2023年3月現在、野党第一党として活動している立憲民主党とはどんな政党なのでしょうか。
この記事では、立憲民主党について以下の点を解説いたします。
- 立憲民主党の概要
- 立憲民主党の公約(政策方針)
- 立憲民主党と民主党の違い
1、立憲民主党とは
立憲民主党とは日本の政党の1つで、2023年3月現在、野党第一党として活動している政党です。
立憲民主党は(旧)立憲民主党と(新)立憲民主党で法律上、別の政党とされています。正式名称はどちらも「立憲民主党」ですが、区別するために政党名の前に「旧」と「新」をつけて呼ぶこともあります。
違いは下記の通りです。
- (旧)立憲民主党:2017年10月3日結党~2020年9月14日解党
- (新)立憲民主党:2020年9月15日結党~(現在)
政党名が同じであるため、同一の政党と認識されやすいですが、正式には異なる政党なので注意が必要です。
(1)立憲民主党の概要
名称 | 立憲民主党 |
設立 | 2020年9月 |
議席数 | 衆議院:97、参議院24 |
常任幹事会 | 代表:泉健太代表代行(ジェンダー平等推進本部長兼務):西村智奈美 代表代行(広報本部長兼務) :逢󠄀坂誠二 幹事長 :岡田克也 常任幹事会議長:徳永エリ 参議院議員会長:水岡俊一 国会対策委員長:安住淳 選挙対策委員長:大串博志 政務調査会長 :長妻昭 組織委員長:森本真治 企業・団体交流委員長:大島敦 参議院幹事長:田名部匡代 参議院国会対策委員長:斎藤嘉隆 両院議員総会長:川田龍平 |
公式サイト | https://cdp-japan.jp/ |
公式SNS | Twitter YouTube Instagram Facebook |
(2)立憲民主党の党首
名前 | 泉健太 |
役職 | 党首 |
経歴 | 1974年、北海道札幌市生まれ。 立命館大学法学部卒業。 ・党政務調査会長 ・内閣府大臣政務官 ・参議院議員秘書 ・福祉施設職員 現在は以下の役職 国家基本政策委員会/委員 懲罰委員会/委員 |
(3)立憲民主党の理念
立憲民主党の基本理念は以下の通りです。
「自由」と「多様性」を尊重し、支え合い、
人間が基軸となる「共生社会」を創り、
「国際協調」をめざし、「未来への責任」を果たすこと、
綱領*として以下の7つを掲げています。
- 立憲主義に基づく民主政治
- 人権を尊重した自由な社会
- 多様性を認め合い互いに支え合う共生社会
- 人を大切にした幸福を実感できる経済
- 持続可能で安心できる社会保障
- 危機に強く信頼できる政府
- 世界の平和と繁栄への貢献
*綱領とは政治団体の対策や方針を箇条書きで記したもののこと。
2、立憲民主党の公約(政策方針)
2022年6月の参議院選挙の前に泉代表は「いまこそ生活安全保障が必要です。」というタイトルで公約を発表しました。
その公約で「生活保障のための3本柱」として列挙したのが以下の3つです。
- 物価高と戦う
- 教育の無償化
- 着実な安全保障
「物価高と戦う」
具体的な行動として、消費税率の5%への時限的な引き下げを挙げています。
「教育の無償化」
具体的な行動として、国公立大授業料を無償化・高校授業料無償化は所得制限の撤廃を挙げています。
「着実な安全保障」
具体的な行動として、日米の役割分担を前提とした防衛体制の整備・「領域警備・海上保安体制強化法」の制定を挙げています。
その他の重点施策として、以下の7つを列挙しました。
- 医療・健康・コロナ対策
- 雇用・年金・ベーシックサービス
- 経済・産業・イノベーション
- 環境・エネルギー
- 地域・農林水産・災害対策
- 人権・女性・障害・多様性
- 政治・行財政改革
医療・健康・コロナ対策
重症化リスクが高い人などが、確実に医療を受けられる「コロナかかりつけ医」制度を創設や公立・公的病院の統廃合や病床削減につながる「地域医療構想」の抜本的な見直し、政府が行う後期高齢者の医療費窓口負担割合引き上げ(1割→2割)の撤回を掲げています。
雇用・年金・ベーシックサービス
時給1,500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金の段階的な引き上げ、出産育児一時金を出産費用の全国平均額まで引き上げと出産費用の無償化などを掲げています。
また「派遣法の見直しなどにより、原則として、希望すれば正規雇用で働ける社会」を理想として掲げており、注目です。
