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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー国民民主党・奥村よしひろ議員に聞く!現役世代の課題を解決するデジタル政策の可能性と未来

国民民主党・奥村よしひろ議員に聞く!現役世代の課題を解決するデジタル政策の可能性と未来

投稿日2025.10.28
最終更新日2025.10.28

奥村 祥大 おくむら よしひろ 議員

1994年、京都府京都市左京区生まれ。早稲田大学卒業後、KDDI株式会社に入社。消費者・行政部門やAIチャットボット導入などのDXプロジェクトなど様々な業務を担当。スペインへの留学を経て、AIスタートアップに参画。2025年の参議院議員選挙で初当選。

デジタルやスタートアップ政策は、日本の国際競争力を左右し、今後の成長戦略を考える上で不可欠なテーマとなっています。しかしながら、その専門性の高さから政策の重要性が国民に伝わりにくく、政治における議論も一部の専門家に留まりがちな現状もあります。

今回のインタビューでは、KDDIやAIスタートアップなどの民間での豊富な経験を経て政界に転身された国民民主党の奥村よしひろ参議院議員に、政治の道を志した思いと民間経験者の視点から見る日本のデジタル政策の現状と展望についてお話を伺いました。

(取材日:2025年10月3日)
(文責:株式会社PoliPoli 大森達郎)

「頑張っても報われない構造はおかしい。」原点は手取りが増えないという課題感

―学生時代から政治に関心があったのですか?

学生の頃はまったくありませんでした。社会人になって間もない頃に、漠然と政治家になることを考えたことはありましたが、当時はビジネスへの関心が強かったです。その後、起業への関心も高まり、グローバルな経験を積むために2021年9月から約1年半、スペインへ留学しました。

留学を通じて、日本の食文化や治安の良さを再認識しました。帰国にあたり、まずスタートアップで働くことは決めていましたが、より社会を良くすることに貢献したいと思った時、政治という選択肢が浮かび上がったのが直接のきっかけです。政策立案に関わる国家公務員やシンクタンクなど様々な関わり方がある中で、一番ダイナミックに物事を動かせる可能性があるのは政治家ではないかと思いました。

―奥村議員が掲げる「手取りを増やす」という政策は、ご自身の経験と結びついているのでしょうか?

非常に強く結びついています。私は奨学金を借りて大学に進学し、卒業後、東京で一人暮らしをしながら働いていました。努力して働き、残業をしたり運良く昇進したりして給料が上がっても、いざ手取りの額を見ると「思ったほどではない」。それは、給料が上がるほど税金や社会保険料も増えるからです。

奨学金という負債の返済は、個人の事情として全く考慮されません。人の倍働いて返済しようとしても、その分多くの税金を納めることになります。これでは、スタートラインで負っているハンディキャップを、一生をかけても逆転できない構造になっています。「これはおかしい、この構造を変えなければならない」と、会社員時代から強く感じていました。

―2023年の出馬の際、なぜ国民民主党を選ばれたのでしょうか。

理由は2つあります。

1つ目は政策です。まさに私が課題に感じていた「手取りを増やす」という政策や、現役世代に寄り添う姿勢を強く打ち出していたのが国民民主党でした。代表や幹事長の話を聞いても、論理的で納得感がありました。

2つ目は、党の雰囲気です。国民民主党には、若手議員でも臆せず意見を出し、挑戦できる土壌があると感じました。当選回数が重視されがちな永田町の文化の中で、一期生でも代表選に挑戦したり、若手でも政策提言が奨励されている。若手に機会を与え、それを先輩が支えるという文化はまさに自分が求めているものでした。

―実際に議員になられて、党の雰囲気はイメージ通りでしたか?

イメージ通りでした。ただ、党の規模が現在急拡大していることで、組織としての「成長痛」のようなものは感じています。ガバナンスをどう機能させるかという課題はありますが、若手にチャンスをくれたり、先輩が助けてくれたりという根幹のカルチャーは変わらず残っており、この党を選んで間違いなかったと思っています。

民間の視点から見る、デジタル政策の「壁」

―KDDIやAIスタートアップでは、具体的にどのようなお仕事をされていたのですか?

