保守とは、「コンサバティズム」とも呼ばれ伝統的秩序や社会を尊重する考え方です。
今回の記事では
- 保守、保守主義について
- 右翼と保守の違い
- タカ派、極右と保守の違い
- 日本における保守主義
についてご紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、保守とは?
保守とは、従来の伝統や文化・慣習などを重んじようとする姿勢を指します。
政治における保守主義は、「革新主義」とのバランスをとるために重要な役割を果たしてきました。
革新主義とは、従来の文化・慣習など変え、新しい方向に進もうとする立場のことであり、保守主義とは逆の考え方になります。
保守主義の種類には
- 伝統保守主義:教養や制度など古い伝統を尊重する
- 国家保守主義:国家や民族的アイデンティティを尊重する
など様々なものがあります。
また、保守主義と革新主義はどちらもより良い社会を作っていくことを目的としています。
(1)「保守」と逆の意味で使われる言葉
保守と相反する意味で使用されることの多い以下の用語をご紹介します。
- リベラル
- 革新
- 進歩主義
リベラルとは 、簡単に言うと自由主義・公正・多様性を尊重する考えのことです。
革新主義とは、合理的に制度や習慣などを新しいものに変えていこうという思想です。
進歩主義とは、革新主義と同様に、現在の社会的矛盾を改善し、新しくより優れたものにしようとする思想です。
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2、保守主義の成り立ち
保守主義が確立されたのは、1790年のことです。
イギリスの政治思想家・学者・下院議員のエドマンド・バークが書いた、「フランス革命の省察」の中で、フランス革命(革新主義)を批判したことがきっかけと言われています。
そのためエドマンド・バークは、保守主義の父と呼ばれることもあります。
また「保守主義」という言葉が政治の場に出したのは、フランスの作家・政治家「フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン」が、フランス革命後に王政復古の政治機関紙に「Le Conservateur(保守主義者)」と命名した時と言われています。
3、右翼と保守主義の違いは?
右翼という言葉の起源も保守と同様、フランス革命が起こった時代にさかのぼります。
革命勃発後に開催された国民議会では、
- 国王(ルイ16世)の拒否権
- 貴族院開設
の2つの是非が問われました。
その際、議会において議長から見て右側にいたのが、ジロンド派と呼ばれる派閥でした。
ジロンド派は
- 国王の拒否権を認める
- 貴族院を設ける
と保守的な主張をしました。
一方、議長から見て左側にいたのが、モンターニュ派と呼ばれる派閥でした。
モンターニュ派は
- 国王の拒否権を認めない
- 特権身分を作らず一院制にする
といった急進的・改革的な主張をしました。
この構図から
- 保守派を右翼
- 急進・改革派を左翼
と呼ぶようになったと考えられています。
ちなみに両者ほど明確な主義を持たない党派は、
- マレ派(沢沼派)
- プレーヌ派(平原派)
などと呼ばれました。
ただし、時代や場所によって政治的な主張や考えは変化します。
右翼・左翼が誕生したフランス革命当時は、特権階級が支配する封建社会に対抗するため国民が団結する「ナショナリズム」は、左翼的な考えとされていました。
しかし現在では、ナショナリズムという言葉は保守的な思想として取り扱われることが少なくないため、時代によって変化してきたことがわかります。
4、タカ派・極右と保守主義の違い
保守主義と混同されることの多い言葉として、
・タカ派
・極右
がなどがあります。
タカ派とは、「武力などの強硬手段をも辞さない人(あるいは集団)」を指し、強行派とも呼ばれます。
極右は極端な右翼思想(長い間利用されてきた秩序を尊重する考え方)全般のことです。
極右的思想は、以下の特徴を持つとされています。
- 特権階級の権利を極度に維持する
- 極端に民族主義的な考えを持つ
- 排他的かつ自分が属している国や民族に対して絶対的な優越感を持つ
しかし、何と比べて極端なのかを定義することは難しく、単に国粋主義・民族主義の人を一概に極右と判断することはできません。
まとめ
今回は、「保守」について解説しました。
国内外の政治的な出来事を理解するために、保守・革新それぞれの立ち位置や概要を知っておくことは大切です。
また「保守」に対する意味合いは、立場や時代によって変わるので、何が保守であるのかを考えることも重要であると言えます。