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外国人参政権とは?メリットやデメリット・海外の対応も合わせて解説

投稿日2021.6.17
最終更新日2021.06.24
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

外国人参政権とは、外国人に対して与えられる「政治に参加する権利」です。
日本で生活する外国人が年々増加しつつあるなか、在日外国人の参政権に関する議論の重要性が高まっています。

今回の記事では

  • 外国人参政権の概要
  • 外国人の定義
  • 外国人参政権のメリット・デメリット
  • 海外における外国人参政権制度
  • 外国人参政権に関する事例

についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、外国人参政権とは

外国人参政権
外国人参政権とは、日本に住む外国人が政治に参加できる権利です。
参政権とは、国民が政治に参加する権利です。

主に

  • 選挙権
  • 被選挙権
  • 国民投票
  • 国民審査件

が含まれ、民主主義を実現する重要な権利となっています。
日本国憲法で参政権が認められているのは、日本国籍をもつ国民です。

「公務員を選定し、及びこれを罷免することは国民固有の権利である」

引用:日本国憲法

そのため日本政府は、「日本国籍を持たない外国人に選挙権を付与することは憲法違反である」という解釈をしています(2021年時点)。

この憲法解釈のもと、日本では外国人(日本の国籍を有しない者)に対して、参政権を認めていません。

次章で外国人の定義について、詳しく確認していきましょう。

2、外国人の定義

日本では、出入国管理及び難民認定法に基づき、外国人とは「日本の国籍を有しない者」と定義しています。

裏を返せば、日本国籍を持つ多重国籍の人は「日本人」とみなされます。
一方、無国籍者はたとえ日本に在住していても「日本人」とはみなされません。

日本国内で、無国籍の両親から生まれた子供については、国籍法に基づき、その子供にのみ日本国籍が与えられます。

参考:出入国管理及び難民認定法

(1)特別永住者

特別永住者とは、入管特例法に基づき、在留資格をもつ外国人です。
具体的な対象者は、以下のように定められています。

「平和条約国籍離脱者及び平和条約国籍離脱者の子孫」

引用:入管特例法

上記から、第二次世界大戦以前から日本で暮らし、サンフランシスコ平和条約によって日本国籍を離脱したとされた

  • 在日韓国人
  • 朝鮮人
  • 台湾人

を指します。

特別永住者には、参政権は認められていません。

(2)一般永住者

一般永住者とは、一定の要件を満たし、日本国に永住している外国人です。
一般永住者の資格を得るためには、「原則10年以上継続して日本に在留していること」が第条件です。

加えて、以下3つの全条件を満たす必要があります。

  • 素行が善良であること
  • 有する資産または技能から安定した生活が見込まれること
  • その者の永住が日本国の利益に合すること

ただ、配偶者などの特別な場合には、10年未満の滞在でも、一般永住者として認められることがあります。

特別永住者と同様に、一般永住者には参政権が認められていません。

参考:永住者の在留資格について|法務省

(3)日本で生活する外国人数

出入国在留管理庁によると、2020月末の在留外国人数は、約2886000人です。

前年末に比べ万人ほど減少したものの、在留外国人数は増加傾向にあります。
2021年5月時点で、総人口の約%を占めています。

外国人参政権

画像出典:令和2年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

在留外国人は、無国籍者を除き、196の国と地域の外国人からなります。

そのうちの約割が、中国国籍(台湾含む)をもつ外国人です。
そして、全体の約半数が中国や韓国などの東アジア出身者となっています。

外国人参政権

画像出典:令和2年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

以下の図をみると、なかでも在留外国人が多い都道府県は、

  • 東京
  • 愛知
  • 大阪
  • 神奈川

県です。
在留外国人の約割が集中していることがわかります。

外国人参政権

画像出典:令和2年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

3、外国人参政権のメリット・デメリット

国籍の違う外国人に、居住国の参政権を与えることの、

  • メリット
  • デメリット

について、それぞれみていきましょう。

(1)外国人参政権のメリット

外国人参政権を与えるメリットは

  • 外国人ならではの多様な価値観や考え方を政治に反映できる
  • 納税している外国人が公的政策に参加できる

です。

外国人の参政権を認めることで、外国人ならではの価値観や新しい目線を取り入れた、国の発展が期待できます。

日本が外国人にとって住みやすい国になれば、超高齢化社会へ進む日本の労働力の増強につながるかもしれません。

また外国人参政権を認めることで、外国人の意見に基づいた、適切な外国人観光客への施策が促進される可能性もあります。

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2020年の訪日外客数は新型コロナウイルスの影響により大幅に減少しているものの、2015年から比べても毎年増加傾向にあります。

