防災とは、地震や津波や台風などによる自然災害への対策をおこなうことです。
この記事では
- 政府が想定している災害
- 政府の防災への取り組み
- 個人レベルの防災
などについて解説していきます。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、政府が想定している災害
災害といっても色々あるますが、ここでは主に政府が想定している6つの災害について解説していきます。
(1)地震
地震とは、岩盤のずれによって大地が震動する現象を指します。
地震によって引き起こされる災害では
- 津波
- 建物倒壊
- 火災
- 土砂崩れ
- 液状化現象
などが起きます。
1995年1月17日の阪神・淡路大震災では、マグニチュード7.3の地震が起き、神戸市と芦屋市、西宮市、宝塚市などで震度7の揺れを観測しました。
- 死者6,434名
- 行方不明者3名
- 負傷者43,792名
を出し
- 住宅全壊約10万5千棟
- 半壊約14万4千棟
にのぼりました(平成18年5月19日時点)。
2011年3月11日に起きた東日本大震災では、マグニチュード9.0の地震が起き、これは日本の観測史上最大のものでした。
宮城県栗原市で最大震度7を観測し、北海道から九州にかけて震度6弱から1の揺れが観測されました。
(2)津波
津波は、地震や火山活動により海洋に生じる非常に大きな波の伝播現象です。
街全体を飲み込み、家、バス、電車、大型船などを押し流すといった被害が出ます。
20mの高台(マンションの5、6階に相当)に避難した人が流されたケースも報告されています。
また、津波は一度のみならず複数回にわたり発生し、最初に来た第一波よりも、後の第二波、第三波などの波の方が高くなることもあるようです。
参考:首相官邸・防災の手引き
(3)噴火
噴火は、火山からマグマや火山灰などが急速に地表や水中に噴き出す災害です。
日本は111の活火山を持つ、世界有数の火山国です。
富士山も火山に含まれます。
火山が噴火すると
- 噴石
- 火砕流
- 融雪型火山泥流
- 溶岩流
- 火山灰
- 火山ガス
といった災害を引き起こします。
2014年9月27日に発生した御嶽山(長野県と岐阜県の県境)の噴火では水蒸気爆発が発生し、死者・行方不明者計63名、負傷者69名という犠牲を出しました。
参考:御嶽山噴火による災害
(4)大雨・台風
台風とは、特定の場所で発生した熱帯低気圧のうち、風速17m/s以上のものです。
気象庁は台風を以下のように定義しています。
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。
引用:気象庁
日本では7~10月にかけて台風が接近・上陸し
- 大雨
- 洪水
- 暴風
- 高波
- 高潮
といった災害を度々引き起こしています。
それらの災害はさらに
- 河川の氾濫
- 土石流
- がけ崩れ
- 地滑り
- 道路や住宅の浸水
- 地下空間の水没
といったことにもつながります。
2019年に発生した台風第19号は、以下のような非常に強力なものでした。
東京都江戸川臨海では観測史上 1位の値を超える最大瞬間風速 43.8 メートルを観測するなど、関東地方の 7 か所で最大瞬間風速 40 メートルを超える暴風となったほか、東日本から北日本にかけての広い範囲で非常に強い風を観測した。
(5)竜巻
竜巻は、非常に大きな積乱雲がつくられる時に発生する激しい風の渦のことを指します。
積乱雲は、強い上昇気流により縦方向に発達した雲のことで、高さはときに10kmを超えることもあります。
竜巻によって、建物が倒壊したり、車が転倒したりするなどの被害が出ます。
また、木材が飛ばされて住宅などに突き刺さることもあります。
参考:首相官邸・防災の手引き
(6)雪害
雪害は、雪によって生じる災害のことで、以下のような被害をもたらします。
- 積雪害:雪が積もって交通機関が麻痺し、自動車が道路を走れなくなる
- 雪圧害:屋根に積もった雪の重さで建物が倒壊する
- 着雪害:雪が付着して送電線が切れたり、鉄塔が倒れたりする
- 雪崩(なだれ):山の斜面に積もった雪が崩れて、人家や森を巻き込む
