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憲法改正とは?最近の動きや改正ポイントをわかりやすく解説

投稿日2025.4.9
最終更新日2025.04.09

日本国憲法は1947年に施行されて以来、一度も改正されていません。しかし、時代の変化とともに改正の必要性が議論されるようになりました。

「憲法は難しそう」「自分には関係なさそう」と感じる人も多いかもしれません。でも、憲法は私たちの生活の基本ルールを定めるもの。だからこそ、どのような議論が進んでいるのかを知ることが大切です。

今回は、憲法改正のきっかけや最近の動き、注目されるポイントについてわかりやすく解説します。

憲法改正へのきっかけ——なぜ今、議論が進んでいるのか?

憲法改正の動きが本格化したのは2000年代に入ってから。背景には、国際情勢の変化や国内の制度改革の必要性がありました。

1. 2000年代から始まった憲法改正議論

  • 2000年:衆参両院に憲法調査会が設置され、憲法改正に向けた議論が始まりました。
  • 2007年:「憲法改正国民投票法」が成立。改正に必要な手続きが整備されました。
  • 2012年:自由民主党が憲法改正草案を発表しました。

このように、2000年代から憲法改正に向けた制度整備が進められてきました。特に、憲法改正国民投票法は実際に憲法改正のための国民投票を実施する法的基盤です。これにより、具体的な手続きが定められたことで、改正に向けた環境が整備されました。

2. 憲法改正と変化する国際情勢・国内課題

  • 安全保障の問題:ウクライナ侵攻や中国の軍事的台頭により、日本の防衛体制の見直しが求められています。
  • 災害対策:南海トラフ地震や首都直下地震への備えとして、政府の緊急対応権限の強化が議論されています。
  • 教育・地方政治の改革:学費無償化の推進や地方の意見を反映しやすい選挙制度の整備も検討されています。

これらの課題に対応するために、憲法を改正するべきかどうかが議論されています。

憲法改正への最近の動き——何が進んでいるのか?

近年、憲法改正に向けた具体的な動きが加速しています。

1. 2024年の動き

  • 2024年5月:「憲法改正を求める国民集会」が開催され、岸田総理(当時)がビデオメッセージを発信しました。
  • 2024年9月:自衛隊の明記と緊急事態条項についての論点整理が行われました。
  • 2024年12月:自民党が「憲法改正実現本部」の会議を開催し、憲法審査会との連携を強化しました。

2. 改正に向けた国民への働きかけ

  • 国民投票に向けた広報活動:テレビや新聞での情報発信が強化されています。
  • 与野党の議論の活発化:自民党は改正に積極的な姿勢を示し、立憲民主党は自民案に反対の立場ながらも「論憲」の姿勢をとっています。

憲法改正が現実的な議論として進められる中、国民の理解を深めるための活動が広がっています。

憲法改正の注目ポイント4点——どこが変わる?

現在、憲法改正の議論で注目されているのは、主に以下4つのポイントです。

1. 自衛隊の明記

  • 現在の問題点:憲法9条には「戦力を持たない」とあるが、自衛隊の存在が「違憲」ではないかという批判がある。
  • 改正案:憲法に「自衛隊の存在を明記」し、違憲論を解消する。
  • 賛成意見:「国を守るために必要」「現実と合った憲法にするべき」。
  • 反対意見:「戦争に巻き込まれるリスクが高まる」。

2. 緊急事態条項の創設

  • 現在の問題点:政府が緊急事態に迅速に対応できる法的根拠がない。
  • 改正案:政府が国会の承認なしに緊急対応を行える仕組みを導入する。
  • 賛成意見:「コロナ禍のような事態にすぐ対応できる」。
  • 反対意見:「政府の権限が強まり、国民の自由が制限される恐れがある」。

3. 参議院選挙制度の改革

  • 現在の問題点:地方の声が国政に反映されにくい。
  • 改正案:すべての都道府県から最低1人の議員を選出できるようにする。
  • 賛成意見:より民意を的確に反映する議会運営を実現できる」
  • 反対意見:「法改正で目的を達成できるのではないか」

4. 教育の充実

  • 現在の問題点:家庭の経済状況によって教育機会が左右される。
  • 改正案:「教育の重要性」を憲法に明記し、高等教育の無償化を推進。
  • 賛成意見:「公教育の機会均等と質向上を保障することができる」
  • 反対意見:「法改正で目的を達成できるのではないか」

憲法改正の流れ——どうやって決まる?

憲法改正には、国会と国民投票の二段階のプロセスがあります。

  1. 国会での発議(衆議院・参議院の3分の2以上の賛成が必要)
  2. 国民投票の実施(有効投票の過半数が賛成で改正成立)
  3. 改正の公布・施行(天皇が公布し、定められた日から施行)

国民投票での最終決定が重要なポイントになります。

まとめ——憲法改正について考えよう

憲法改正は、私たちの未来に関わる重要な選択です。賛成・反対の意見をよく知ったうえで考えることが大切。

そして、最終的に憲法を変えるかどうかを決めるのは、国民一人ひとりの意思。次の選挙や国民投票に向けて、今からしっかり情報を集め、自分の意見を持つことが重要です。憲法改正をめぐる動きについて引き続き注目していきましょう。

この記事の監修者
秋圭史(株式会社PoliPoli 渉外部門)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。その傍ら、株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当している。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)

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