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ガソリン暫定税率とは?野党が廃止を強く求めるなかでの政府の対応を簡単解説

投稿日2025.4.24
最終更新日2025.04.24

ガソリン税の「旧暫定税率」の廃止が議論されており、2025年に大きな動きがある可能性があります。実現には与野党の足並みや財源の課題が解決されるかどうかが焦点となり、暫定税率が廃止されれば、ガソリン価格は 1リットルあたり25円前後の値下げになります。ガソリン暫定税率とはなにか、各党の主張や今後の見通しについて、詳しく解説します。

ガソリン暫定税率とはなにか

現在、ガソリンや軽油の価格には大きな税金が含まれています。その中には「本来の税」に加え、「暫定税率」という上乗せ部分が存在します。

  • ガソリンの場合(1リットルあたり)

 本来の税金(揮発油税+地方揮発油税):28.7円

         暫定税率(上乗せ分):25.1円

                 合計:53.8円

  • 軽油の場合(1リットルあたり)

       本来の税金(軽油引取税):15円

         暫定税率(上乗せ分):17.1円

                 合計:32.1円

この「暫定税率」は、かつては一時的な財源措置として導入されたものですが、現在も「当分の間」の税率として維持されています。

なぜ暫定税率廃止が重要なのか?

暫定税率を完全に廃止すれば、ガソリン1リットルあたり約25円、軽油1リットルあたり約17円の減税になる可能性があり、家庭・物流・産業全体のコスト削減につながります。

一方で、暫定税率分は大きな財源でもあり、廃止による税収減に対する補填や国・地方の財政への影響が課題となっています。

各党の立場と主張

自民党・公明党(与党)

暫定税率の廃止方針には合意済みだが、時期は未定。
当面は「定額10円引き下げ措置」で対応する方針を固めました。

立憲民主党(野党)

即時廃止を主張。2025年7月からの廃止法案を単独で提出。
税収減(約7600億円)を国が補填する案を盛り込んだ法案を国会に提出しました。

日本維新の会(野党)

2026年3月末での廃止を法案提出済み。できるだけ早期の廃止を求める。
国会に廃止法案を提出。政府・与党と協議を継続しています。

国民民主党(野党)

廃止に賛成の立場。ただし時期については慎重。
2023年12月に自民・公明と廃止に合意しています。現在は、2025年6月〜2026年3月までの価格対策を政府・与党と協議しており、立憲の法案には同調しない立場です。

参考・引用:毎日新聞

廃止?それとも減税?政府は価格引き下げへ

自民・公明の両党は2025年4月22日、物価高対策としてガソリン価格を1リットルあたり定額で引き下げる措置の早期導入を、石破首相に正式に申し入れました。一方、立憲民主党は単独でガソリン暫定税率廃止案を衆議院に提出しています。

1.自民・公明の申し入れの背景と内容

自民党と公明党は、米国トランプ政権の関税政策など、国際経済の先行きが不透明な中で、ガソリン高騰による物価上昇が家計や事業者に深刻な影響を与えているとしています。

申し入れでは、与党(自民・公明)と国民民主党の3党で既に合意している「ガソリン税の暫定税率廃止」について、実施まで時間がかかるため、暫定的に定額でのガソリン価格引き下げを求めています。

特に、「1リットルあたり10円の引き下げを5月中に開始する」よう政府に要請しており、石破首相は「早急に適切に対応する」と前向きな姿勢を示しています。さらに、今回の提案を「重く受け止める」と明言し、国民に実感できる形で迅速に対応する考えです。

参考・引用:NHK

2.立憲民主党は単独で廃止法案提出

ガソリン価格の高騰が続く中、立憲民主党は国民の負担を軽減するため、2025年7月からガソリン税の暫定税率を廃止する法案を単独で衆議院に提出しました。

この法案は、物価高騰から国民生活や経済を守る目的で、ガソリン税の上乗せ分(暫定税率)を廃止する内容です。ただし、その結果、今年度の税収が約7600億円減少する見込みのため、地方自治体の財政に影響が出ないよう、政府が補填措置を講じることも盛り込まれています。

立憲民主党は、日本維新の会と国民民主党に共同提出を呼びかけましたが、国民民主党は自民・公明と廃止に合意済みであることや、維新の会も与党と暫定税率廃止に向けた協議を行っているため、いずれも応じず、法案は立憲民主党のみの提出となりました。

提出後、奥野総一郎議員は「地方ほどガソリン高騰の影響が深刻で、ガソリン価格を下げてほしいという声が非常に強い。維新も国民も法案に反対しているわけではないので、他の党も含め今後さらに賛同を呼びかけていく」と述べています。

参考・引用:NHK

まとめ

 今回の動きでは、暫定税率廃止までの「つなぎ施策」としての定額引き下げに、政府がどこまで迅速に動けるかが焦点となりそうです。自民党の小野寺政調会長は「税制改正よりも、定額引き下げ措置の方がスピーディーに実行可能」であるとし、迅速な対応の必要性を強調しています。

一方、立憲民主党の小川幹事長は自公が提案した「10円の定額引き下げ」に対し、不十分と指摘。特に地方では、ガソリン高騰が生活に直接響いており、「経済的・精神的な負荷が大きい」と述べており、抜本的な税制見直しの必要性を訴えています。

「10円の定額引き下げ」が実現後も、野党は「一時的な対応ではなく恒久的な税制改革を」と主張しており、ガソリン税の税制見直し議論はさらに加速するとみられます。

この記事の監修者
秋圭史(株式会社PoliPoli 渉外部門)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。その傍ら、株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当している。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)

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