NGOとは「Non Governmental Organization」の略語です。
日本語では「非政府組織」や「民間団体」という意味になります。
特定の1つの組織を指す言葉ではなく、国家の枠を越えて市民が自発的に参加・運営する全ての組織を指します。
しかしNGOという言葉自体は知っていても、実際の活動内容を把握していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回はNGOについて、以下のとおりご紹介します。
- NGOの概要
- NGOとNPOの違い
- NGOの例
本記事がお役に立てば幸いです。
1、NGOとは
NGOとは、国家の枠を越えて市民(民間)が自発的に参加・運営する組織を指します。
NGOという言葉自体の初出は、1945年の国際連合憲章です。
政府や国際機関とは異なり、民間という立場で問題へアプローチできるので、国家の枠を越えて活動することができます。
経済的利益を目指していないことも特徴の1つです。
活動内容は多岐に渡り、大きく分けて4つの分野があります。
- 開発:教育、貧困救済、保健医療、職業訓練、農業指導など
- 環境:地球温暖化・気候変動、植林、ごみ問題、自然保護・生物多様性保全など
- 人権:子ども、女性、ジェンダー、障害者、先住・少数民族、難民、在日外国人労働者などの人権擁護
- 平和:地雷廃絶、軍備撤廃、平和教育など
その他に、政府や国際機関などに政策上の提言を行う活動や、フェアトレード(公正な貿易)のために不公平な貿易の是正活動をしている組織もあります。
またこれらの活動と併せて、NGO間での情報交流も盛んに行われています。
2、NGOとNPOの違い
NGOとよく似た言葉にNPOがあります。
これら2つの組織の違いは何なのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
(1)言葉の意味の違い
まずは言葉自体の意味から考えてみます。
- NGO:「Non Governmental Organization(非政府組織)」
- NPO:「Non Profit Organization(非営利組織)」
結論として、これら2つの組織は「非政府」と「非営利」という違いがありますが、実質的には似たような立場です。
(2)活動内容における違い
日本においては、以下のような活動内容の違いがあると言われています。
- NGO:国際的な社会活動を行う民間団体(開発協力など)
- NPO:国内の地域社会で社会活動を行う民間団体(福祉活動など)
活動の影響が及ぶ範囲や内容で、NGOとNPOを区別する場合があるということです。
(3)法人格における違い
また、法人格における違いもあります。
日本には「NPO法人」は存在しても「NGO法人」は存在しません。
日本国内では「特定非営利活動促進法」に基づいて法人格を取得した団体を「NPO法人(特定非営利活動法人)」と言います。
NGOにはこう言った登録制度はありません。
そのため、国際協力を行うNGOであっても、法人格上は「NPO法人」である場合が多いです。
3、NGOの例
ここで実際のNGOとして活動している
- WWFジャパン
- HFW
についてご紹介いたします。
(1)WWFジャパン
WWFジャパンとは、自然環境の悪化を食い止め、自然と調和して生きられる未来を目指して活動している環境保全団体です。
地球温暖化に代表される気候変動など、人類を取り巻く環境はは数十年前・数年前と比べても徐々に変わってきています。
そのような時代において、WWF(World Wide Fund for Nature)は現在、約100か国で環境保存活動などをしています。
WWFジャパンはその日本支部で、1971年に世界で16番目のWWFとして東京で設立されました。
具体的な活動としては、科学的な知見に基づいた、以下の4つです。
- 地球温暖化を防ぐ活動
- 持続可能な社会を創る活動
- 野生生物を守る活動
- 森や海を守る活動
参考:WWFジャパン
(2)HFW
HFW(Hunger Free World)は、飢餓のない世界を目指し、約5か国で活動している国際協力団体です。
世界では十分な食料が生産されているのに、9人に1人が「慢性的な栄養不足=飢餓」に苦しんでいる(HFWホームページより)ことをご存じでしょうか。
そういった問題を解決すべく、「食料への権利」の実現をめざし、住民の自立を支援しているのがHFWというNGO団体です。
もともとはアメリカに本部を持つNGOの日本支部として、1984年に活動を開始しました。
その後、日本に本部を置く国際協力NGOとして2000年に独立、組織変更が行われています。
具体的な事業内容としては、以下のものが挙げられます。
- 開発途上国における開発事業
- 政府や国際機関などに政策上の提言を行う活動
- 世界各地における啓発活動
- 青少年育成
また、以下の活動地において、飢餓のないモデル地域を作り上げ、その手法・成果が世界に波及することを目指しています。
- ブルキナファソ
- ベナン
- ウガンダ
- バングラデシュ
- 日本
参考:HFW
4、NGOの課題
ここまでNGOの概要や、実際に行っている活動などについて紹介してきました。
一方で現実として、課題もあります。
日本でのNGOの活動における、2つの課題をご紹介します。
(1)資金不足
NGOは団体によって異なるとはいえ、潤沢な資金が不足している現状があります。
非営利活動=ボランティア(無給)というイメージが先行していることも影響しているのかもしれません。
2002年では、226団体の総収入額は、約266億7,469万円と言われています。
226団体のうち、約43.8%が2,000万円以下の年間予算規模で活動しているのです。
資金確保のためには、多くの市民からの支援を得なければなりません。
しかし、広報まで資金や人材を割くことは現状では難しいでしょう。
説明責任を果たした上で、寄付を積極的に募ることが急務となっています。
(2)人材不足
また、人材不足もNGOの大きな課題の1つです。
「NGOダイレクトリー」第1部の掲載情報によると、226団体のうち、有給専従・有給非専従職員として働いているのは176団体であり、人数は約1,500人と言われています。
国際的な活動をしているNGOも多くありますが、海外で働いている職員に限ってはわずか286人です。
資金不足の解消に伴い組織の強化をはかり、職員が経験を積めるだけではなく、それを生かせる環境作りが課題です。
まとめ
今回は「NGO」についてご紹介しました。
NGOの概要やNPOとの違い、具体的な活動内容をご理解頂けたのではないでしょうか。
NGOは政府や国際機関とは異なり、民間から国内外への問題解決に取り組む組織です。
経済的利益を目指さない組織団体だからこそ、実現する解決策があるものの、日本での活動においては資金・人材不足などの大きな課題もありました。
アフターコロナの世界に生きる私たちは、日本国内のことはもちろん、遠く離れた海外とのつながりについても改めて考える時期に来ているのではないでしょうか。
本記事が少しでも、あなたのお役に立てば幸いです。