政治ドットコム選挙統一地方選挙とは?統一の意味や地方選挙の課題

統一地方選挙とは?統一の意味や地方選挙の課題

投稿日2020.5.3
最終更新日2020.07.02

知事や市長や地方議会議員などの地方の政治家を選出する方法のことを、地方選挙といいます。
そして地方選挙はしばしば「統一地方選挙」と呼ばれます。

全国の地方選挙は、戦後に同じ日に行われることになりました。
それで地方選には「統一」とつくようになりました。
ただ、現在は完全に統一しているわけではなく、統一地方選挙の日程とは別の日に行なわれる地方選挙も増えています。

この記事では、

  • 地方選挙の基礎知識
  • 「統一」の意味合い
  • 選挙の日程にずれが生じている理由

について解説していきます。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、統一地方選挙の概要

地方選挙
地方選挙では、次の4種類の政治家を選出します。

  • 都道府県知事
  • 都道府県議会議員
  • 市区町村長
  • 市区町村議会議員

地方自治体の政治と行政に関わる人を選ぶので、地方選挙と呼ばれます。
地方選挙のその他の特徴を紹介します。

(1)「統一」されたのは、任期が4年で統一されているから

地方選挙の日程が統一されたのは、戦後に政治家を一旦「リセット」したからです。
日本国憲法が施行された1947年5月の前月の4月に、すべての地方選挙が行われました。

そしてすべての地方政治家(都道府県知事、都道府県議会議員、市区町村長、市区町村議会議員)の任期は4年なので、次の地方選挙も、一緒に行なわれることになります。

戦中戦前の地方選挙の結果をいったんすべて取り消して、戦後の民主的なルールですべての地方選挙を同時に行なった結果、日程が統一されることになりました。

(2)「統一」が崩れている理由

現在では、統一地方選挙の日程から外れた日に行なわれる地方選挙も多くあります。
全国的な関心が最も高い地方選挙である都知事選も、統一地方選挙の日程から外れています。

例えば、首長(知事と市区町村長)が任期途中で辞任したり、市町村合併が行なわれたりすると、そのタイミングで首長選挙や議会議員選挙を行わなければなりません。

当然、統一地方選挙の日程とは異なる日に行われます。
任期はそこから4年なので、その次以降の選挙も統一地方選挙の日程とずれます。
それで統一地方選挙の日程と離れた日に行なわれる地方選挙があるわけです。

(3)統一地方選挙の日程を決める法律

統一地方選挙の日程は「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」という法律で決めます。
この法律は、公職選挙法の特別法という位置づけになっています。

この法律で日程を決めるので、統一選挙が行われるたびに、この法律をつくり直さなければなりません。
この記事は2020年4月に執筆していますが、最も新しいこの法律の正式名称は次のとおりです。

「地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙等の期日等の臨時特例に関する法律 法律第百一号(平三〇・一二・一四)」

この法律は、2019(平成31)年に行なわれた第19回統一地方選挙の日程を定めています。

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2、第19回(2019(平成31)年の)統一地方選挙の投票日

「地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙等の期日等の臨時特例に関する法律 法律第百一号(平三〇・一二・一四)」によって、第19回統一地方選挙の日程は次のように決まりました。

  • 道府県と指定都市の首長と議員の投票日:2019年4月7日
  • 指定都市以外の市、町村、特別区(東京23区)の首長と議員の投票日:4月21日

同法では、2019年3月1日~5月31日までの間に任期満了する場合は、上記の日程で行なわなければならない、と定めています。

そして2019年6月1日~10日までの間に任期満了する場合は、上記の日程で行なってもよいし、別の日程にしても構いません。

それ以外の日に任期満了を迎える場合は、任期満了の30日前までに選挙を行うことになります(公職選挙法第33条第1項)。

第19回統一地方選挙の日程を、告示日を含めて一覧表にしてみました。

第19回統一地方選挙の日程(2019年)
告示日 投票日
前半戦 道府県の知事 3月21日 4月7日
指定都市の市長 3月24日
道府県議会の議員 3月29日
指定都市の議員
後半戦 指定都市以外の市長 4月14日 4月21日
指定都市以外の市の議員
特別区長
特別区の議員
町村長 4月16日
町村の議員

「前半戦」と「後半戦」という呼び方は法律用語ではなく、マスメディアや行政担当者がつけたものです。
統一地方選挙内でも、実は2回にわけて実施しています。

3、統一地方選挙の課題

選挙課題
実は、統一地方選挙の日程で行なわれる地方選挙のほうが少なくなっています。
総務省によると、2019年の第19回統一地方選挙(前半戦)で行なわれた地方選挙は、全体の27%にすぎません。
統一地方選挙は今や、「不統一地方選挙」といえます。

統一地方選挙の課題について考えてみます。

(1)なぜ統一がよいのか

そもそも地方選挙は統一したほうがよいのでしょうか、それとも不統一のほうがよいのでしょうか。
学説(法律の専門家たちの考え)では、統一したほうがよいという考え方が優勢のようです。