- 地吹雪:地面の雪が強風で舞い上がり視界を遮る、飛行機が離着陸できなくなる
雪害は東北地方や北海道などの豪雪地帯で多発しますが、それ以外の地域でも、自宅の屋根の除雪中に転落したり、凍結した路面が原因で交通事故や転倒事故を起こしたりすることがあります。
参考:首相官邸・防災の手引き
2、政府の防災への取り組み
上記で紹介した6つの災害について、政府がどのような防災への取り組みをしているのかをご紹介します。
(1)地震に対しての対策
地震防災体系や防災対策推進基本計画をつくったり、CGによるシミュレーション映像をつくったりしています。
現在政府が最も警戒している地震の1つが、南海トラフ巨大地震です。
静岡県から宮崎県にかけて震度7の地震が発生する可能性がある他、関東から九州の太平洋沿岸に、およそ10mを超える大津波が想定されます。
また、地面の液状化現象を予防するために、宅地に液状化現象が発生する可能性を判定する方法も確立しました。
さらに、緊急地震速報を発信して、地震が数十秒以内に起きることを知らせています。
地震に遭ったときの推奨される行動について政府は以下のようなものを取り上げています。
- 家のなかにいるときは、頭を保護しながら丈夫な机の下に隠れる
- 大勢がいる施設のなかにいるときは、係員の支持に従う
- エレベーターのなかにいるときは、最寄りの階に停止させて出る
- 屋外にいるときは、ブロック塀や自動販売機など、倒れてくる物体のそばから離れる
- 山のなかにいるときは、落石やがけ崩れが起きなそうな場所に移動する
- 鉄道またはバスに乗っているときは、つり革や手すりにつかまる
- 自動車を運転しているときは、急ハンドルや急ブレーキをしないように注意しながら、ゆっくり速度を落として停止する
- 大都市にいるときは、無暗に移動せず、安全な場所にとどまるようにする
参考:首相官邸・防災の手引き
(2)津波に対しての対策
気象庁は東日本大震災での反省を活かして、津波警報や注意報の発表・表現の仕方を見直しました。
危険がより多くの人々に伝わるように、わかりやすい表現に変更したのです。
例えば、津波警報において予想される津波の高さを、「巨大」「高い」という発表をして非常事態であることをわかりやすく伝えます。
もし、「巨大」という言葉が用いられ津波警報が発表された場合、「東日本大震災と同程度の事態」であるので、早急に出来る限り高い場所へ避難することが重要です。
(3)噴火に対しての対策
気象庁は、111の活火山すべての火山活動を
- 東京の「火山監視・警報センター」
- 札幌・仙台・福岡の「地域火山監視・警報センター」
の計4カ所のセンターで監視しています。
そして111のうち50の活火山を「常時観測火山」に指定し、24時間体制でモニターしています。
常時観測火山には大雪山、十勝岳、八甲田山、蔵王山、那須岳、富士山、伊豆大島、白山、御嶽山、阿蘇山、霧島山、桜島などが指定されています。
また防災体制は、地方と国の2段構えになっています。
火山が噴火すると、地方自治体は災害対策本部を設置して、防災計画に基づいて対策を実行していきます。
甚大な被害になることが予測されるため、国は内閣府に非常災害対策本部か緊急災害対策本部を設置して総合的に対応していきます。
平時から自治体が作成した「火山防災マップ」をみておいて、危険な場所、避難場所、避難経路を確認しておくことが必要です。
火山灰にも注意しましょう。
火山灰の粒子は非常に小さいので、空気と一緒に吸い込み、肺の奥まで侵入することがあります。
火山灰が皮膚に触れただけで炎症を起す人もいます。防塵マスクを使ったり、コンタクトレンズを外して眼鏡を着用したりといった工夫が必要になります。
参考:首相官邸・防災の手引き
(4)大雨・台風に対しての対策
大雨と台風の情報は気象庁によって速やかに公開されます。
大雨と台風は、いつ、どこに、どれくらいの規模のものがやってくるのかが、ある程度事前にわかるためです。
また国土交通省は、こちらの専用サイトで、「気象、水害、土砂災害の情報マルチモニタ」を公開しています。
このサイトでは
- 雨が降っている地域
- 気象警報・注意報
