政治における「派閥」とは何なのでしょうか?
長年与党の立場にある自民党は、これまでいくつかの派閥に分かれて政策を進めてきました。各派閥ごとの立場で政治活動を展開し、大きな影響力を持っていることも特徴とされてきました。
その一方、2023年から2024年にかけて自民党内で取り沙汰された政治資金をめぐる問題を契機に、自民党における派閥のあり方は変容しています。
そこで今回の記事では、以下の内容についてわかりやすく解説します。
- 派閥とは
- 派閥を作って政治を行うメリット
- 派閥を作って政治を行う問題点
- 自民党の各派閥
1.派閥とは
政治における「派閥」とは、同じ政党内で政策や理念が類似する議員の集団を指し、政策の推進方向や党内の権力構造に重要な影響を与えることが多いです。
派閥は、党内で以下のような影響を与えます。
- 政治的支援の提供や情報の共有
- 政治資金の集約
- 後進の指導
また、派閥内での意見調整を行い、一致団結した政策提案を可能にする一方で、閉鎖性や利益誘導への懸念も否定できません。
このように派閥は、日本の政治文化に深く根ざし、その動きは政治の方向性を左右する重要な要素となっており、党内外の政策決定においても大きな役割を果たしています。
(1)無派閥とは
無派閥とは、特定の派閥に属さず独立した立場で活動していることを指します。無派閥の議員は、自由に政治活動をすることができますが、政治的な支援や資源を個人で獲得する必要があります。
無派閥の立場は、政策決定や議会活動において独自の意見を持ちやすいというメリットがありますが、一方で派閥による支援体制の恩恵を受けにくいデメリットも存在します。
このバランスをどのように取るかが、無派閥の政治家にとって重要な課題となります。
2.派閥を作って政治を行うメリット
派閥が政治において重要な役割を果たす理由は多岐にわたります。
派閥が政治運営においてもたらすメリットは以下の通りです。
メリット | 説明 |
結束力を強化できる | 同じ目標や価値観を共有することで、団結力が高まる。 |
後進の育成ができる | 経験豊富な政治家が後進を指導し、次世代のリーダーを育成できる。 |
総裁選挙で手を組める | 派閥は総裁選挙において、メンバー間で支持票を集約し、派閥のリーダーを党の要職に就けるよう戦略的に協力できる。 |
応援演説ができる | 派閥メンバー間で互いの選挙演説に参加し、応援演説を行うことで、選挙戦における支持を広げ、勝利の可能性を高めることができる。 |
政治資金が増える | 派閥内で資金を共有できるため、個々の政治家はより多くの政治資金を確保できる。 |
良いポストが
配分される可能性がある |
派閥の力は政治的な報酬の形でメンバーに還元されることが多いため、政府内や党内で重要な役職を獲得しやすくなる。 |
これらのメリットは、政治家が派閥を形成し、政治的な力を増強する動機となっています。
3.派閥を作って政治を行う問題点
派閥が政治運営においてもたらす問題点は以下の通りです。
問題点 | 説明 |
党内分裂のリスク | 派閥間の競争が激化し、党内での分裂が生じることで、政党全体の結束力が弱まる可能性がある。 |
政策決定の偏り | 特定の派閥が党内で優勢になると、その派閥の利益に偏った政策が推進される恐れがある。 |
資金の不透明性 | 派閥が扱う大きな政治資金について、管理と使用の透明性が問題となり、不正や不透明な資金の流れが発生することがある。 |
派閥をめぐる問題として政治資金パーティーをめぐる問題が取り沙汰されています。
派閥主催のパーティーを通じて集められた資金が不透明な使われ方をされた可能性が指摘されています。「政治とカネ」をめぐる問題は政治に対する国民の信頼を損ねる要因となります。
4.自民党の各派閥
自民党の派閥は政治の方向性や党内の権力に深く関わってきました。
それぞれの派閥が持つ独自の影響力は、政策の決定や党の将来像にまで影響を及ぼしてきました。派閥をめぐる自民党内の状況は、2024年2月時点で極めて流動的です。ここでは解散することを決定した派閥も含めて、自民党の主要派閥について解説をします。
- 安部派(旧細田派)
- 二階派
- 岸田派
- 茂木派(旧竹下派)
- 麻生派
- 森山派
- 石破グループ(旧石破派)
- 無派閥
自民党について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
自民党とは?政策・支持率・衆議院と参議院の議席数などを紹介
(1)安倍派(旧細田派)
安倍派(旧細田派)は、正式には清和政策研究会と呼ばれており、1979年1月24日に福田赳夫氏によって設立されました。自民党内で影響力の大きいグループの一つでもあります。
この派閥は、安倍晋三元首相のリーダーシップのもとで結集し、保守的な価値観と政策に重点を置いていました。2022年7月に会長だった安倍元総理大臣が亡くなってからは、塩谷元文部科学大臣を座長とし、松野前官房長官や萩生田前政務調査会長など、15人で構成する「常任幹事会」で意思決定を行う新たな体制で活動していました。
