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行政立法とは?2つの規則を簡単解説!

投稿日2020.8.2
最終更新日2020.08.17

行政立法とは行政が定めた国の規則を指します。
しかし国の規則とは国会の定める法律であり、法律は国会でしか作れないものなので混乱してしまう方がいるかもしれません。

確かにその通りなのですが「◯◯に関することであれば行政が規則を作って良い」と法が定めている(委任している)場合、行政で国の規則を定めることができます。

この記事では

  • 行政立法とはなんなのか
  • 行政立法の仕組み

について解説していきます。

この記事を読むことで混乱してしまいがちな行政立法について理解し、政治についてより関心が深まるでしょう。

本記事がお役に立てば幸いです。

1、行政立法とは

行政法
行政立法とは行政が定めた国の規則を指し、具体的には政令などがそれにあたります。
政令は憲法73条に基づいて内閣(行政機関)が定める規則のことです。

しかし本来国の規則とは国会の定める法律であり、法は国会にしか作れないものと憲法41条で規定(立法権は国会にしか無い)されています。

なぜ行政機関が国の規則を制定することができるのでしょうか。

(1)行政立法が存在する理由

まず前提として日本における国の最高規範は「日本国憲法」にあたります。

憲法では国民の自由や権利、義務について定めており、大きな枠で日本国民に必要な規則が記載されています。

そのため、日常生活の事細かいことについては明記されていません。

また法律も国民の生活や生命、財産に関わる取り決めをこれまた大枠で定めています。

しかしこうした大きな括りでの規則は、変化していく社会状況への迅速な対応が困難です。そのため、現代の問題に対処するためには専門的な知識が求められるケースが増えています。

そして国会には決めなければならないことが膨大にあり、全ての規則を国会が作ることは不可能と言えます。

このことから、より細かな規則とそれを作る機関が必要です。
そのため憲法73条より、国会で定められた法律によって「◯◯については行政が決まりを定めても良い」とされた事柄の中から、行政が実際に立法できることになっています。

法律が、他の形式で規定を作ることができるようにすることを「委任」と言います。

2、行政立法は大きく2つにわけられる


行政立法は大きく2つにわけられています。
大きな違いは、「法規(国民の義務や権利に影響を与える法規範)」を含むか含まないかです。
法規を含むものは「法規命令」、含まないものは「行政規則」と呼びます。

(1)法規命令

法規命令は、国民の義務や権利に影響を与える規則のことです。

例えば車を運転するには運転免許が必要になります。
免許の取得方法や更新、免許が取り消される基準などの細かい内容について行政が決めています。

こういった法規命令は、内容により更に「委任命令」と「執行命令」に分けられます。

(2)行政規則

行政規則は、法規を含まない規則のことです。
行政という組織の中で適用される、国民の権利義務に関係しないルールのことを指します。

例えば、住民票の発行手続きや保育園の認定手続きなど、直接的には国民の権利義務に影響を与えない行政のルールがこれにあたります。

行政規則には

  • 訓令
  • 通達

などがあります。

訓令とは、上級行政機関が下級行政機関を指揮するために発する命令のことです。

県知事から担当部署への命令などがこれにあたります。

通達とは、訓令を書面化したものです。

行政規則は行政機関の間でやり取りされ、国から行政規則を設けられた地方公共団体などがその内容を判断し自らの自治体の規則づくりの基準として役立てます。

3、法規命令とは

法規命令
法規命令はその内容によって「委任命令」と「執行命令」に分けられます。

(1)委任命令

委任命令は法規命令の中で、法律の委任(法が行政機関に規則を決めて良いと任せること)によって行政が定める国民の権利義務に影響を与える命令のことを呼びます。

権利義務に影響を与えるというのは前述したように「車を運転するものがこの程度の違反をした場合免許を停止する」などの決まりを指します。

法律で概念や重要なことを定め、詳しいことは「政令」や「施行令」で定めると条文中に記載されていれば、その法律の施行にあたって所管する省庁が

  • 具体的義務
  • 罰則

を政令や施行令で定めることができます。

条文を読むと多くの法律で、委任が用いられていることがわかります。
行政には委任命令を制定するにあたり一定の範囲での裁量があります。

しかし、法律の趣旨(目的)を逸脱することは禁止されています。
また委任命令では、具体的かつ個別的な法律の委任が必要になります。具体的でなく包括的な委任は白紙委任と呼ばれます。

白紙委任とは内閣が制定する政令などの行政立法に対して、法律がその規則の中身の一切を委任(任せてしまう)することを指します。

包括的委任とも表現されます。
白紙委任による行政立法は法律に基づいておらず、これは憲法41条に違反しています。

白紙委任が許容される場合、国会が国の唯一の立法機関では無くなってしまうためです。

また白紙委任が許されることで、人権を無視した命令が制定されてしまう恐れもあるため禁止されています。

(2)執行命令

執行命令は法規命令の中でも、手続きや事務処理などの細かい部分に関わる内容について行政が発する命令を呼びます。

こちらは具体的かつ個別的な法律の委任は不要ですが、最低限の法律の委任は必要になります。

例を挙げると「免許の更新はいつまでに受けなければならないか」ということや「その更新方法」などが執行命令にあたります。

法律で大まかな国民の義務や権利について定め、その細かい手続きは執行手続きにより規定されます。

例えば保育園と幼稚園の保育料を無償にする法律がありますが

  • 料金を徴収しないで無償にするのか
  • 料金を徴収した上で補助金として払い戻すのか

は行政がその方法を決めることができるのです。

4、行政規則とは

行政規則は役所内部の手続きや事務処理に関するルールが多く、内部規則に近い存在です。
国民の権利義務にも影響しないため法律の委任も不要です。

(1)訓令・通達・通知

行政規則の具体的内容としては、訓令・通達・通知があります。行政内部において上位の役職・機関から下位の役職・機関への指示を指します。

この中で通知とは、特定あるいは不特定の人へある事項を知らせることであると一般的に説明されています。

法律が制定されて施行されると法規命令に加えて、法律を運用するための行政規則が沢山つくられます。
実際に法律を運用して不具合があれば、行政規則を出して是正することがあります。

(2)行政規則と地方分権

日本では2000年を節目に地方分権の時代に入りました。

2000年の地方分権一括法の改正では、これまで国の指示に行政機関が従ってきた行政構造から、県や市町村の地方自治体も権限をもち、自治分権をすすめることになりました。

その中で、行政規則である通達や通知も以前のような強制力はなく、自治体の参考基準程度の扱いになりました。

通達や通知通りに行政運営を行っている自治体もある一方、地域の特性や事情に合わせて独自の規制や規則をつくっている自治体もあり、原則として国と地方は対等な立場にあるのです。

今回は行政立法について解説しましたが、行政訴訟そのものに焦点を当てた記事もあります。

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まとめ

法律は多くが理念や方針を決める大枠のものであるものが多く、時代に合わせてその運用内容は行政に任されています。

行政は憲法と法律の精神に則って規則を立法し、わたしたち国民の生活を支えています。

行政立法は非常に身近にありながら憲法、法律に反していれば効力を失うので、日々修正や追加などが繰り返され、より良いものへと変化しているのです。