政治ドットコム選挙選挙の投票率は減少している?若者の投票率を上げるには

選挙の投票率は減少している?若者の投票率を上げるには

投稿日2020.4.28
最終更新日2020.04.28

最近の選挙における投票率を見てみましょう。

  • 2017年衆議院議員総選挙の投票率は53.68%、
  • 2019年参議院議員通常選挙の投票率は48.80%。

皆さんはこの数字を見てどう思いましたか?

『国民の約半分が投票しているのだから多いんじゃない?』『国民の約半分しか投票してないのは少ないんじゃない?』、それぞれ感じ方は違うと思いますが、実はこの数字は世界的に見ても低い数字です。

日本は経済大国2位にもかかわらず、世界の投票率ランキングでは140位~150位前後を記録しています。

特に若者の投票率の低下は深刻さを増すばかり。投票率から極端に言ってしまえば、ここ最近の選挙では一部の高齢層の意見しか政治に反映されていないのです。

そこで今回は「投票率」にテーマを当て、

  • 日本の投票率の推移の歴史
  • 若者の投票率の低さの理由
  • これから出来る選挙対策

についてわかりやすくご紹介したいと思います。

1、投票率とは

投票率とは「有権者総数に対する投票者の比率」を指します。分かりやすくいえば、選挙権を持っている国民の中でどれだけの人が投票をしたかという割合を指し、政治への関心を計る目安にもなっています。

選挙権は満18歳以上の全ての国民が持っている権利です。投票権って20歳からじゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、2015年に公職選挙法等の一部が改正され、18歳から投票ができるようになりました。

2、投票率の推移

日本の投票率の推移を見てみましょう。
選挙 投票率

引用:総務省 国政選挙における投票率の推移

グラフの開始年度である1945年~46年の戦争直後から衆議院議員総選挙で約70%、参議院議員総選挙で約60%、と有権者の半分を超える高い投票率を維持してきましたが、その後、衆議院・参議院どちらも現在まで右肩下がりとなっています。

衆議院・参議院両院の推移をさらに分析し、投票率が上がったきっかけや減少のタイミングについて更に細かく見ていきたいと思います。

(1)衆議院選挙

衆院選 投票率

引用:総務省 国政選挙における投票率の推移

 

衆議院議員総選挙では戦後から60%~70%台を維持していたものの、平成8年(1996年)から一気に投票率が低下。

この1996年は従来の中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へと制度が変更された年で、衆議院議員の選び方が変わった年でもあります。中選挙区制から小選挙区比例代表並立制への制度改革の何が投票率を低下させてしまったのかというと、その制度の中身に原因があります。

中選挙区制では1つの選挙区から3人~5人の候補者が選ばれる一方で、小選挙区では1人の候補者しか選ばれません。この制度の変化により、メジャーな政党でもないかぎり当選しにくい、自分が投票しなくても投票前から結果がわかりやすいなどの要因が投票者の意欲が削いでしまったと考えられています。

その後、衆議院選挙の投票率は平成21年(2009年)に約70%まで回復。この年に何があったかというと、自民党から民主党への歴史的な政権交代。国民の政権(自民党)への不満が蓄積し、政権交代への強い意思が投票率に反映しています。

しかし、その後の

  • 米軍基地の移転問題
  • 東日本大震災の対応
  • 頻繁な首相交代

が民主党の信頼を損ない、『民主党もダメだった』という政治への深い失望感が現在までの衆議院議員総選挙の投票率の低下に繋がっています。

(2)参議院選挙

参院選 投票率

引用:総務省 国政選挙における投票率の推移

 

参議院議員総選挙は戦後50%~70%台を維持していたものの、平成7年(1995年)に大きく投票率が低下。

  • 阪神淡路大震災
  • サリン事件などの社会混乱
  • 新進党の発起

など社会的混乱が同時に発生し、国民の政治への不信感も表れています。

平成10年(1998年)には低迷していた投票率も50%~60%まで回復。この年から投票の締め切りが18時から20時に延長され、

  • 仕事帰りの人も投票所に行けるようになったこと、
  • 失業者の増加
  • 金融機関の破綻

などの90年代後半から続いていた不景気が、国民の政治への関心を高め、投票率を回復させました。

その後、平成15年(2003年)から始まった期日前投票や選挙権の年齢引き下げなどの選挙制度の改革によって50%台を維持していましたが、令和元年(2019年)から投票率は再び減少傾向にあります。