KDDIでは様々な部署を経験しました。最初は、全国の自治体の消費生活センターからの問い合わせに対応する部署で、総務省の電気通信事業法などを読み込む毎日でした。その後、アプリ開発やコールセンターの統括を経て、最終的にはAIチャットボットを導入するDXプロジェクトに参画しました。

その後に転職したAIスタートアップでは、様々な業界の大企業が抱える共通の課題を発見し、それを解決するAIプロダクトを開発し、業界全体に展開していくという仕事をしていました。競合他社も含めて調整し、業界全体の変革を目指すという点では、政治の仕事に通じる部分も多く、非常に勉強になりました。

―その経験を踏まえて、日本のデジタル政策における根本的な課題は何だと感じますか?

政策の導入が円滑に進みにくい点です。民間企業であれば、サービスを利用する方に響けば良いのですが、政治はそうはいきません。例えばマイナンバーカードと保険証の一体化も、デジタルに慣れ親しんだ世代は抵抗がないかもしれませんが、紙の保険証を残してほしいという声も多くあります。

忘れてはならないことは、少数派に配慮すればするほど、多数派の利便性が損なわれてしまうことがある点です。民間企業の感覚であれば多数派を優先しますが、政治家としては、少数派への配慮をどう両立させるかを、より真剣に考えなければならない。そこが大きな違いであり、難しい点だと感じています。

―今後、デジタル分野で特に注目しているテーマや、ご自身の経験をどう活かしていきたいですか?

月並みな回答になりますが、やはりAIには注目しています。それから、社会保障費の削減、ひいては手取りを増やすことにつながるという意味で「医療DX」に非常に注目しています。医療分野を効率化できれば、現役世代が払う社会保険料の負担を軽減できる可能性があるからです。

―医療DXは「重要だ」と言われながら、なかなか進んでいない印象もあります。

さらなる加速が期待される分野だと認識しています。例えば、病院間の情報伝達にFAXが利用されているなど、慣習として残っているアナログな側面も多くあります。ただ、厚生労働省も医療DXの基盤整備を着実に進めており、マイナンバーカードと保険証の連携によるデータ収集もその一環です。この計画をいかに早く最終目標まで到達させられるかが重要だと考えています。

―その中で、国民民主党として、また奥村議員として、どのような貢献をしていきたいですか?

まず、党のデジタル政策はまだ強化の余地があるため、より一層力を入れていかなければなりません。自民党などがAIの利活用に関する提言をまとめていますが、それに対する我々の対案をしっかりと示していきたいです。

党内には医師でもある議員もいらっしゃるので、医療現場の視点と、私のようなテクノロジーの知見を掛け合わせることで、より実効性のある政策提言ができると考えています。

現役世代の責務として、若い世代の声を政治に反映する

―初当選議員として、また党内でも数少ない平成生まれの議員として、今後どのような役割を果たしていきたいですか?

私は現役世代の当事者であり、同じ世代の声を党の政策に反映させていくことが、まず求められている役割だと考えています。

さらに、最も年齢が近い立場として、より若い世代、まだ有権者ではない18歳未満の子どもたちの声も拾っていかなければなりません。彼・彼女らが「この国で将来を描きたい」と思えるような社会をつくることが、最年少議員としての責務です。

―最後に、政策実現の先に見据えている日本の将来像についてお聞かせください。

私が描きたいのは「誰もが挑戦できる社会」です。海外では多くの方が当たり前に起業に挑戦しますが、日本では奨学金や経済的な不安など、様々な要因でやりたいことがあっても挑戦できない人があまりにも多いと感じています。

まずは、手取りを増やし、物価上昇に負けない経済的な土台を作ること。その上で、誰もが自分のやりたいことを追求でき、それが実現できる社会を作りたい。そのために、一日も早く政策を実現し、未来をたぐり寄せられるよう、全力で取り組んでまいります。

奥村 祥大 議員

おくむら よしひろ
奥村 祥大
  • 生年月日 1994年2月9日
  • 出身地 京都府京都市左京区生まれ
  • 学歴 京都教育大学附属高校 卒業
    早稲田大学教育学部 卒業
    IE Business School(スペイン) MBA修了
  • 職歴 KDDI株式会社
    AI系スタートアップ
    個人事業主
   
この記事の監修者
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株式会社PoliPoli 政府渉外部門マネージャー 秋圭史
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)