • 実質的に軍地衝突の引き金にもなりかねない

などといったものです。

たとえば、1995年に起こった「沖縄米兵少女暴行事件」では、犯行に及んだ米兵の容疑者たちの身柄を、日本の警察は拘束できませんでした。

こうした事件を根拠に、「日米関係は現在も対等ではない」とする批判の声もあがっています。

4、日米地位協定について

「日米地位協定」は、日米安全保障条約に基づき、1960年に、日米行政協定の全面改定が行われた協定です。

在日米軍における、

  • 地位
  • 権利
  • 施設・区域の使い方

などについて定めています。

基礎となる日米安全保障条約第6条の内容は、以下の通りです。 

「第6条

日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」

引用:日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約

この第6条では、

  • 米軍が日本を守る代わりに、日本による、米軍基地の建設費や維持費の負担
  • 米軍の兵士への、原則日本の法律が及ばないという特権

について、保証しているのです。 

日米地位協定は、全部で28条あり、

  • 在日米軍への基地の提供
  • 在日米軍兵士の訓練や行動範囲
  • 日本国内の租税などに対する優遇措置
  • 刑事・民事裁判権に対する特権

などについて記載しています。 

日米地位協定は、1960年に結ばれてから現在まで、一度も改定されていません。

しかし昨今では、

  • 米軍の基地使用の在り方
  • 米兵による犯罪行為
  • 環境汚染

など、さまざまな問題点が指摘されているようです。 

参考:日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約

5、普天間基地移設問題について

最後に、昨今話題にあがっている辺野古新基地建設問題について、どのような議論がなされているのかみていきましょう。

辺野古新基地建設問題とは、普天間にある米軍基地を名護市の辺野古へ移転させるかどうかについて議論されている問題です。 

参考:普天間飛行場代替施設について|防衛省

(1)普天間基地とは

普天間基地とは、太平洋戦争の最中に、米軍が強制的に占領した土地につくった基地で、別称「Marine Corps Air Station Futenma」といいます。

現在では、民家が密集する市街地の中に存在するため、「世界で1番危険な飛行場」とも呼ばれています。

 なお、その施設規模は、宜野湾市の市域面積の約25%です。
一日中、離着陸が行われるため、

  • 戦闘機の部品やヘリコプターの落下事故
  • 騒音問題

が問題視され、米兵による強姦・傷害事件も数多く報告されています。

こうした事情を背景に、1996年には、橋本龍太郎首相とビル・クリントン大統領の間で、「普天間飛行場の土地の返還」について合意がなされました。

しかし、土地を返還する条件として、別の基地の建設が求められたのです。
そこで候補地にあげられたのが、名護市内の辺野古地区です。

1999年には、閣議で辺野古地区への米軍基地の移設が決まったものの、進展はなく、なかなか実現のめどは立っていません。

(2)政府が辺野古移設を進める理由

政府が辺野古移設を進める理由は、

  • 普天間飛行場に浮かぶリスクの除去
  • 経済効果を期待する地元の要望

などの点が大きいといわれています。

移設を実行することで、普天間飛行場周辺で暮らす住民の生命・財産を守ることができます。

さらに、移設先である辺野古の埋め立て面積は、普天間飛行場よりも小さいため、基地の縮小にもつながると期待されているようです。

沖縄県 米軍基地画像出典:普天間飛行場代替施設について|防衛省

そもそも辺野古案では、新しい基地をゼロからつくるのではなく、すでにある米海兵隊キャンプ・シュワブを拡張する計画となっています。

立地も最寄りの住宅地から1.5km離れており、ヘリポートは海上での設置を予定していることから、騒音や事故の危険を減らせると考えられています。

(3)辺野古案への反対意見

一方、辺野古移設が決定されたものの、反対する意見はあります。
2017年の衆議院では、沖縄県の3つの選挙区から、反対派の議員が当選しました。

2019年の沖縄県民投票では、投票率約52%のうち、反対派の有権者が1/4を超える事態が発生したのです。 

反対する人々は、主に以下のような主張しています。

  • サンゴなど生態系への影響が出るおそれがある
  • 排水などの環境汚染につながる
  • 漁業への影響がある
  • 県内移設なら沖縄県の負担は変わらない

これらの主張に対して、生態系の調査結果や政府による補償金などで、解決できるという意見もあるようです。

まとめ

今回は、沖縄県の米軍基地について解説しました。

沖縄県にある米軍基地は、日本とアジアの平和を守るという意義をもつ一方で、米軍兵士による問題行動に、不満の声をあげる人も少なくありません。

終戦から長い時間が経った現在でも、多くの課題を残す米軍基地問題について、今一度考える機会をもって頂ければ幸いです。