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政府が進める自転車政策とは?わかりやすく解説!

投稿日2022.9.16
最終更新日2024.06.17

私たちにとって身近な乗り物・自転車。

自転車には他の乗り物にはない数多くの優れた点があります。

政府は自転車が持つ利点を活かした政策を展開しようとしています。

そこでこの記事では自転車にまつわる政策についてわかりやすく解説していきます。

具体的には以下のような内容を扱います。

  • 「自転車活用推進法」がどのような法律なのか
  • 「自転車活用推進法」と自転車に関係する他の法律との関係
  • 地方自治体ではどのような自転車政策が行われているのか

それでは早速見ていきましょう。

「自転車活用推進法」はどんな法律?

自転車活用推進法は2016年に成立した法律です。

「自転車の活用を総合的・計画的に推進」することで、自転車利用環境のより一層の充実を目指す法律です。

それまで日本には自転車に関して以下の3つの法律が存在しました。

  • 自転車競技法
  • 自転車道整備法
  • 旧自転車法

2016年に成立した「自転車活用推進法」は、これら3つの法律とは異なり、政府がどのように自転車を活用していくかの大きな方針を示した法律です。

この「自転車活用推進法」で自転車が持つ特徴は以下のように説明されています。(下線・太字は編集部による)

(基本理念)第二条

自転車の活用の推進は、自転車による交通が、二酸化炭素、粒子状物質等の環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある物質を排出しないものであること、騒音及び振動を発生しないものであること、災害時において機動的であること等の特性を有し、公共の利益の増進に資するものであるという基本的認識の下に行われなければならない。

2 自転車の活用の推進は、自転車の利用を増進し、交通における自動車への依存の程度を低減することが、国民の健康の増進及び交通の混雑の緩和による経済的社会的効果を及ぼす等公共の利益の増進に資するものであるという基本的認識の下に行われなければならない。
3 自転車の活用の推進は、交通体系における自転車による交通の役割を拡大することを旨として、行われなければならない。
4 自転車の活用の推進は、交通の安全の確保を図りつつ、行われなければならない。
(参考:e-GOV 法令検索「自転車活用推進法」
ポイントは以下の点です。
  • 自転車は環境に優しく、災害時にも活躍する
  • 自転車の活用は自動車による交通渋滞の緩和にも役立つ
  • より一層、移動手段としての自転車の役割を拡大させようとする必要がある

「自転車活用推進法」の骨子は、政府が自転車にまつわる政策を推進する際には、これらの特徴を踏まえる必要があると明言した点です。

「自転車活用推進法」と他の法律との関係は?

自転車の活用推進について明記する「自転車活用推進法」には、関連する法律がいくつか存在します。

他の法律の関係の中で「自転車活用推進法」がどのような位置付けを持つ法律なのかを見ていきましょう。

関連する法律①:交通政策基本法

関連する法律の一つ目が広く交通全般の方針を定めた「交通政策基本法」です。

この交通政策基本法の基本理念は以下のようなものです。

  1. 交通による環境への負荷の低減が図られること
  2. 徒歩、自転車、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の手段による交通が特性に応じて役割分担し、かつ、有機的かつ効率的に連携すること
  3. 交通安全対策基本法等による交通の安全確保に関する施策との連携が確保されなければならないこと

交通政策基本法ではそれぞれの交通手段の特徴に合わせた施策を行わなければならないとされています。

交通政策基本法の大方針を受けて、自転車の活用推進の基本的な方針について定めた法律が自転車活用推進法となります。

関連する法律②:社会資本整備重点計画法

関連法律の二つ目が「社会資本整備重点計画法」です。

「社会資本整備重点計画法」が定める「社会資本整備重点計画」において、自転車の利用環境の整備は特に推進するべき重要項目と捉えられています。「自転車活用推進法」の理念を支援する法律と言えそうです。

その他現在では「自転車活用推進法」から個別・具体的な措置に落とし込んだ法律も存在しています。

具体的には以下の法律です。

  • 「自転車の安全利用の促進及び自転車等の注射対策の総合的推進に関する法律」
    • 百貨店、スーパー等の駐輪場設置義務
    • 地方公共団体等の放置自転車の撤去義務
    • 自転車利用者の防犯登録の義務
  • 「自転車道の整備等に関する法律」
    • 道路管理者の自転車道整備事業を実施する義務
    • 社会資本整備重点計画は自転車道の計画的整備が促進されるよう配慮して定められなければならない

(参考:「自転車活用推進法案の概要」および「自転車活用推進法案と関係法律の整理」

地方自治体での実践例:群馬県の事例

「自転車活用推進法」の第四条には地方公共団体の責務が明示されています。

(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、自転車の活用の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、情報の提供その他の活動を通じて、基本理念に関する住民の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならない。

都道府県などの地方公共団体は「自転車活用推進法」の理念に則って、具体的な施策を実行しなければなりません。

では実際の地方公共団体ではどのような政策が実行されているのでしょうか。

ここでは群馬県の事例をご紹介します。

群馬県における事例

群馬県では「自転車活用推進法」に基づき、「群馬県自転車活用推進計画」を策定済です。
群馬県は中高生の自転車事故が全国ワースト1位です。「群馬県自転車活用推進計画」では、事故率が高い要因分析を中心に分析がなされ、どのように安全な自転車利用を推進していくかが検討されています。
まさに「自転車活用推進法」にある「地方公共団体の区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」ことを実践していると言えるでしょう。
結果的に群馬県は
  • 安全に自転車を利用できる環境創出(ハード・ソフト)

を実現することで、多面的な自転車利用の促進・拡大を図っていくことを目指しています。

(参考:群馬県HP「群馬県自転車活用推進計画」

まとめ

この記事では、わたしたちの身近な交通手段である自転車に着目しました。

「自転車活用推進法」により、私たちが暮らす地方公共団体でも具体的な施策レベルの検討が進んでいます。

脱炭素や感染症リスクなどの社会情勢を鑑みるに、今後も移動手段としての自転車の魅力は向上しそうです。

さまざまな交通手段の中でどのように自転車が位置付けられていくのか。これからの「自転車政策」のありようにも注目したいと思います。

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この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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