3、投票率低下の要因

前述の通り、衆議院・参議院ともに総選挙の投票率は右肩下がりで低下しています。なかなか回復しない日本の低い投票率の理由は「政治への関心の低下」と「若者の選挙離れ」が主な要因として挙げられます。

 

総務省の年代別投票率の推移グラフを見てみましょう。

年代別 投票率

引用:総務省 衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移

 

上から順にオレンジが60代、ブルーが50代、最も差が大きく開いているのはグリーンと赤の間で、グリーンは30代を示し、赤は20代の投票率を表しています。

最近の平成29年(2017年)を見てみると、オレンジの60代の投票率は約70%、赤の20代の投票率は約30%となっていて、その差はなんと40%も広がっています。

なぜ、低い投票率の中でも若者の投票率が特に低いのか?

総務省が2016年に行った若者の意識調査のデータを見てみたいと思います。

総務省が行ったアンケートによると、家族の政治の話をする若者は全体の36%、友人と政治の話をする若者はたったの26%。この数字から若者の日常生活と政治の乖離がよく分かると思います。

次に、なぜ選挙に行かないのか?というアンケートの回答を見てみると、

  • 投票所に行くのが面倒
  • 選挙に関心がない
  • どの候補者にすればいいか分からないなどの理由のほか
  • 自分のような政治が分からない人間は投票しない方がいい
  • 選挙で政治は変わらない
  • 自分が投票したところで何も良くならない

など、政治への失望に近い理由も見受けられました。また、大学や入社に伴い住民票を移していないために住んでいる市町村で選挙に行けない人も多く、そもそも引っ越した時に「投票に行けなくなるから住民票は移そう!」と考える人は少ないので、若者の中で投票権の価値が低下していることもわかります。

若者の投票率がこのまま低下し続ければどうなるのでしょうか?若年層の投票率が下がり続ければ、『有権者=若者以外』の構図ができてしまい、投票率の高い高齢層優先の政策を招いてしまいます。

たとえば高齢者の有権者が医療・福祉の充実を求めれば、その政策を推進する議員が当選しますが、その費用はすべて働く世代の税金から支出されます。

重税や若者への支援の減少により、さらに若者の政治不信をあおり、投票率が低下するという負のスパイラルが出来てしまうのです。このスパイラルは現在すでに若者に深く浸透してしまっているようです。

4、対策

若者の政治参加がこれ以上減少すれば、日本の国力も低下しかねません。若者の投票率の向上は国にとっても急務事項。ここで、国の選挙対策を参議院の質問主意書からまとめてみたいと思います。

(1)投票所の変更

投票所の場所は若者の投票率を上げる要です。投票所は学校や自治体施設が使用されますが、駅やショッピングモールなど日常生活に近い場所に投票所を設置すれば「投票所に行くのが面倒」「選挙に行く時間がない」などの理由を解消することができます。

(2)不在者投票

不在者投票制度は、仕事や旅行など、選挙期間中に名簿登録地以外の市区町村に滞在している場合に滞在先の市区町村で投票ができる制度のことで、指定病院等に入院している人は病院内でも投票ができます。そのため「住民票を移してないから投票できない」という問題も解決することができます。

ただし、手続きの複雑さや時間がかかることで、時間のない大学生や社会人に受け入れられず、いまだに利用者数が少ない現状があります。

不在者投票制度の簡素化が実現すれば、大学生・社会人の声も選挙に反映することができるきっかけとなるでしょう。

(3)運営に若年層を取り込む

選挙の運営に若年層を取り込むことで、より選挙が身近なものになります。若者に受け身になってもらうのではなく、選挙の主体になってもらう。若者の投票率を上げるために選挙自体に若者を巻き込むことが必要です。

(4)ネット

インターネットを使った選挙活動は、若者の選挙への関心を高める有効策のひとつ。選挙をどこか遠い存在と感じてもらうのではなく、最も身近なスマホ・パソコンで選挙活動を行えば自然と選挙に触れる機会も高めることができます。

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まとめ

投票は未来の日本を作る第一歩。このまま高齢層の票の価値が高まり続ければ、日本の未来を作る政策ではなく日本を補完する政策ばかりになってしまいます。

もちろん、今までの社会を担ってきてくれた高齢者に対する福祉・医療は大切です。しかし、同じようにこれからの日本を担う若者への支援も大切。

若者の投票率を高めて、これからの日本をもっと強くたくましくしていきたいですね。