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グローバリズムとは?4つの特徴と反グローバリズム

投稿日2020.3.21
最終更新日2020.06.15

グローバリズムとは一般的に、国家や地域の独自性を越え、政治、経済、商業、文化などで単一の制度や仕組みを作っていこうとする考え方や姿勢を意味します。

しかしこれではグローバリズムが何であるかイメージがつきませんよね。
そこで本記事では

  • グローバリズムとは具体的に何なのか
  • グローバリズムがもたらしたもの

などについてご紹介します。
お役に立てば幸いです。

、グローバリズムとは 

グローバリズム
グローバリズムとは国境をないものとして世界を単一な1つの共同体にしていこうという考え方です。
この様な思想は第2次大戦後、世界の仕組みがアメリカを中心とする資本主義や自由主義(自由に競争ができる世界で、利益を追求できる経済体制)によるものに変わったことが要因になっています。

資本主義や自由主義が広まり、諸外国との貿易によって各国企業が発展し、自国だけでは生産も販売も成り立たない相互依存的な関係を持つ国が急増しました。

その結果国と国の隔たりを無くしていった方が経済的に発展できると考えられ、グローバリズムは力を持ちます。
グローバリズムとは具体的に

  • SNSなどの通信技術の発達
  • EUの誕生
  • 多国籍企業の出現
  • 市場拡大(自由貿易の推進)

などを世界にもたらしました。
グローバリズムとは何であるかをより具体的に把握するために1つ1つ見ていきましょう。

(1)SNSなどの通信技術の発展

あくまで1つの要因ではありますが、地理的距離や国境を越えた情報のやりとりが可能になれば更なる経済的発展が見込めるという要請の下、SNSなどの通信技術は発展を遂げます。

1990年代からはインターネットが一般市民の間に急速に浸透し、物理的な位置に拘束されない情報のやりとりが可能になりました。

その結果IT企業を中心に国境や地理的条件に縛られないグローバル企業が急成長しています。
グローバリズムの功績と言えるかもしれません。

(2)EUの出現

情報通信技術の発達によって、情報が地理的な距離を越えて簡単に行き交うようになりました。
そんな中で生まれてきたのが、グローバリズムの象徴ともいえる欧州連合(EU)です。

ヨーロッパは、第2次大戦でたくさんの死者を出した反省から、欧州共同体(EC)を設立します。
さらにそのECについて経済連携を目的としたEUへと発展させ、共通通貨のユーロを発行し、EU加盟国であればパスポート不要で自由に行き来できるなどの仕組みがつくられます。

EU加盟国間において国境というものが徐々に形骸化(形だけのものになる)しつつあると言えるでしょう。
しかし昨今イギリスが国民投票によりEU離脱を決め、大きな話題を集めています。

これについては「3、各国に押し寄せる反グローバリズムの波」の項目にて詳しく取り上げていきます。

(3)多国籍企業(グローバル企業)の出現

グローバリズムが生んだ、もう一つ大きなものが、多国籍企業(グローバル企業)と呼ばれる存在です。

多国籍企業は国家に縛られずに経済活動を行うために、自国の資源や政治的配慮を必要とせず、生産拠点や販売ルートで国境を横断して事業を展開します。

この様にこれまでの国家の概念を覆すような経済活動が行われるようになり、比例する様に国家間で守られてきた関税などの貿易規制や、外国企業の参入制限の緩和と撤廃が進みました。

(4)市場の拡大(自由貿易の推進)

市場の拡大(自由貿易の推進)の一環として

  • 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)
  • 経済連携協定(EPA)
  • 自由貿易協定(FTA)

などの関税や輸入制限の様な自由貿易を阻害していた障壁を撤廃しようとする動きが進んでいます。
自国内に限られていた市場を大きく外国にまで拡大できるため、輸出したい産業のある国々らが積極的にこれを推し進めていると言えます。

ここまで取り上げた様にグローバリズムには様々なメリットがあると思われていました。
しかし、昨今先進国を中心に反グローバリズムが台頭しています。

2、ヨーロッパにおける反グローバリズムの台頭

ヨーロッパ
現在ヨーロッパではグローバリズムに反対をする、反グローバリズムが低賃金労働者や失業者などの低所得者層と中流層の間で急速に強まっています。

反グローバリズムとは、グローバルな資本主義や政治構造などの在り方に反対する人たちの考えや運動です。
彼らの主張は、「自分たちの仕事が移民に奪われている、生活が苦しい」というものです。

なぜこういった考え方が急速に広まったのか詳しく見ていきましょう。

(1)移民の増加と雇用の減少

貧しい国から豊かな国へ、仕事を求めてやってくる移民現象は古くからどこにでもある現象でした。
しかし近年になって市場が拡大化したことやヨーロッパにおいては、労働力確保のために外国人労働者を受け入れたことが要因となり、移民・難民の流入が先進国で急増しています。

