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民主主義とはどのような考え方?3つの原則や日本の政治体制まで簡単に解説

投稿日2022.11.4
最終更新日2022.11.15

民主主義とは、国民が主権を持つ政治体制のことです。
とはいえ、具体的に民主主義という言葉がどんな意味を持つのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、以下の内容についてわかりやすく解説します。

  • 民主主義とは
  • 現代日本における民主主義
  • 民主主義の問題点

本記事がお役に立てば幸いです。

1、民主主義とは|日本の政治体制

民主主義とは

民主主義とは、国民が主権(国家を治める権力)を持ち自分達のために政治を行うことです。

民主主義は大きく

  • 国民が直接政治に参加する「直接民主制」
  • 国民の代表を選挙で選び、その代表達によって政治が運営される「間接民主制」

の2つに分類されます。

世界の民主主義国のほとんどが現代では間接民主制を採用しており、日本もその1つです。

戦後の日本では日本国憲法で保障された「国民主権」に基づき、議会制民主主義(間接民主制の1つで、国民の代表である議員が議会にて政治を行うこと)が採用されています。

議会制民主主義では国民の代表となる議員を選ぶ選挙がとても重要になります。

なぜなら、民意(国民の意思)は公正な選挙の下、有権者が選挙に参加することにより政治に反映されるからです。

仮に民意が全く反映されていないということであれば、国民に主権が無い状態であると言え、民主主義とは言えません。

よって選挙は現代日本で民主主義を成り立たせる上で重要な要素になっています。

ただし選挙を行えば、必ず全国民の意見が反映できるわけではありません。
一つの事案について肯定派がいれば否定派がいるのも当然です。

そこで、「多数決の原理」という考え方があります。
「多数決の原理」とは、集団内における過半数の意見を集団の意志とする考え方です、

これに基づき多くの国民から選挙にて支持された政党与党が中心となり政治は運営されています。

2、日本で民主主義を実現するための原理

日本において民主主義を実現させている原理についてより詳しく見ていきましょう。

原理を知ることで、民主主義とは何であるかがより理解できると思います。

(1)選挙の4原則

前述したように日本の民主主義を実現させるための1つの仕組みが「選挙」です。

日本の選挙には4つの原則があります。

  • 普通選挙
  • 秘密選挙
  • 直接選挙
  • 平等選挙

①普通選挙

普通選挙とは納税額や財産、性別に関係なく満18歳を超える国民に選挙権が与えられるということです。

日本では戦前、性別や納税額により選挙権を与える仕組みになっていました。

しかしそういった非合理的な区別があっては、民意を政治に反映することができないと考えられ、是正されました。

②秘密選挙

誰に投票したのか、が第三者からわからないように無記名で投票を行うことです。

投票先が公開されると「◯◯に投票して下さい」というような投票先の指図や強要をされる恐れがあります。

自由な意思の下、投票がなされなければ民意を反映することは困難です。

③直接選挙

これは国民が選挙によって直接議員を選ぶということです。

しかし内閣総理大臣に関しては間接選挙の形になっています。

内閣総理大臣は国民が選んだ議員によって選出されるため、国民が直接選んだわけでは無いからです。

④平等選挙

平等選挙とは有権者による投票1つ1つの価値が平等であるということです。

平等選挙では非合理的な限定を避けて民意を反映させることを目的としていますが、実際政治に対する関心は1人1人異なっています。

そのため「政治にほとんど関心の無い人」と「自分から進んで国政について学んでいる人」の1票の価値が同じなのは結果的に国民に悪影響なのでは無いか、という考え方もあります。

これら4つの原則の下選挙が行われ民主主義は実現しています。

しかし選挙だけでは強大な国家権力を拘束することができないため、抑止力的要素についても解説していきます。

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(2)法の支配

法の支配とは、国家が国民を無視して権力の濫用をすることが無いように権力を法によって拘束することを指します。

民意が無視されず、国民に主権があることが民主主義において重要なことだからです。

法の支配の内容は主に3つあり

  • 憲法が最高法規であること
  • 人権保護
  • 適正手続きと内容の公正さ

となっています。

詳しく見ていきましょう。

①憲法が最高法規であること

憲法が最高法規であるとは、「憲法に反する内容の法律」や「憲法よりも効力の強い法律」は存在しないということです。

憲法の最高法規性は憲法98条(形式的最高法規性)により規定されています。

②人権保護

まず人権とは人間が生まれつき持っている幸福を追求する権利のことです。

この人権は永久不可侵性(誰にも侵害できないということ)を持っており、憲法はこの人権の永久不可侵性を保護するものとして考えられます。

③適正手続きと内容の公正さ

新しい法律などを作るときは、あらかじめ決められた手順を踏んで適正な手続きを経なくてはなりません。そして、その法律の内容は公正なものである必要があるということです。

