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フェアトレードとは?アンフェアトレードの意味や日本での広がりについて

投稿日2020.7.13
最終更新日2020.07.14

「フェアトレード」とは、主に発展途上国の産品を適正な価格で取引するという国際的な取り組みです。

この体制が考え出された背景には、発展途上国で広がる貧困の深刻化や不公平な貿易などの存在があります。

そういった先進国と発展途上国の間にある格差を改善し、途上国の生産者や労働者の生活レベルを向上するために、始まった運動がフェアトレードなのです。

今回は、

  • フェアトレードの概要
  • 国際フェアトレード認証の概要
  • 日本における広がり

などについて分かりやすくご紹介致します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、フェアトレードとは

フェアトレード
フェアトレードは、英語で「fair trade」、日本語で「公正取引」という意味になります。

「発展途上国の生産者やそれに関わる労働者」と「先進国側の国や企業など」が対等な立場に立ち、適正な価格にて取引を行おうという考え方です。

簡単に言えば、

  1. 適正な価格で取引する
  2. 現地生産者が高い技術と収入を得る
  3. 安定的な生産につながる
  4. 環境投資を行えるようになる
  5. 結果的に品質がよくなり、格差も解消されていく

という循環を促すシステムです。
この循環を長期に渡り持続することで、発展途上国の生産者たちの自立が可能になると考えられています。

現在、発展途上国の産品は適正な価格とは程遠い安い価格で貿易されることがあります。
なぜなら、ヨーロッパ諸国などと比べて発展途上国は立場が弱い傾向にあるからです。

しかし、このままでは発展途上国と先進国の経済格差は是正されずに、途上国の人々は貧困に苦しみ続けるかもしれません。

そこで、これらの人々が適正な収入を得て生活が改善できるよう国際的に協力していきましょうという考え方がフェアトレードなのです。

2、フェアトレードのメリットとデメリット

フェアトレードのメリットと代表的な問題点についてみていきましょう。

(1)フェアトレードのメリット

メリットには、以下の4つがあげられます。

  • 生産者や労働者の生活向上の支援
  • 有機栽培による環境保護(現地生産者の収入向上により環境投資が可能になる)
  • 劣悪な労働環境からの解放
  • 子どもの教育の機会の増加

フェアトレードというと、発展途上国に対する生活支援システムという「経済的向上面」が取り上げられがちです。
しかし実際は、同時に自立や教育についても影響を与えるものでもあります。

発展途上国では国により、子どもが働かなくてはならないほどの貧困が存在しています。

国際労働機関(ILO)によれば、子どもが労働に従事する割合として高所得国が約1%であるのに対して低所得国では約43%というデータがあります。

たとえばアフリカでは、5人に1人の子どもが児童労働に従事しています。

つまり、「貧しいがために教育を受ける機会がなく、教育がないためにノウハウを手にすることが出来ず貧しいまま」という悪循環に陥ってしまっているのです。

参考:児童労働報告書

フェアトレードが広がれば、生活の向上が期待できるため、労働者の長時間労働や児童労働などから解放されやすくなるかもしれません。

それは、子どもが教育を受ける機会の増加につながります。
子どもたちが知識や教養をきちんと身につけることができれば、彼らの未来には新しい選択肢が広がっていくでしょう。

このように、発展途上国にただ資金や物資を送るという単発な援助ではなく、自立心を育てる機会を与えることもフェアトレードの利点です。

経済格差については以下の関連記事で詳しくご紹介しています。

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(2)フェアトレードの問題点

良いことだらけのように聞こえるフェアトレードですが、問題点がゼロというわけではありません。
とくに問題として挙げられる代表的な2点について、解説します。

①基準には法的効力が存在しない

フェアトレードには国際基準が決められていますが、設定された基準から外れても罰せられることはありません。
基準には法的効力がないので、企業の独自基準でおこなうことも許されているのです。

そのため、厳密に定めた国際基準と異なる、あいまいな基準で運用されてしまうという問題もあります。
具体的には最低価格が決められていなかったり、生産者に支援が届かなかったりする可能性も考えられます。

