政治ドットコム外交・国防外交とは・具体的に何をしているの?日本の外交政策について

外交とは・具体的に何をしているの?日本の外交政策について

投稿日2020.5.4
最終更新日2020.07.13

外交とは外国の国々と交渉し貿易協定などを結ぶことで自国の利益を確保することです。
日本においてこの外交の目的は経済的利益だけではなく、場合によっては

  • 拉致された自国民の解放
  • 領土の返還

なども含まれます。

しかしこれだけでは外交とは具体的に何をしているのかわからないという方もいらっしゃると思いますので、今回は日本の外交についてご紹介します。

1、日本の外交とは

外交
「外交」とは文字の通り、外国との交渉・交際を意味し、国の最高法規である日本国憲法にも「外交」の文字が記載されています。

・第72条

内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び「外交」関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

・第73条

内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。

1.法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

2.「外交」関係を処理すること。

3.条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

4以下略

出典 日本国憲法

憲法に記載されているということは「外交」は国の交流にとどまらない、日本にとって重要な事柄であることを意味します。
実際に「外交」とはどんなものなのか、日本にどのような影響を与えるのかをくわしく見てみましょう。

(1)経済

世界には日本以外にさまざまな国が存在しています。
他国と「外交」を行うと

  • 物資
  • 文化

が盛んに移動し、自国に利益をもたらすことができます。
この利益は例えば、観光に来てくれた人が使ってくれるお金などです。

「外交」と聞くと国の代表同士が会って会議をするイメージが強いものの、物の交流(貿易)も大切な「外交」のひとつです。これを「経済外交」と呼びます。更にわかりやすい例を挙げてみましょう。

スーパーに行けばアメリカ産の牛肉、中国産の野菜など、さまざまな外国産が並んでいます。
これもすべて「経済外交」の成果であり、外国産を輸入することで相手国との関係を深め、代わりに相手国に日本製を輸出することで市場を広げています。

ただし、低価格の外国産が日本産の売上を減らしてしまうこともあるので、日本産が圧迫されないように事前に輸入・輸出のルールを決めておくことも「経済外交」の重要な役割です。

日本が行っている「経済外交」の一部を見てみましょう。

  • G20(金融・世界経済に関する首脳会合)
  • G7 / G8
  • 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉
  • 日EU・経済連携協定(EPA)交渉
  • アジア太平洋経済協力(APEC)

「経済外交」は日本と相手国の2国間とはかぎりません。
G20のように主要国が集まり、地域ごと、関係性の深いグループで交渉を行うこともあります。

(2)安全保障

「外交」には経済以外に安全保障の役割も備わっています。
皆さんの中で「外交」といえばこちらのイメージが強い人もいると思います。
国際社会では国連憲章のもと、戦争を最大限に防ぐ努力をすることが各国に求められています。

また、日本では憲法9条で戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認が掲げられ、外国と戦争をしないようにする平和主義が決められています。

国連憲章と憲法9条を見てみましょう。

国連憲章

第6章 紛争の平和的解決

第33条

1.いかなる紛争でも継続が国際の平和及び安全の維持を危うくする虞(おそれ)のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。

憲法9条

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

戦争に繋がりかねないトラブルが起きた場合でも「外交」によって話し合いを重ね、国民と国際社会のために平和解決を実現することが今や世界の外交スタンスです(しかしこれは国によりけりです)。

また、「外交」の安全保障は国民にも及びます。
たとえば、北朝鮮による日本人拉致事件では拉致された日本人を救出するために武力行使はせず、北朝鮮政府に対して日本政府が対話で働きかけてきました。

また日本はロシアや韓国などの国と「北方領土」、「竹島」を巡る領土問題に直面しています。
こちらも対話による問題解決がはかられており、これらの事例は日本の「外交」姿勢の分かりやすい例といえるでしょう。

次に、「外交」は誰が行い、それぞれの仕事内容と役割はどんなものかを見ていきたいと思います。

2、外交は誰が何をしているのか

外交 課題

具体的にどのような人や組織が動いているのか見ていきましょう。

(1)外務省と外交官

日本には1府11省2庁の機関があり、それぞれの分野で国を動かしています。
たとえば法務省は法律や裁判を担当し、財務省はお金を管理します。
「外交」を担うのは外務省で、その働きは外務省設置法で定められています。

