政治ドットコム国会立法少年法とは?成立の背景や対象範囲・少年法改正について簡単解説

少年法とは?成立の背景や対象範囲・少年法改正について簡単解説

投稿日2021.5.17
最終更新日2021.05.18
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

少年法とは、14歳以上20歳未満の非行少年に適用される法律です。
日本で事件を起こした人は、法律で裁かれますが、少年に対しては特別な措置が行われます。

少年が事件を起こした場合は、刑法や刑事訴訟法の特別法である「少年法」が優先的に適用されるのです。
今回は少年法について、以下のとおりご紹介します。

  • 少年法の概要
  • 少年事件の扱いについて
  • 少年法の改正

本記事がお役に立てば幸いです。

1、少年法とは

少年法
少年法とは、非行少年に対して性格や環境の調整を行う、特別な刑事司法に関する法律のことです。

精神的・身体的に未発達の少年と大人では、同じ行為でも重大性が異なる場合もあるため、罰も場合により変えるべきという考えに基づきます。

そのため、通常であれば刑法や刑事訴訟法によって刑事裁判を行うところを、「少年法」という特別な法律を優先して適用することにしています。

具体的には、成人が公開の刑事裁判で裁かれる一方、少年は非公開の家庭裁判所で少年審判によって裁かれる、という違いがあるのです。

成人に対しては、罰によって再発を防ぎ、更生させることを目指しています。
一方少年に対しては、罰を与えるだけではなく「教育的機会を設けること」を通して、再発の防止を図るのです。

ここからは

  • 少年法の成立背景
  • 少年法の対象範囲

について解説していきます。

(1)少年法の成立背景

現在では非行少年に対して、少年法が適用されていますが、かつては少年も成人と同じ刑罰を受けていました。

少年に対して現在のような特別な法律が適用されるようになったのは、産業革命の時代からです。

都市部への人口集中が加速し、貧困問題が多発。
非行や犯罪に走る子どもたちが急増し、少年の犯罪への社会的な対処が必要になりました。

そこで国は非行少年への適切な対処には、成人と同様に単に罰するのではなく、親のように少年と向き合い、手をかけて更生させる必要があると考えたのです。

こうして大正時代、日本で最初の少年法が成立しました。
そして戦後のGHQによる大幅な改正及び、その他の度重なる改正によって、現行の少年法ができあがったのです。

(2)少年法の対象範囲

少年法の対象範囲は、14歳以上20歳未満の少年です。
ここでの少年とは、20歳未満の者を指しており、性別は関係ありません。

殺人などの重大事件を起こしている場合は、少年法の対象範囲を越えて、特別な対応がとられる場合はあります。

成人と同様の刑事裁判として、手続きが進められたりするのです。
また14歳未満の場合は、家庭裁判所での審判には進まず、基本的には児童相談所に送られます。

こちらも重大事件の場合には、14歳以上と同様に、家庭裁判所へ送られることがあります。 

参考:検察庁

2、少年事件の扱いについて

家庭裁判所が少年事件として取り扱うのは、以下に当てはまる20歳未満の非行少年による事件です。

  • 犯罪少年:14歳以上で犯罪を犯した者
  • 触法少年:14歳未満で犯罪となりうる行為を犯した者
  • ぐ犯少年:犯罪を犯したわけではないが、本人の性格や環境を考慮すると、将来犯罪を犯す危険があると判断される者

通常の少年事件であれば、家庭裁判所での審判に基づき、

  • 都道府県知事または児童相談所長送致(18歳未満に限る)
  • 保護処分(保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致など)

という手続きが取られます。
ただ重大事件の場合は成人と同様に、検察官による起訴、そして刑事裁判、という流れになります。

参考:検察庁 

3、少年法の適用年齢引き下げ

少年法
もともと少年法の対象範囲は「16歳以上20歳未満」でしたが、2021年現在では「14歳以上20歳未満」と対象範囲が広くなりました。

しかし昨今では、適用年齢の引き下げについての議論が巻き起こっています。

具体的には、「14歳以上20歳未満」を「14歳以上18歳未満」へと変更し、対象範囲を狭めるべきではないか、という議論です。 

議論のきっかけには、2015年6月の選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる「公職選挙法の改正」が挙げられています。

この改正では「民法、少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」とされ、少年法についても見直す必要性が生まれたのです。

法務大臣の諮問機関である法制審議会は、引き下げについて検討していますが、現状では結論が出ていません。

なお

  • 日本弁護士連合会
  • 全国52の弁護士会
  • 8つの弁護士会連合会

は共に、少年法の適用年齢引き下げには、反対の意見を述べています。

参考:弁護士連合会 

(1)少年法の改正について

2020年の段階では、先に述べた「少年法の適用年齢引き下げ」は見送ることになりましたが、「18・19歳の犯罪」については、一部違った扱いをすることが決まりました。

現在の少年法では、殺人などの重大事件の場合は、成人と同じ刑事裁判を受けることになっています。
この対応を逆送といいます。

この逆送について、18・19歳による事件は、重大事件ではなくとも、「懲役や禁錮1年以上の刑罰が定められている罪」も対象とする案がまとまったのです。

具体的には、強盗や強制性交といった性犯罪も逆送の対象となりました。
つまり改正が実現した場合18・19歳は、ほぼ成人と同じように扱われるのです。

刑事裁判を受ける可能性が高まることから、事実上の厳罰化と言えるでしょう。
この対応は長期間の議論を重ねた「折衷案」であるため、今後も時代に合わせた対応が求められます。 

参考:少年法改正

まとめ

今回は少年法について詳しくご紹介しました。

少年法の概要に加えて、成立の範囲や少年事件、少年法改正にあたっての論点についてもおわかりいただけたのではないでしょうか。 

特に少年法の適用年齢引き下げに関わる改正については、議論が続いているテーマです。 

少年世代、成人、少年世代の子を持つ成人と、それぞれの立場から見て適切な法律であるよう、時代に即した見直しが求められています。

本記事が少しでもあなたのお役に立てば幸いです。