2025年10月10日、公明党の斉藤鉄夫代表は自民党の高市早苗総裁と会談し、自民党との連立政権から離脱する方針を伝えました。両党の協力関係は約26年にわたる長いものであり、野党に転じた公明党に注目が集まっています。
以下では、公明党の概要、連立政権で果たした成果と役割、そして野党となった後の政策方針について、わかりやすく解説します。
1. 公明党とはどんな政党?
公明党は、1964年11月17日に、池田大作創価学会会長(当時)の発意によって結成された政党です。自民党との連立は1999年に始まり、野党に転落した2009年から2012年までの3年間を除いて、これまで26年間にわたり共に政権を担ってきました。
(1)公明党の概要
| 名称 | 公明党 |
| 歴史 | 1964年 |
| 議席数 | 衆議院:24 参議院:21 |
| 常任役員会 | 代表:斉藤鉄夫
副代表:赤羽一嘉、佐藤茂樹 幹事長:西田実仁 中央幹事会会長:赤羽一嘉 政務調査会長:岡本三成 参議院会長:谷合正明 参議院幹事長:石川博祟 幹事長代行:(空席) 選挙対策委員長:三浦信佑 国会対策委員長:佐藤英道 総務委員長:高鍋博之 機関紙委員長:吉本正史 広報委員長:谷合正明 女性委員長:竹谷とし子 |
| 公式サイト | https://www.komei.or.jp/ |
| 公式SNS | YouTube、X、Instagram、Facebook |
(2)公明党の党首
| 名前 | 斉藤鉄夫(さいとう てつお) |
| 役職 | 代表 |
| 経歴 | 島根県邑智郡羽須美村生まれ。清水建設勤務を経て
1993年、衆議院議員総選挙で初当選(11期)。 工学博士。東京工業大学(現・東京科学大学) 大学院理工学研究科応用物理学専攻修士課程修了。 環境大臣、国土交通大臣などを歴任。2024年11月公明党代表に就任。 |
政治ドットコムにおける斉藤鉄夫代表のインタビューはこちらをご覧ください
(3)公明党の理念

公明党の立党の精神は「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」です。
綱領*として以下の7つを掲げています。それぞれの詳細はこちらをご覧ください。
- 〈生命・生活・生存〉の人間主義
- 生活者重視の文化・福祉国家
- 人間と自然の調和
- 人類益をめざす地球民族主義へ
- 世界に貢献する日本
- 草の根民主主義の開花と地方主権の確立
- 民衆への献身とオピニオン・リーダー
*綱領とは政治団体の対策や方針を箇条書きで記したもののこと。
2. 連立政権のなかで公明党が果たした役割と成果
公明党は1964年に結党した政党のため、歴史がとても長いです。また、1999年の連立政権参加以降、公明党は福祉政策を軸に政策実現を積み重ねてきました。その歴史の中で、公明党は自らが主導して実現したと公表している政策があります。その中でも以下のようなものが挙げられます。
- 消費税の軽減税率
- コロナで特別定額給付金
- 幼児教育・保育無償化
- 返済不要の給付型奨学金制度の導入
- 出産育児一時金
- 不妊治療に保険適用
こうした取り組みは、生活者の視点に立った政策実現を重視する公明党の姿勢を表しているといえます。
また、自民党との連立政権では、いわば「ブレーキ役」としての役割を果たしてきたと評価されています。たとえば、安倍政権が目指した憲法9条への自衛隊明記に対しては、慎重な姿勢を貫きました。さらに、岸田政権が閣議決定した新たな安全保障関連3文書についても、他国の領域を攻撃できる反撃能力の保有に慎重な立場を示しました。こうした姿勢について、公明党の山口那津男代表(当時)自身も、「車に例えれば、公明党はアクセルとブレーキ、そしてハンドルを使い分けながら政権を安定させている」と語っています。過去26年間、公明党が自民党と連立政権を組んだことで、公明党は自民党の保守色の強い政策に対する「ブレーキ役」を果たし、バランスの取れた政策形成に寄与してきたと指摘されています。
引用:TBS
3. 連立解消後の方針

自民党との連立政権を離脱した公明党は、今後どのような方向性を描こうとしているのでしょうか。
公明党は、今後の党の方向性として、「与野党の連携の軸となり、国民生活を守る政策と衆望に応える改革を実現し、存在感を発揮したい」との姿勢を示しています。斉藤代表も、「公明党は責任ある中道改革勢力の軸として、政治の安定に徹していく」と強調しました。
さらに、上記を実現していくための大きな柱として、以下を具体的に挙げています。
- 東アジアおよび世界の平和と安定を図る外交・安全保障
- 少子高齢化に対応した社会保障と税の改革
- 日本経済を強くする成長戦略
- 科学技術力を生かした新たなエネルギー政策の推進
なかでも外交・安全保障では、2025年5月9日に策定した「平和創出ビジョン」を軸に、北東アジアの安全保障環境の改善を目指しています。このビジョンでは、日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮などが参加する「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を提唱しています。これは「アジア版OSCE(欧州安全保障協力機構)」とも位置づけられ、日米同盟を安全保障の基軸としつつも、防災・災害救援・気候変動などの共通課題から対話と協力を積み重ね、多国間の信頼醸成を進める現実的な道筋を重視する姿勢を示しています。
引用:公明党
まとめ
公明党は歴史が長い分、目に見える実績が多い政党です。他方で、時には保守色の強い政策に対する「ブレーキ役」を果たしていました。今後、野党となった公明党は、「大衆の幸せのために」どんな政策を実現していくのか注目しておきましょう。
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