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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー公明党・川村雄大議員に聞く!医療政策への信念と1期目の抱負

公明党・川村雄大議員に聞く!医療政策への信念と1期目の抱負

投稿日2025.9.24
最終更新日2025.09.24

川村 雄大 かわむら ゆうだい 議員

1984年北海道出身。東京医科歯科大学医学部を卒業し医師の道へ進む。
2020年には東京都立豊島病院で新型コロナに最前線で対応。
新渡戸記念中野総合病院外科医長、東京科学大学病院食道外科助教を経て
2025年の参議院議員選挙に公明党公認で出馬し、初当選(1期)。

2025年7月20日に投開票が行われた第27回参議院選挙では、自民・公明の連立与党が衆議院に続いて過半数割れに陥り、代わりに野党の新勢力が台頭する結果となりました。今回のインタビューでは医師から転身して初当選を果たした公明党の川村雄大議員に、医療政策への信念や1期目の抱負をお聞きしました。

(取材日:2025年8月27日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史 )

医療現場の感覚と政治が上手く融合すれば、命を守る大きな力になる

川村雄大議員インタビュー

─当選おめでとうございます。まずは、医師として活躍されていた川村議員が政治家を志した経緯を教えてください。

ありがとうございます。これまで「自分の技術で目の前の命を守りたい」という思いで医療に携わってきましたが、その中で医療現場の困難な状況をつぶさに見てきました。外科医だったため12時間以上におよぶ大手術も数多く経験し、医療従事者の働き方改革の難しさにも直面してきました。

また、国立大学病院の6割が赤字の中、資材などの高騰に診療報酬が追いつかない現状も目の当たりにしてきました。さらには、今後20年で半減すると予想される消化器外科医をはじめとした医師の人材不足や偏在など、医療業界には課題が山積しています。

その中で新型コロナの感染拡大が起こり、私も初期の混乱の中で診療にあたりました。行政も医療現場も暗中模索する中、私の心に浮かんだのは「現場の医師の感覚と政治の力が上手くかみ合えば、命を守る大きな力になる」という感覚です。先述した多くの問題について現場を知る人間が政治の場で議論することが、国民の命を守ることにつながるのではないか。そのような考えに至り、政治家をめざすようになりました。

─医師としても、そして政治家への挑戦においても大変な努力が必要だったと思いますが、その原動力となった信念は何でしょうか。

お世話になった方々への「恩返し」の気持ちです。右も左も分からない研修1年目から、本当に多くの人に支えられてきました。深夜に駆けつけて緊急手術をサポートしてくださった先輩や、手術のときにそっと手を支えて技術を授けてくださった先輩などに外科医として育てていただきました。また、向き合ってきた多くの患者様からは「命の尊厳」について教えていただいたと感じています。

他にも多くの医療従事者が重い職責を背負いながら日々ご苦労されていて、本当に頭が上がりません。私が培ってきた現場の知見を、次は政治の場で制度設計に生かせば、お世話になった方々への恩返しにつながると思っています。

「安心できる医療体制」「現役世代への希望」「気候変動対策」の3本柱で戦った参院選

川村雄大議員インタビュー

─選挙戦では、主にどのような政策についてアピールされましたか。

私は大きく「安心できる医療体制」「現役世代への希望」「気候変動対策」の3本柱で政策を訴えました。1つめの医療体制について、日本の国民皆保険制度は世界に誇るものですが、限界に来ているのも事実です。これを維持するためには、医療の提供体制を変革し、持続可能なものにしていく必要があります。

2つめの現役世代については、私自身も子育て世代であり、選挙戦では同じ世代の方からさまざまな不安や不満の声をいただきましたので、それらを希望に変えていくことに力を注ぎたいと思っています。特に社会保険料の負担軽減は重要なテーマですが、そのためには増え続ける医療費を抑制する必要もあります。診療報酬の改定だけでなく財政支援も必要ですし、予防医療や医療DXなど、さまざまな施策を組み合わせる必要があることを訴えました。

そして3つめの気候変動対策ですが、これには2つの意味があります。1つは気候変動が健康被害に直結していることで、熱中症は既に知られていますが、それ以外にも小児喘息など複数の疾患との相関関係が指摘されています。そのため「命と健康を守る」という意味でも気候変動対策に取り組む必要があります。もう1つは、やはり子どもたちの世代に持続可能な世界を残さなければならない、という「親としての責任」の意味です。