移民・難民が増加すれば当然彼らは移動した後の国で働き、生活する必要があるので雇用は減少します。
また企業からすれば「自国で高い人件費を払って労働者を雇うよりも、人件費の安い地域に進出しコストを抑えた方が良い」と考えるので、企業は海外に進出してしまいます。

あるいは低賃金で労働者を募集する様になるでしょう。
移民・難民の流入により労働者からの仕事に対する需要が高まっているので、不利な条件でも人が集まります。

企業の海外進出により自国の雇用は更に減少し、(産業の空洞化と呼ばれます)貧富の格差が広がります。
低所得者は仕事が見つからない、リストラに遭うなどの状況に陥るためです。

(2)中流層の没落|移民・難民への支援

移民の増加に伴う自国の雇用減少についての仕組みを解説させて頂きましたが、これによって打撃をくらうのは低所得者だけではありません。

中流層と呼ばれる平均的な所得の人々にとっても雇用の減少、賃金の低下は痛手となるのです。

更に先進国の政府は移民・難民に対し国民から納められた税金を使い支援を行います。
この様な状況下で生活に困窮する国民は保守政党(自国第一を掲げる政党)を支持して反グローバリズムを志向していく様になります。

3、反グローバリズムの波

反グローバリズム
前述した様に反グローバリズム(ナショナリズム、国民主義とも呼ばれる)の動きが、ここ数年で急速に欧米諸国に広まりつつあり、各国に共通しているのは貧富の格差拡大の理由を移民や他国に求めているところです。

反グローバリズムを唱える動きが、自国ファースト(愛国心とも表現されます)を掲げるナショナリズムと親和性が高いという点も共通していると言えるでしょう。

近年、ヨーロッパにおいて極右政党が台頭してきていることも、雇用や所得への不満が噴出しているものと考えられます。

アメリカ これまでの外国に市場の解放を求める自由貿易促進の姿勢から保護貿易を志向する様になる
イギリス グローバリズムの象徴であるEUからの離脱を決める
イタリア 保守政党の急成長
フランス 保守政党「国民連合」(元国民戦線)が第一党に(移民の排除などを掲げている)
ドイツ 保守政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持が広がりを見せる
日本 反グローバリズムや経済格差の解消を訴える山本太郎率いる「れいわ新選組」が、低所得者層や反政権の人々から支持を集める

(1)アメリカ

アメリカファーストを唱えるドナルド・トランプがアメリカ合衆国大統領に就任し、これまで“世界のリーダー”を自任していたアメリカが、自国優先で移民の排斥を訴え世界との協調路線から離脱するなど、方針を転換させています。

(2)イギリス

2016年の国民投票で、イギリス国民は「自分たちのことは自分たちで決める」と主張してEUから離脱することを決めました。

イギリス(Britain)が離脱する(exit)のでブレグジット(BREXIT)と呼ばれています。
EU離脱の背景にはイギリス独自の法を策定しても、EUの反対を受けるとそれが無効になるなどの自国に決定権が無い状態に不満が溜まっていたと言われています。

2020年1月31日、イギリスは正式にEUを離脱しました。

(3)イタリア

2018年、イタリアの右派ポピュリズム政党「同盟」と左派ポピュリズム政党「五つ星同盟」が連立政権を樹立しました。
しかしマテオ・サルヴィーニ率いる極右政党「同盟」は、行きすぎた排外的政策のために国民の反感を買って支持率は急落、左・右派共存のポピュリズム政権はわずか1年余りで連立を解消します。

(4)フランス

2019年5月、マリーヌ・ル・ペン率いる右翼政党「国民連合」(元国民戦線)が、マクロン大統領率いる与党「共和国前進」を破って第一党となります。
フランスでも自国第一の考え方が支持を勝ち取りました。

(5)ドイツ

ドイツでは労働力不足を背景に外国人労働者を受け入れていましたが、結果治安が悪化し移民・難民の排斥を目指す保守政党が人気を集めています。
その一例としてドイツ東部(旧東ドイツ)を中心に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持が広がっています。

(6)日本

日本においてはヨーロッパほど移民排斥の動きや極右政党の台頭は目立ちません。
しかし、貧富の格差が広がっているのは日本も同じで、そうした中、

  • 反グローバリズム
  • 経済格差の解消

を訴える山本太郎率いる「れいわ新選組」が、低所得者層や反政権の人たちからの支持を集めています。

れいわ新撰組については以下の関連記事でも取り扱っています。

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まとめ

グローバリズムは、世界の人、物、情報などの動きを活発にし、経済や文化の発展を進めてくれます。
また地球規模で物事を考えるため、環境汚染や人権問題など、人類として普遍的な課題に国境を越えて取り組む機運を高めてもくれます。

その一方で、ひたすらグローバリゼーションを進めてきた結果、弱肉強食の新自由主義の考えが常態化してしまい、経済格差が拡大、その原因を移民などに求めて自国を守ろうとする動きも目立ちます。

市民の右傾化は世界各国で起きており、これまでになかった混乱が世界で起こりうるのではないかと懸念されています。