- 河川カメラ映像
- 川の水位情報
- 浸水の危険性が高まっている河川
- 洪水予報の発表地域
- 洪水貯留操作を実施しているダムがある地域
- 洪水警報の危険度分布
- 土砂災害危険度分布
- 水害リスクライン
- 避難情報
が把握できます。
テレビやネットニュースなどで大雨や台風の情報を得たら、上記のマルチモニタ・サイトでより詳しい情報を入手するとよいかもしれません。
(5)竜巻に対しての対策
政府は2013年、内閣府に「竜巻等突風対策局長級会議」を設置しました。
この会議では、予測情報の出し方や災害情報の伝達方法の在り方、防災教育の充実などについて話し合われました。
同会議での検討を受けて気象庁は2014年から「竜巻注意情報の提供」を開始しました。
屋外で竜巻に遭遇した場合は、頑丈な建物のなかに逃げ込み、屋内にいた場合は、窓ガラスから離れた場所にある丈夫な机の下に隠れることが重要です。
参考:首相官邸・防災の手引き
(6)雪害に対しての対策
総務相は雪害対策の一環として「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」を作成しました。
これにより、以下の条件を満たす時、救助を行う機関が電気通信事業者から、個人の携帯電話やスマートフォンの位置情報を取得できるようにしました。
- 救助を要する人を捜索するとき
- その人の生命に対する重大な危険が切迫しているとき
- その人を早期に発見するのに位置情報を取得することが不可欠なとき
携帯電話などの位置情報は厳格に守られなければならない個人情報ですが、上記のような場合、NTTドコモやauなどの電気通信事業会社は、警察、海上保安庁、消防などに位置情報を教えなければなりません。
首相官邸によると、雪害による死亡事故の9割は、雪下ろしなどの除雪中に起きています。
例えば、次のようなものです。
- 屋根からの転落
- 水路への転落
- 歩行中の転倒事故
- 路面凍結による交通事故
積雪の際は、いつもより注意深くなることで事故を防ぐことができるかもしれません。
参考:首相官邸・防災の手引き
3、個人レベルでの防災
できるだけ自然災害による被害を避けるには、日頃から備えをしておく必要があります。
政府が推奨している個人の災害への備えは以下のとおりです。
- 家具の置き方の工夫
- 食料と飲料の備蓄
- 非常用持ち出しバッグ
- 安否の確認方法の確認
- 避難場所と避難経路の確認
- もしものときの情報収集
参考:首相官邸・防災の手引き
4、国による避難指示について
避難については、「いつ開始すればよいのか」「どこに行けばよいのか」の2点を押さえておく必要があります。
そのため、国が行う避難指示について理解していきましょう。
(1)避難情報はどのように伝えられるか
避難情報を得たときに、素早く避難を開始することが非常に重要です。
被害が予測される段階、もしくは災害が起きた後に
- テレビ
- ラジオ
- インターネット
- 防災行政無線
- 広報車
などの手段を用いて、自治体が避難情報を住民に伝えます。
(2)どの警戒レベルで行動するのか
自治体が発する警戒にはレベルがあり、レベルに応じた避難行動が求められます。
例えば
- 警戒レベル3:高齢者が危険な場所から避難することが求められます
- 警戒レベル4:全員が危険な場所から避難しなければなりません
- 警戒レベル5:各人が命を守るための最善の行動を取る必要があります
首相官邸は、空振りを恐れず(避難をしたものの被害がそれ程ではなかった場合など)、警戒レベル3、4の段階で避難を終えるよう呼びかけています。
(3)どこに避難するのか
最寄りの避難場所(指定緊急避難場所)は、自治体によって指定されています。
有事の際、すぐ避難できるように、場所や道順を予め覚えておくとよいかもしれません。
また、こちらの指定緊急避難場所データでは災害種別ごとに指定緊急避難場所を確認することができます。
まとめ
政府や市区町村が提供している災害情報や防災情報を日頃から確認することで、自分や家族の命を救うことができるかもしれません。
小さな自然災害でも甘く捉えず、防災関連の情報にアンテナを張っていきましょう。