②市場価格とずれが生じる

市場価格とは、実際の市場で商品が取引される価格です。
一方、フェアトレードによる適性価格は、原則生産者の生活向上を基準にして決められた価格です。

そのため、市場で売れる価格で設定されている類似商品と比べてどうしても値段が上がりがちになります。
最低保証価格があることで、結果的に市場経済をゆがめることにつながりやすいとの指摘があります。

3、アンフェアトレードとは

フェアトレード
フェアトレードに対して、アンフェアトレードとは発展途上国の原料や製品を、消費者である先進国側がとても安い値段で購入することなどです。

社会的及び経済的に弱い立場の発展途上国が、先進国との不公平な条件の下で取引を行うのです。
これでは、いくら貿易しても貧困から脱却するのは難しくなります。

ですが、世界ではいまだにアンフェアな取引が行われることがあります。

(1)いまだに残るアンフェアトレードの実状

なぜ、アンフェアな状況は無くならないのでしょうか。
その理由の1つに、「貧困」の問題があります。

貧困層の生産者や労働者は、解雇されたら他に働く場所がないため、どんなに劣悪な職場環境であろうと働かざるを得ないのです。

ここからは、アンフェアトレードの実状と先進国と途上国との格差について2つ事例を紹介します。

①カカオ農家

フェアトレードの対象に含まれているカカオも、実際はアンフェアな取引が行われる機会が多く、児童労働も頻繁におこなわれています。

特に、カカオの事実上の主要生産地とされる西アフリカ諸国では、子どもたちが今なお学校へ通わずに農場で働いているほどです。

そして、都市に売りに行く手段がないため、結局企業側の言い値で買い叩かれるケースがあります。
日本人に馴染みのあるカカオも、その背後には多くのカカオ農家が貧困に苦しむ状況が続いているのです。

②商業ビル「ラナ・プラザ」崩落事故

2013年に起こったバングラデシュの商業ビル「ラナ・プラザ」の崩落事故も、アンフェアな状況が世界に公にされたきっかけのひとつです。

バングラデシュは世界有数の衣料品輸出国ですが、この事故によって1,000人以上が亡くなり、2,500人以上が負傷しました。

この事故は国際的に大きく報じられ、ラナ・プラザでは劣悪な労働環境の中で、安価で労働が強制されていたことが知られるきっかけとなりました。

同時に、安価な労働力を求めて進出した企業の中には日本のメーカーもあり、日本人にとっても無関係でないことが浮き彫りになった事故でもあります。

事故後、バングラデシュにおける建物の安全協定「アコード」に「H&M」や「ZARA」の親会社であるインデックスなど含めたアパレル企業約200社が署名しました。

参加企業はバングラデシュの縫製工場などの安全点検を実施し、問題があれば回収費用を負担する仕組みになっています。
なお、アコードの業務は新たなバングラデシュの機関(RSC)に引き継がれています。

4、国際フェアトレード認証

このようなマークをスーパーや食品売り場で見たことはありませんか?

国際フェアトレード認証

出典:FAIRTRADE JAPAN

これは、「国際フェアトレード認証ラベル」と呼ばれ、適正な価格で取引された製品にその証として貼られます。
最近では、日本にも数多くのフェアトレード商品が置かれています。

(1)国際フェアトレードの基準

国際基準は

  • 「生産者の対象地域」
  • 「生産者が守るべき基準」
  • 「トレーダーが守るべき基準」や「対象となる産品」など

多岐にわたります。

そして、その全ての基準に「経済的基準」「社会的基準」「環境的基準」の3つの原則が共通して重視されています。
詳しく見ていきましょう。

①経済的基準

3つの原則の中でも、とくに特徴的なのが経済的基準です。
具体的には、

  • フェアトレード最低価格の保証
  • 長期的な取引の促進
  • フェアトレードプレミアムの支払い
  • 必要に応じた前払い

などがあります。

経済的基準とは、つまり農産物には最低価格があり、生産者から買い取るときは市場価格に関係なく一定の値段で買い取るというものです。

希望があれば前払いも認めており、生産者が安定した収入を得ることの推進もおこなっています。
また、フェアトレードプレミアム(奨励金)をプラスして生産者組合に支払うこともあります。