外国人参政権

画像出典:訪日外国人旅行者数・出国日本人数|観光庁

訪日外客数の増加の背景には、

  • ビザの条件緩和
  • LCCによる航空運賃の下落
  • 和食など日本文化への関心の向上

などが大きな理由として挙げられるでしょう。

外国人への政治参加をきっかけに、こうした増加する外国人への効果的な対策を期待できるかもしれません。

参考:訪日外国人旅行者数・出国日本人数|観光庁

(2)外国人参政権のデメリット

外国人参政権を与えるデメリットとしては

  • 日本にとって不利益な政策が通る可能性がある
  • 外国人増加による治安の悪化が懸念される
  • 外国人に占領される地域が発生する可能性がある

などが挙げられます。

 2020月時点で日本に在留している外国人の割合は、

  • 中国人:約27%
  • 韓国人:約15%
  • ベトナム人:約14%

とアジア圏が多数を占めていることがわかります。

外国人参政権

画像出典:令和2年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

そのため、外国人参政権を認めることで、中国・韓国人などアジア圏出身の議員割合が増加し、偏る恐れがあります。

また、地方に外国人が多く移住することで、日本国内にもかかわらず、外国人によってその地方の政治が行われるのではないか、と危惧する声もあります。 

実際に、外国人参政権を認めたオランダでは、移住した大勢のイスラム教徒によって、介入が難しい、実質的なイスラム自治区が誕生しました。

参考:令和2年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

4、海外における外国人参政権制度

海外でも、外国人参政権について無条件で認めている国は、ほとんどありません。

ここでは、

  • アジア諸国
  • 英連邦諸国
  • EU加盟国

の事例についてご紹介します。

(1)アジア諸国

アジアで唯一、永住権をもつ外国人に地方参政権を与えているのが韓国です。
2005年に成立した「改正公職選挙法」に基づき、永住資格を取得して年以上経過した19歳以上の外国人に、

  • 地方議会議員
  • 地方自治体の長

の投票権を付与しました。

ただし、韓国の永住許可制度は、日本に比べてかなり限定的な許可制度です。
滞在歴だけでなく、6500万ウォン以上の所得がある高収入者や高額投資家、韓国への特別功労者などに限られています。

そのほか、香港では、居住権を取得した人に対して、香港特別行政区の参政権(選挙・被選挙権)を保障しています。

香港での居住権を得るには、香港における年以上の居住が必要です。

(2)英連邦諸国

英連邦諸国はもともとイギリスの植民地であり、多くのイギリス人が移住しています。

そのため、

  • イギリスでは「英連邦加盟国民」
  • オーストラリアでは「英連邦加盟国民」

に対して、選挙人名簿への登録などを条件に、国政・地方参政権を認めています。

ニュージーランドでは、以下の条件を満たすことで、国政選挙に投票することが可能です。

  • 18歳以上である
  • 年以上継続して居住したことがある
  • ニュージーランド永住権保持者である
  • 有権者登録をしてある

(3) EU加盟国

EU加盟国では、公式に導入されてはいません。
しかし多くの国で、何らかの条件を付きで、連合市民権としての参政権を認めています。

たとえば、スウェーデンやデンマークなどでは、一定の要件をクリアしていれば地方参政権が付与されます。国籍は関係ありません。

EU主要国であるドイツでは、一部首長の被選挙権を除いて、EU加盟国民にのみ、群及び市町村に対する地方参政権を認めています。

イタリアやフランスでも、EU加盟国民に限り、地方参政権の付与を容認しています。

5、外国人参政権に関する事例

最後に、外国人参政権に関する事例についてご紹介します。

(1)永住外国人地方選挙権訴訟(1993年)

特別永住者である在日韓国人が、大阪市の選挙管理委員会に対して、選挙人名簿への登録を求めた訴訟です。

原告の申し出に対して、最高裁判所は「憲法の国民主権の原理にある国民とは日本国籍を有する者であり、憲法15条の公務員を選定・罷免する権利の保障対象も性質上、日本に在留する外国人には及ばない」という判決のもと、棄却としました。

これ以外にも、外国人参政権に関する訴訟がいくつかあります。
しかし、いずれの訴訟でも、保障は認められないという判決が出ています。

参考:定住外国人地方選挙権訴訟

(2)外国人の住民投票権の容認

2002年、滋賀県米原町(現:米原市)では、日本で初めて、永住資格のある外国人に、住民投票権を容認する条例案が可決されました。

そのほか、現在では

  • 岩手県宮古市
  • 東京都杉並区
  • 神奈川県逗子市
  • 大阪府岸和田市

でも、18歳もしくは20歳以上の永住外国人に、地方レベルの参政権を認めています。

参考:米原市住民投票条例

まとめ

今回は外国人参政権について解説しました。

2021年時点で日本では、外国人参政権は認められていません。
外国人が参政権をもつには、帰化して日本国籍を得ることが必須条件です。

国際化が進むにつれて、外国人参政権についての議論は活発することが予想されるため、今後の動向に注目しておきましょう。