政策共創プラットフォーム『PoliPoli』(https://polipoli-web.com/)を運営する事務局が、2023年6月の「デジタル」に関する注目ニュースをお届けします!
(1)通常国会が閉幕、岸田総理が「令和版デジタル行財政改革」を表明
通常国会が閉幕したことを受けて、6月21日に岸田総理が記者会見を行いました。その会見では、国会での議論の成果を基礎に2点の課題に取り組むことを表明しました。1点目が「国内投資の活性化」、2点目が「令和版デジタル行財政改革」です。
「令和版デジタル行財政改革」は、国を頂点とする上意下達の仕組みから、国がデジタルによって地方を支える仕組みに転換する改革で、住民や事業体と直接の接点を持つ自治体やNPO(特定非営利活動法人)が、一人一人にきめ細かいサービスをスピーディーに行うようにできるようにするものです。
その上で、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートという位置付けとし、現在のマイナンバーカードで起こっている諸問題を解決・予防すべく、デジタル庁を中心とした「マイナンバー情報総点検本部」を設置し、政府全体で総点検と再発防止を秋までに完了させることとしました。
(参考)
・岸田内閣総理大臣記者会見(令和5年6月21日)
・デジタル庁「マイナンバー情報総点検本部」
(2)「子育て支援レジストリ(仮)」の枠組みが議論される
こども家庭庁は、子育てに関する手続きや負担の軽減策を協議すべく、「こども政策DX推進チーム」を2022年12月20日に設置しました。今年2月から約1ヶ月間かけて集計したアンケートをもとに、その取り組みの優先度と政策を決める会議を行いました。アンケート結果より、特に改善の声が多かった妊娠や出産の手続きについて、郵送やオンライン申請を推進し市役所等に行かなくても完結できるように推進すること、出産前後の健診事務等(妊婦健診、予防接種、乳幼児健診)は、民間アプリ等を活用し紙の書類の削減とプロセスの効率化を図ることを確認しました。
また、同会議で、「子育て支援レジストリ(仮)」についても話し合われ、テータ連携と自治体連携を推進し、当事者がそれぞれのタイミングで⾃らが申請するこれまでの方法から、自治体や事業者が適切に情報連携し、先回りして国⺠にお知らせを行うよう転換していくことも検討していることを公表しました。
(参考)
・こども家庭庁「こども政策DX推進チーム」
・「妊娠・出産等の手続きの負担軽減に係る取組の方向性について」
(3)2028年の発行を目指し「「デジタルユーロ」の発行枠組みに関する規則案」発表
欧州委員会は、欧州中央銀行が発行する「「デジタルユーロ」の発行枠組みに関する規則案を発表し、新たな法定通貨として位置付けて、導入の検討を始めました。
日本でも、政府が掲げる成長戦略の内容を具体化させた「成長戦略フォローアップ案」で、政府・日本銀行が、実証実験の進捗や年内を目途に行われる中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する有識者会議を取りまとめながら、制度設計や法制面の検討を進めることを明らかにしています。
CBDCについては、中国や他の新興国で先行事例があります。特に中国では2019年から実証実験段階に入り、すでに3回目の実証実験にまで進んでおり、DBS銀行などで決済システムの立ち上げが発表されています。
(参考)
・欧州委員会「「デジタルユーロ」の発行枠組みに関する規則案」
・内閣官房「成長戦略フォローアップ案」
・DBS Bank Ltd「DBS launches e-CNY merchant collection solution」
参考URL:株式会社PoliPoli|note ニュースレター|2023年6月【デジタル】注目の動き・ニュース