これにより、組合(途上国の労働組合など)が自主的に生産技術を向上させることや機材を購入できるようになるなど、地域の発展を実現させることが可能になります。

②社会的基準

労働者の働く環境や人権などを定めているのが、社会的基準です。
具体的には、

  • 民主的な運営
  • 労働環境の安全
  • 差別や子供労働の禁止

などがあります。

主に労働環境を健全なものにすることや児童労働の防止などが重視されています。

③環境的基準

生産を一時的なものでなく、持続的に行うために定めているのが、環境的基準です。
具体的に、

  • 有機栽培の奨励
  • 農薬の削減
  • 環境保全
  • 遺伝子組み換え品の禁止

などがあります。

環境的基準では途上国側の農業などを行う環境を保全することを重視しています。

(2)国際トレード認証の対象品目

フェアトレード商品は私たちの生活の中に多く存在しています。
ですが、全てのものが国際トレード認証の対象品目というわけではありません。

主な対象商品は、以下の品目です。

  • コーヒー豆
  • バナナやりんご、アボカドやココナッツなどの生鮮果物
  • カカオ
  • ショウガやシナモン、カモミールなどスパイス・ハーブ
  • 蜂蜜
  • ナッツ類
  • ごま、オリーブなど油性果実
  • ドライフルーツなどの加工果物・野菜
  • サトウキビ糖
  • お茶類
  • ピーマンやメロン、ジャガイモなどの野菜
  • 穀類

また、食品だけでなく、以下のようなものも対象品目に含まれています。

  • コットン
  • バラ、カーネーションなどの花
  • サッカーボールなどのボール

フェアトレードの波が世界に広がり始めていることで、現在では多くの商品の取引価格が見直されつつあります。
今後も対象品目は増えていくでしょう。

5、日本におけるフェアトレードの広がり

1960年代のヨーロッパから世界に広まり、いまでは国際的基準や認証製品、団体などさまざまなものが設立されています。そんなフェアトレードの波は、日本でも近年広がっています。

(1)フェアトレード商品の流通

もちろん、日本でも主に以下のような店舗でフェアトレード商品を購入できます。

  • イオン(グループ)
  • カルディ(KALDI)コーヒーファーム
  • コストコ(COSTCO)
  • 成城石井

ほかにも、自然食品を扱っているお店で販売されていることもあります。
近年は、さまざまな商品を安い値段で簡単に手に入れられますよね。

購入する側にとっては嬉しいことですが、そのぶん生産者たちが低賃金で働くからこそ仕入れ値が安いという可能性も考えられます。

(2)フェアトレードタウン

町全体を巻き込んだ「フェアトレードタウン」というものもあります。
住人や行政や企業などが一体となってフェアトレード商品を購入したり、普及のための活動をおこなったりするのです。

この運動は、2000年にイギリスで始まりました。

以来、現在では世界30カ国に広がり、フェアトレードタウンはロンドンやパリ、ローマなどの首都も含めてその数2000以上に上ります。

日本では2011年6月、熊本市がアジアで初めてのフェアトレードタウンとして認定されました。
それ以降も、名古屋市や逗子市、浜松市や札幌市、いなべ市と現在では計6都市が認定を受けています。

「自分自身の暮らしを改めて見直し、発展途上国や日本でフェアな社会・経済を築いていく」という目的のもと、日本でもフェアトレードの輪が広がっています。

まとめ

「援助」よりも「貿易」を、これがフェアトレード運動の基本です。

いつ打ち切られるかわからない援助よりも、適正価格での貿易の方が現地の人々の雇用にもつながり、経済的な自立を促すことができるからです。

一方、私たち消費者にとっては、買い物でできる身近な国際協力の形となります。
また、フェアトレードは発展途上国だけでなく、先進国も含めた私たちの生活の未来を守ることにもつながります。

先進国が発展途上国のためにおこなうチャリティではなく、世界中で適正価格による取引が当たり前な時代になってほしいものですね。