統一したほうがよい理由には、次のようなものが考えられています。

  • 同時にたくさんの選挙が行われることで国民の政治への関心が高まる
  • 国民の政治への関心が高まると、自治への意識も高まる
  • 自治への意識の高まりで、投票率の向上が期待できる
  • 選挙を管理、監視する自治体職員たちの情報収集が進み、業務の円滑化やコストの低減を図ることができる

政治への関心が高まることも、投票率が向上することも、民主主義にとって「とてもよいこと」といえるかもしれません。
なぜなら民意の反映に繋がるからです。

例えば、小さな村の村長選や議会選挙が単独で行なわれても、その村の住民以外は関心を持たないことでしょう。
他県の人ならなおさらです。

もしかしたら村民の意識も高まらないかもしれません。政治への無関心は現在深刻な問題になっています。

しかし、マスメディアが「さあ統一地方選が始まります」と報道し始めれば、日本中が「政治の季節」になり、村民たちも都会の人も、自分たちの代表になる人物を厳しい目で見るようになる可能性があります。

また、統一地方選挙の特徴としては、いわゆる「世論」を形成しやすく、また、世論を選挙結果に反映させやすいということが挙げられます。

それに比べると単発の地方選挙は、世論よりも「小さなエリアの論」が重視されやすくなる傾向にあります。

ただ、地方選挙は統一したほうがよい、という考え方は「机上の空論」になっているかもしれません。
それは、統一地方選挙の日程で行なっている地方選挙でも、無投票当選が続出しているからです。
2019年の統一地方選(前半戦)では、無投票当選の比率が過去最高になりました。

無投票当選は、議員定員と同数かそれより少ない人数しか立候補しない場合と、首長選に1人しか立候補しない場合に発生します。

立候補するだけで、当選してしまうということです。

無投票当選が増えているのは、地方自治体の政治家を志す人が減っているからです。
「政治離れ」どころか「政治家志望離れ」が起きていて、それは地方選を統一させたくらいでは解消できないほど深刻化しています。

選挙が民主主義の根幹をなすのは、選挙をすれば適切な政治家が生まれると期待できるからです。
立候補するだけで当選してしまう無投票当選が増えれば、民主主義の根底が揺らぐことになりかねません。

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(2)統一か不統一かで、有利・不利が生じる

統一地方選挙には地方によって、また選挙によって有利・不利を生じさせない、というメリットもあります。
統一すれば、ある程度条件を同じにできるからです。

現在は、統一地方選挙の日程に行なわれる地方選挙は3割以下なので、地方によって、また、選挙によって、有利・不利が発生しています。

地方選挙の日程がバラバラだと、組織力がある政党の立候補者が有利になるかもしれません。
例えば、A市の市長選が10月に行われ、B市の市長選が11月に行われれば、組織力のある政党は、両方の選挙に全勢力を注ぐことができます。

統一地方選挙では、組織の力が分散されてしまいます。
では、統一地方選挙が必ず組織力がある政党に不利になるかというと、そうではありません。
それは、選挙には次のような傾向があるからです。

選挙の有利・不利は、「統一か不統一か」だけでなく、「晴れか雨か」「投票率が高いか低いか」によっても変わります。
天候と投票率は、法律で制御することはできません。

しかし、すべての地方選挙を統一した日に行うことは、法律で決めることができます。

(3)不統一は法律で解消できる

統一地方選挙の日程から外れる地方選挙が多くあるのは、首長の辞任や市町村合併などが起きるからです。
しかし、法律を変えれば、首長が辞任しても、市町村が合併しても、統一日に選挙を行うことができる可能性があります。

地方の政治家(首長と議員)の任期は4年になっていますが、この期間を柔軟に変えられるようにすれば、かなり統一性を高めることができます。

例えば、ある知事が任期途中に辞任して、次の知事が就任したら、その新知事の任期を統一地方選挙の日までにすればよいわけです。

また、地方議会(都道府県議会と市区町村議会)も解散ができるので、「統一地方選挙合わせ解散」も不可能ではありません。

(4)福元健太郎教授による見解

学習院大学法学部の福元健太郎教授によると、地方選挙の不統一が生じた最も大きな原因は、1950年代に行なわれた「昭和の大合併」です。

昭和の大合併により元々沢山あった市町村が統合されていきました。
また、その他の不統一地方選挙も、ほとんどは、昔の首長の退職や死去、昔の議会の解散や議員の総辞職が原因になっています。

福元氏は、不統一は「現在とほとんど無縁の要因」で起きていると指摘しています。
さらに「選挙がいったん統一地方選挙から外れても、また統一地方選挙に復帰することもあり得る」と述べています。

まとめ

日本の人口は減り続けています。
人口が減ると地方行政は非効率になるので、市区町村の合併のきっかけになります。

地方行政の運営は、首長や議会議員の地方の政治家たちがチェックしているので、人口減は地方選挙にも影響を与えることになります。

選挙制度は、人口減に合わせたものにしていく必要があるかもしれません。