経済・産業・イノベーション
創薬・バイオ、次世代通信技術、光電融合、量子暗号、AI、デジタル、航空宇宙、超電導、次世代モビリティなどを国家プロジェクトとして推進することで、次世代の産業インフラを世界に先駆けて実装し、民間のイノベーションへの発展の促進を掲げています。
環境・エネルギー
2050年省エネ60%※・再エネ電気100%を実現し、雇用の公正な移行を図りつつ、化石燃料、原子力発電に依存しない社会(※2013年比)、「未来世代法」の制定と将来世代への影響を長期的観点から検討することを掲げています。
地域・農林水産・災害対策
農業者戸別所得補償制度を復活させ、米の生産調整を政府主導に戻すことや「IR(統合型リゾート施設)推進法・整備法」を廃止することを掲げています。
人権・女性・障害・多様性
選択的夫婦別姓制度の早期の実現や「LGBT差別解消法」の制定、インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷、人権侵害等への対策の強化を掲げています。
政治・行財政改革
被選挙権年齢の18歳(参議院議員と都道府県知事は23歳)への引き下げやインターネット投票の導入、国の支出に問題があると思う国民が国などに必要な措置を取るよう求める「公金検査請求訴訟制度」の創設を掲げています。
3、立憲民主党と国民民主党の違い
日本には、立憲民主党と同様に「民主党」という名前が政党名に入っている党が存在します。
それが以下の3政党です。
- 自由民主党
- 国民民主党
- 社会民主党
本章では、混同されやすい立憲民主党と国民民主党の違いについて説明します。
なお、それぞれの政党の変遷は以下の画像の通りです。
元々は民進党という政党から、派閥による分離や他政党との合流を経て、現在のような政党の体制に至りました。
(1)政党理念の違い
日本の各政党は、政策の方針や行動指針となる理念をそれぞれ定めています。
立憲民主党と国民民主党の基本理念を確認しましょう。
立憲民主党
「自由」と「多様性」を尊重し、支え合い、
人間が基軸となる「共生社会」を創り、
「国際協調」をめざし、「未来への責任」を果たすこと、
引用:立憲民主党HP
国民民主党
「自由」「共生」「未来への責任」
引用:国民民主党HP
また、以下のような理想を掲げています。
- 「公正・公平・透明なルールのもと、多様な価値観や生き方、人権が尊重される自由な社会」
- 「誰もが排除されることなく、互いに認めあえる共生社会」
- 「未来を生きる次世代への責任を果たす社会」
(2)政策公約の違い
最後に立憲民主党と国民民主党で大きく意見が異なる点についてまとめます。
憲法改正について
立憲民主党は、憲法改正について「論憲」を掲げ、立憲主義に基づく権力の制限や国民の権利拡大について議論し、必要な改正を検討することを目指しています。
現在、立憲民主党内で焦点を当てて議論を進めているのは、人権保障、国会のあり方、地方自治、安全保障の4つの分野です。
一方で国民民主党は、これまでの憲法の役割にも配慮しつつ、憲法改正の一定の必要性を説いています。
例えば、自衛隊についてです。「自衛隊を保持する 『現実』と”戦力を放棄する”という意味を持つ現在の憲法の乖離を埋めるために解決策を見つけるべき」という姿勢を見せています。
また、現在の憲法に緊急時の条項が明記されていない点についても指摘しています。
原発再稼働について
立憲民主党は、やや反対の姿勢で、原発の新設は認めていません。
また、党の方針として「原発に依存しないカーボンニュートラル」というエネルギーの政策方針を掲げており、原子力発電からソーラーシェアリング・洋上風力・小水力などの自然エネルギーでの電力開発の手段をシフトしようとしています。
一方で国民民主党は、やや賛成の姿勢です。
2022年6月の参院選の前には「安全基準を満たした原発は再稼働する」と明示し、立憲民主党とは異なる意思を表明しました。
参照:NHK-参院選2022
4、まとめ
今回は立憲民主党について解説しました。
野党第一党である立憲民主党が持つ影響力は小さくありません。生活安全保障を起点に、立憲民主党がどのような政策を実現していくのか注目です。
日本の政党について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。