近年、社会の変化により孤独感や孤立が深刻化している日本。そのため、内閣官房は令和5年3月3日に「孤立孤独対策推進法」を提出しました。
この記事では、その概要や目的、具体的な施策などについて詳しく解説します。
1、孤立孤独対策推進法の概要
(1) 孤立孤独対策推進法の目的
孤立孤独対策推進法の目的は、社会の変化に対応し、日常生活や社会生活において孤独を感じることや社会から孤立していることにより、心身に有害な影響を受けている状態にある人々への支援を強化することです。
この法律は、孤独や孤立の問題に対処するための総合的な対策を推進することを目指しており、内閣官房に孤独・孤立対策担当室の設置等を定める必要があると述べています。
(2)法案の背景
孤立・孤独対策推進法の背景は、近年の社会の変化により、日常生活や社会生活において孤独を感じたり、社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある人々への支援が必要となっていることです。
孤独や孤立の問題は社会全体で対応すべきだとして、国民民主党は孤独・孤立対策の推進に関する法律案(孤独・孤立対策推進法案)を参議院に提出しました。
この法案では、孤独・孤立対策を総合的かつ集中的に推進するため、孤独・孤立対策の基本となる事項を定めるとともに、内閣総理大臣を本部長とする推進本部の設置や、孤独・孤立対策担当室の設置が盛り込まれています。
また、新型コロナウイルスの影響で孤独・孤立問題が深刻化しており、政府は自殺防止や高齢者の見守りなど関係府省に連携して対策を進めることが求められています。これらの取り組みにより、今後孤独・孤立問題に対する総合的な対策が推進され、社会全体での対応が期待されています。
2、 推進本部と担当室
(1) 内閣官房孤独・孤立対策担当室
内閣官房孤独・孤立対策担当室は、社会的不安に寄り添い、深刻化する社会的な孤独・孤立の問題について総合的な対策を推進するための企画及び立案並びに総合調整に関する事務を処理するために設置されました。
この対策担当室は、以下の3つのテーマに関するタスクフォースを設置しています。
- ソーシャルメディアの活用
- 孤独・孤立の実態把握
- 孤独・孤立関係団体の連携支援
また、内閣官房孤独・孤立対策担当室は、NPO等の支援団体、民間企業、学識経験者、行政が一体となって取り組みを進めています。
(2)推進本部
孤独・孤立対策推進本部とは、社会的不安に寄り添い、深刻化する社会的な孤独・孤立の問題について総合的な対策を推進するための組織です。
総理大臣を本部長とし、政府全体として総合的かつ効果的な対策を検討・推進するために設置されています。
孤独・孤立対策推進本部では、「重点計画」を策定し、毎年度を基本としながら必要に応じて見直しを行っています。
また、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームが設立され、事務局の運営は内閣官房孤独・孤立対策担当室と一般社団法人RCFが行っています。
このように、孤独・孤立対策推進本部は、政府一体となって孤独・孤立問題に取り組むための重要な役割を果たしています。
3、 重点計画の内容
(1)基本方針
重点計画には、以下の4つの基本方針が定められています[7]。
- 孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい社会とすること
- 状況に合わせた切れ目のない相談支援につなげること
- 見守り・交流の場や居場所づくりを確保し、人と人とのつながりを生むこと
- 必要に応じて継続的な支援を提供すること
(2)具体的な施策
重点計画では、次のような具体的な施策が示されています。
- 一人ひとりが孤独・孤立を克服できるような支援体制の整備
- 地域と連携した取り組みの推進
- 学校教育における孤独・孤立対策の強化
- 企業や団体との協力による支援の拡充
(3)令和4年の孤独・孤立対策の重点計画
令和4年の孤独・孤立対策の重点計画に関しては、令和4年12月26日に孤独・孤立対策推進会議が決定しました[1]。この計画では、孤独・孤立の実態把握や予防、支援体制の充実、地域と連携した取り組み、情報発信と啓発活動が重要視されています[3]。具体的には、以下のような取り組みが含まれています。
①孤独・孤立の実態把握
- 孤独・孤立の実態を把握し、データや学術研究を蓄積する。
- 予防の観点から施策の在り方を検討する。
②支援体制の充実
- 当事者や家族に必要な情報が届くようにする。
- 制度や情報に触れる機会を増やす。
- プッシュ型やアウトリーチ型で支援情報を届け、予防的な関わりを強化する[5]。
③地域と連携した取り組み
地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査[4]。
④情報発信と啓発活動
孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい社会を目指して、情報発信や啓発活動が行われている。
以上のような取り組みを通じて、孤独・孤立問題に対処するための仕組みを整え、より良い社会を目指しています。
参照:孤独・孤立対策の重点計画
4、法案のポイント
(1)支援体制の強化
孤立孤独対策推進法は、政府、地方自治体、企業、学校、団体などが連携して支援体制を整えることを目指しています。これにより、孤独や孤立を感じる人々が適切な支援を受けられる環境が整い、問題の解決に繋がります。
(2)つながりの重要性
この法案では、人々のつながりを重視しています。家族や友人、職場や地域社会などの人間関係が、孤独感や孤立の解消に役立つと考えられています。
PoliPoliで公開されている孤立・孤独問題の取り組み
誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、孤立・孤独問題の政策について、以下のように公開されています。
あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|社会的処方を通じ誰ひとり取り残さない社会を!
(1)出産費用負担軽減の政策提案者
議員名 | 石井 苗子 |
政党 | 参議院議員・日本維新の会 |
プロフィール | https://polipoli-web.com/politicians/KnBDukUBkzGnFPzBwC4h/policies |
(2)孤立・孤独問題の政策目標
政策目標は主に以下の通りです。
- 社会的処方の推進
- リンクワーカーの育成支援
- 社会的処方の複眼的な構造転換
- 医師との連携システムの検討
(3)実現への取り組み
実現への取り組みは以下の通りです。
- 意見交換会の実施
- 政策提言・趣意書の提出
- メンタルケアの専門家としての発信
この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。
孤立孤独対策推進法のよくある質問
Q1. 孤立孤独対策推進法はいつ提出されたのですか?
令和5年3月3日に「孤立孤独対策推進法」を提出しました。
Q2. 孤立孤独対策推進法の目的は何ですか?
孤独を感じることや社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている人々への支援を目的としています。
Q3. どのような施策が講じられる予定ですか?
支援体制の整備や地域連携、学校教育や企業活動など、多様な分野での取り組みが行われる予定です。
Q4. どのように孤独感や孤立が軽減されるのですか?
政府や地方自治体、企業、学校、団体などが連携して支援体制を整え、人々がつながりを持ちやすい環境を作ることで、孤独感や孤立が軽減されることが期待されています。
Q5. 個人ができる孤独・孤立対策は何ですか?
友人や家族とのコミュニケーションを大切にすること、趣味を持つこと、地域の交流イベントに参加することなどが、個人ができる孤独・孤立対策です。
まとめ
孤立孤独対策推進法は、政府が主導する孤独感や孤立問題への総合的な対策です。
各関係機関が連携し、人々のつながりを重視した取り組みを展開することで、孤独感や孤立が軽減されることが期待されています。