安全保障や経済政策、教育改革など、国内外のさまざまな課題に対して積極的な立場をとっており、特に強いリーダーシップと政策推進能力で知られています。
しかし、2023年に発覚した「裏金問題」がきっかけとなり、2024年1月19日に派閥を解散することを決定しました。
参考:NHK「自民 安倍派 最後の議員総会 派閥としての活動終える」
(2)二階派
二階俊博氏が率いる「志帥会」は、1999年3月18日に設立されました。初代会長は村上正邦元参院議員会長が務めました。
2012年に二階俊博氏がリーダーとなってからは「二階派」と呼ばれ、安倍・菅政権では自由民主党内で一時は第4派閥となるなど影響力を大きく拡大しました。
ただ二階派も「裏金問題」がきっかけとなり、解散する意向を表明しています。
(3)岸田派
岸田派は別名「宏池会」と呼ばれています。1957年6月に発足した自民党内最古の派閥で、2012年からは岸田文雄首相が会長を務めていました。
この派閥は、日本政治の重要な歴史的背景を持ち、池田勇人元首相の後援会として設立されました。宏池会は、歴史的な背景もあり、自民党内での政策立案や党内意思決定において中心的な役割を果たしていました。
岸田派も「裏金問題」がきっかけとなり、2024年1月23日に解散が決定しました。
(4)茂木派(旧竹下派)
茂木派(旧竹下派)は、正式には平成研究会と呼ばれており、1987年7月4日に竹下登氏により設立されました。また、自民党内で長年にわたり影響力を持つ派閥の一つです。
しかし、時代の変遷とともにその影響力は変化しているので、現在では茂木敏充(現幹事長)を筆頭に政治の方向性を模索している状態になります。
(5)麻生派
麻生派は、公式には志公会として知られています。麻生太郎元首相を中心として、2017年7月3日に設立されました。志公会は、自民党内の重要な派閥の一つであり、麻生太郎元首相が会長を務めています。
かつては「為公会」として知られ、政治的には保守主義の立場を取っていることで知られています。
(6)森山派
森山派は、「近未来政治研究会」と呼ばれており、1998年11月30日に山崎拓元副総裁により設立されました。最近までは森山裕総務会長が指揮を取っていました。
この派閥は、憲法改正に対する強い関心を背景に結成され、派閥メンバー全員で改憲論や政策に関する単行本を出版するなど、積極的な活動を展開してきました。
森山派も「裏金問題」がきっかけとなり2024年1月25日に解散しました。
(7)石破グループ(旧石破派)
石破派は水月会と呼ばれ、2015年9月28日に設立された自民党内の派閥です。所属議員の減少で2021年に「派閥」を解消し、「議員グループ」に移行しました。このグループは、石破茂元防衛大臣が中心となり結成しています。
石破グループも政治団体を解散する方向で調整しています。
(8)無派閥
自由民主党内において、特定の派閥に属さない議員たちは「無派閥」と呼ばれます。無派閥の議員は枠組みに縛られず、個々の政策や理念に基づいて行動します。
菅義偉元首相や高市早苗経済安全保障大臣は、無派閥の議員になります。
無派閥議員は党内の様々な流れを読み、時にはキャスティングボートを握ることもあり得るため、その存在感は決して小さくありません。
このように無派閥議員たちは自由民主党内で独自の影響力を持ち、党の方針や日本政治において重要な役割を果たしています。
PoliPoliで公開されている国会関連の取り組み
誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、身を切る改革をすすめ、国会改革を実現する政策について、以下のように公開されています。
あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|身を切る改革をすすめ、国会改革を実現する
(1)身を切る改革をすすめ、国会改革を実現する政策の政策提案者
議員名 | 音喜多 駿 |
政党 | 参議院議員・日本維新の会 |
プロフィール | https://polipoli-web.com/politicians/u3tmzzPoY4w6GxHptTRf/policies |
(2)身を切る改革をすすめ、国会改革を実現する政策の政策目標
政策目標は主に以下の通りです。
- 議員報酬、議員定数カット
- 文書通信交通費の使途公開、政務活動費のネット公開
- 企業団体献金廃止、個人献金を促す制度創設
(3)実現への取り組み
実現への取り組みは以下の通りです。
- 政治不信、投票率低下を変えるためにも、まず政治家が変わったことと改革の姿勢をお示しする必要があります。
この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。
5.まとめ
派閥は特定の政策や理念を共有する議員の集まりであり、党内の役職配分や政策決定に大きな影響を与えています。そのため、国の政治方針や将来に直接的な効果が生じることもあります。
また、党内バランスは無派閥の議員も含め、政策の方向性や政治判断に重要な役割を担います。
派閥間の動向は自民党内の複雑さと日本政治の多様性を反映し、政治風景を理解する上で欠かせない要素です。