─今回の選挙で「気候変動対策」に注目されたのはなぜでしょうか。

他の候補者の演説も拝見しましたが、気候変動への言及は少なかったと思います。ただ、今後の選挙で気候変動対策が争点になっていくのは間違いないでしょう。気候変動で受けるダメージは貧困層ほど大きく、若年層は「気候変動対策を争点にする政治家に投票したい」と考える傾向にあることが意識調査でもわかっています。

若年層へのアピールという点では奨学金減税についても訴えましたが、これは大きな手応えがありました。奨学金を返済している方は非常に多いのが現状です。その負担を軽減することは重要で、ちょうどこれから文部科学省と協議していくところです。

今の価値観を捨てるところから成長が始まる

川村雄大議員インタビュー

─初当選の議員として、公明党内でどのような役割を果たしていきたいですか。

まだ新人ですので党全体について何か言える立場ではありませんが、最年少の参議院議員として若い世代の方々の声にしっかりと耳を傾けていきたいと思っています。20~30代の中にも政治への問題意識をお持ちの方は多く、私はそのような方々とも胸襟を開いて対話しやすい年齢だと思います。将来を担う皆さんの率直な思いを色眼鏡なしに受け止められる存在、かつその思いを政策につなげられる存在でありたいと考えています。

そして、新しい世界に挑戦して飛び込んだ今の感覚を忘れないようにしたいと思います。初心を忘れず、自分より若い方々からも学ぶ姿勢を持つことが、成長につながります。「アンラーン(unlearn)」という言葉がありますが、「今の価値観を捨てるところから成長が始まる」という意識を持って自分自身をアップデートし、それが党のアップデートにもつながればうれしいですね。

─政治家として、国や社会の未来像をどのように描いていますか。

これから少子高齢化がますます進みますが、見方を変えれば「子ども1人に関われる大人が増える」ということです。私も経験していますが、子育ては楽ではありません。現役世代の方々が子育てしながらでも自己実現できる世の中にするためには「社会全体で子どもを育てる」という視点が必要です。その一環として、高齢者の皆さんがもっと社会参画することで間接的にも直接的にも子育てに関われるような社会構造を作りたいのです。そのためには健康長寿が欠かせません。そこで鍵になるのが「予防医療」です。医師の経験を生かし、病気にならない、あるいは病気を悪化させないための医療の充実に力を入れていきます。

公明党は日本がめざすべき将来像を示した「2040ビジョン」の中で「創造的福祉社会」という概念を掲げています。これは「人々のつながりと支え合いを幾重にも創り上げ、全ての人の尊厳を守るとともに、それぞれの自己実現に最適な環境を提供できる社会」と定義しています。多様性の尊重や弱者への優しさを持った若い方々を中心に、この機運を高めていきたいと考えています。

若い世代の声に敏感な政治家でありたい

川村雄大議員インタビュー

─最後に、今後の抱負や読者の方へのメッセージをお願いします。

1期目ですので、とにかく多くの人にお会いして勉強を重ねていきます。医療に関しても待ったなしの政策が数多くありますので、1年生議員だからといって甘えることなく仕事に邁進したいと思います。そのためには、先輩議員や志を同じくする同僚、同期の議員との連携も重要です。

読者には比較的若い方も多いと思いますが、若い方の政治参加は私も非常に大切だと思っています。若い方の感覚で声を届けられるようなプラットフォームをぜひ充実させていただきたいと思いますし、私もそのような声に敏感な政治家でありたいと自分に言い聞かせています。

川村雄大 議員

かわむらゆうだい
川村雄大
  • 生年月日 1984年6月29日
  • 出身地 北海道帯広市
  • 学歴 創価高等学校
    東京医科歯科大学医学部医学科
  • 職歴 新渡戸記念中野総合病院外科医長、東京科学大学病院食道外科助教を経て、2025年の参議院議員選挙に公明党公認で出馬し、初当選(1期)
   
この記事の監修者
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株式会社PoliPoli 政府渉外部門マネージャー 秋圭史
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)