外務省設置法

第4条 外務省は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

1.次のイからニまでに掲げる事項その他の事項に係る外交政策に関すること。

イ 日本国の安全保障

ロ 対外経済関係

ハ 経済協力

ニ 文化その他の分野における国際交流

上記の中には、

  • 旅券(パスポート)の発行
  • 在留邦人の安全確保
  • 国際社会との協力
  • 外国政府との交渉
  • 条約の締結
  • 国際情勢の調査

などの業務が含まれています。
この外務省設置法では18、19で外交官についても触れられています。

18 外交官及び領事官の派遣に関すること。

19 外交官及び領事官の接受並びに国際機関の要員の受入れに関すること。

外交官とは、海外にある日本大使館等で働く外務省職員のことで、日本の外務省で働く職員は外務公務員と呼ばれます。

厳密には世界各地にある大使館・総領事館・政府代表部はまとめて在外公館と呼ばれ、所持する権利の違いによって3つに分けられています。

一般的に総領事館よりも大使館の方が強い権力を持ち、政府代表部は国際機関に設置されます。

これら在外公館で働く外交官の仕事は、

  • 相手国政府との交渉や連絡
  • 政治経済の情報収集と分析
  • 日本の広報文化活動
  • 邦人の生命と財産の保護
  • 通商問題の処理

などで、外交官には外国で安全に仕事できるように「外交特権」という権利が与えられています(この権利はウィーン外交関係条約で定められている世界各国共通のもの)これは不可侵権・治外法権とも呼ばれます。

たとえば、大使館内は相手国の法律が適用されるため、日本の警察は日本にある外国の大使館に立ち入ることはできません。
北朝鮮の家族が中国の日本大使館に亡命しようとした瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件もこの権利が理由です。

(2)首脳外交

「首脳外交」とは文字の通り、国の首脳同士が話し合い「外交」を行います。

外交官など、国を代表する者同士が話し合いを行っているものの、直接トップが対話することで事態が進展することもあり、2002年の小泉首相の電撃訪朝による北朝鮮拉致被害者の帰還は「首脳外交」の大きな成果といえます。

また、ゴルフや会食を通した個人間での信頼構築も「首脳外交」のメリットです。
また、外交官・首脳以外にも国会議員が「外交」を行うこともあります(議員外交)。
首脳外交と比べて水面下で行われる「議員外交」は縁の下の力持ちのような重要な外交パーツです。

(3)人材交流、民間外交

「人材交流」とはお互いの人材を交流させることを意味します。

たとえば、外務省の対日理解促進交流プログラムでは若年層の将来を担う人材を交換・交流させ、政治、経済、社会、文化、歴史、外交政策への対日理解を目指しています。

このような国家以外での草の根外交はとても大切で、その中でも「民間外交」は首相や国会議員、外交官以外の民間が行う「外交」を指し、芸術、スポーツ、企業など私たちの生活に近いレベルでの交流を意味します。

「外交」といっても政府の方針を決めるのは私たち国民ひとりひとりの意見です。
文化交流や観光事業で絆を深めていくことで、国の「外交」では到達できなかった信頼関係を築けることが「人材交流」「民間外交」の強みとなっています。

3、日本の外交課題

グローバリゼーションが加速し「外交」が与える生活への影響は強まってきています。
目下の日本の外交課題は「積極的な市民参加」と「国際的なリーダーシップ」です。
これらは外務省の掲げる「チャレンジ2001-21世紀に向けた日本外交の課題-」にもまとめられています。

(1)積極的な市民参加

外国製品や観光事業、外国人労働者など「外交」の問題はより身近になってきています。
政府だけが外交を行う時代は終わり、国民の意見を反映した総合力のある「外交」が成果を出す時代になってきているのです。

(2)国際的なリーダーシップ

経済大国としてだけではなく、国際的なリーダーシップの取れるグローバルプレーヤーとしての存在感が今後の日本をさらに繁栄させるきっかけになります。

技術力のある国として誇りを持ち、積極的に貧困・紛争などの問題に関わることも国際社会からの信頼を集め、既存ルールに縛られず、解決に繋がる新たな枠組みを提案できるようなリーダーシップの取れる国への成長が外交の限界を突破できる有効な手段といえるでしょう。

まとめ

「外交」は国から市民までそれぞれに深く関係し、戦争を回避し、平和で豊かな国を実現する手段でもあります。
国際化が進み、物・人・文化の移動が盛んになる中、自国の利益だけではなく、国際社会に対して何が出来るのかという先進的な考え方がこれからの日本の「外交」のスタンダードになるといっても過言ではないでしょう。