上記3つの要素が国家権力を法で拘束するということの内容になります。

繰り返しにはなりますが、こうして国家権力が国民の人権を侵害することを防ぎ、立法権を濫用できなくすることで民主主義は実現します。

(3)三権分立

三権分立とは権力が一つに集中して暴走するのを防ぐため、国の権力を

  • 立法権
  • 司法権
  • 行政権

の3つに分け民主主義を実現することです。

国会が立法権、裁判所が司法権、内閣が行政権をそれぞれ保持します。

これにより政府に政治権力が集中することを防ぎます。

三権分立により、国が民意を無視して暴走することを抑制できるので、民主主義の実現になくてはならない概念であると言えます。

三権分立については以下の関連記事でさらに詳しく解説しています。

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3、民主主義の種類

民主主義には細かく分けると5つの種類があります。

 

直接民主主義 代表者に決めさせるのではなく、国民投票などを用いて国民が直接国の意思決定を行う

スイスなどが採用している

間接民主主義 集団から代表者を選び、選ばれた代表者が国の意思決定を行う

先進国によく見られる

日本やイギリスなど

自由民主主義 民主主義において、より個人の自由が重要視される考え方

アメリカなどが代表的

宗教民主主義 宗教が軸の民主主義であり、宗教の教えが重視される

イスラム圏の国で採用されている

社会主義 経済活動を国が管理し、平等で公正な社会の実現を目指す

中国や北朝鮮で採用

それぞれ細かく見ていきましょう。

(1)直接民主主義

直接民主主義は、「集団の構成員による意思が政治に直接反映されるべきだ」という考え方になります。

具体的には、国家の重要な議案に対して国民投票などの手段を用いて自分たちで決めるということです。

代表者を選び、代表者に国の意思を決めさせる間接民主制とは対照的なものになります。

直接民主制はスイスなどで採用されており、以下の関連記事では直接民主制についてより詳しく解説していますので是非ご覧ください。

直接民主制とは?日本やスイスを例に制度をわかりやすく解説

民主主義には「間接民主制」と「直接民主制」の二つの制度があります。 「直接民主制」とは重要事案の可否を住民投票や国民投票で決めるといったように、住民・国民が直接政治を行う制度です。 一方、「間接民主制」は、投票によって選出された首長や議員が政治を行う制度です。 近年、EU離脱の是非を問うたイギリスの住民投票、或いはフランスの極右政党による政権への要求などにより、「直接民主制」につ...

(2)間接民主主義

間接民主主義は、集団の構成員の中から代表者を選び、意思決定を任せる方法です。

一般的な選挙制度がこの考えに当てはまります。

日本の現行の政治制度になります。

(3)自由民主主義

自由民主主義は、自由主義と民主主義の理念が合わさった考え方です。

民主主義の国において、必要な場合には国民1人1人の権利が制限されるケースは多々あります。

しかしその制限は最低限なものに抑え、政治の運用段階において個人の自由をより重視する体制が自由民主主義にあたります。アメリカなどが代表例です。

(4)宗教民主主義

宗教に基づいた民主主義を指します。

  • キリスト教民主主義
  • 仏教民主主義
  • 会衆制
  • イスラム民主主義

などが代表的です。これら宗教の教えが政治を行う際に重視されています。

(5)社会主義

個人主義的な自由主義経済や資本主義ではなく、より平等で公正な社会を目指す思想です。

具体的には工場などの生産手段を国が保有し、国の管理の下国民は労働を行います。

社会民主主義やマルクス・レーニン主義(共産主義)による

  • プロレタリア民主主義
  • 人民民主主義
  • 新民主主義

などがあります。

中国や北朝鮮が社会主義を採用しています。

4、民主主義のデメリット

民主主義にもデメリットはあります。
大きなところでは、少数派の意見が政治に反映されない可能性があるという点です。

多くの場合、選挙という手法を用いて代表者や決定権のある人間を選びます。

しかし、根本的には「数の原理」に支配されてしまうため、極端な例にはなりますが、49%の人間にとっては意に反した決定がなされる(51%の人は成功)可能性があると言えるのです。

また国民に選ばれた個人や1つの政党が実権を長く持つことで、実質的に独裁制のようになってしまうリスクもあります。

かつてのナチス・ドイツのように、国民から絶大な指示を集めた政党や指導者が現れた場合、「国のことは国民の意思で決める」という民主主義の原則とはかけ離れた結果を招く可能性は否定できません。

民主主義に関するFAQ

Q1.民主主義とは?

民主主義とは、国民が主権(国家を治める権力)を持ち自分達のために政治を行うことです。

Q2.日本の選挙にある4つの原則とは?

日本の選挙に定められている原則は以下の4つです。

  • 普通選挙
  • 秘密選挙
  • 直接選挙
  • 平等選挙

Q3.民主主義の問題点は?

民主主義の問題点として、大きく以下の2つが挙げられます。

  • 少数派の意見が政治に反映されない可能性があるという点
  • 実質的に独裁制のようになってしまうリスクがある点

まとめ

今回は政治を理解する上では欠かせない「民主主義」について解説しました。
現代の主要国のほとんどは民主主義というあり方が定着しています。

現代では、国民に選ばれた代表者が指揮する「間接民主制」が主流です。
日本でも、日本国憲法で「議院内閣制」が確立され、私たちの代表である国会議員が重要な決定事項を推し進めています。

これらのことを意識して政治ニュースを確認してみると新たな発見があるかもしれません。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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