情報公開法とは、国が保有する文書などを国民に公開することを定めた法律です。
1999年5月に成立し、2001年4月から施行されました。
情報公開法ではどのような情報を閲覧できるのでしょうか。
本記事では
- 情報公開法の概要
- 具体的な情報提供施策
- 開示請求の方法
- 開示できない情報
についてご紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、情報公開法とは
情報公開法とは、政府の活動を国民に説明するために、行政機関が保有する情報を国民に公開することを定めた法律です。
正式名は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」になります。
1999年5月に成立、2001年4月から施行されました。
行政機関とは、財務省や外務省などの1府12省庁を主とした、政治業務を担う機関です。
組織図引用元:行政機構図(2020.8現在)内閣官房
情報公開法では、行政機関の他に
- 独立行政法人
- 政府の一部を構成するとみられる特殊法人、認可法人等
の情報が公開対象となっています。
独立行政法人については以下の関連記事をご確認ください。
独立行政法人とは?仕組みや課題について簡単解説
(1)情報公開法制定の背景
情報公開法が制定された背景には、「国民に開かれた行政を実現するため」という目的があります。
日本国憲法では「国民主権」を定めています。
国民主権とは、国民の意思によって政治は運営されるべきであるという考え方です。
情報公開法は、政治に関係する情報を国民に公開することで、国民が行政を監視できるようにしました。
これにより、開かれた行政の実現を目指しています。
参考:情報公開法制の概要 総務省
参考:情報公開制度 総務省
(2)情報公開法制定の経緯
情報公開法制定の経緯は、1994年2月にさかのぼります。
1994年2月の閣議で「今後における行政改革の推進方策」が決定されました。
情報公開に関係する制度の本格的な検討が始まりました。
同年12月には、総理府(現内閣府)に行政改革委員会が設置。
行政改革委員会では、行政機関が保有する情報を公開するための法整備等について話し合われました。
1996年12月、行政改革委員会は、内閣総理大臣に議論の結果(情報公開法制の確立に関する意見)を提出しました。
1998年3月、行政機関情報公開法案が国会に提出。
そして1999年5月に、情報公開法が成立し、2001年4月に施行となりました。
翌年2002年10月には「独立行政法人等情報公開法」も施行されました。
2、具体的な情報提供施策について
日本では国民がスムーズに情報を知ることができるように、
- 文書閲覧窓口制度
- 独立行政法人等情報公開法における情報提供制度
- 行政情報の電子的提供の推進
- 反復継続的に開示された情報等の提供
などを行っています。
それぞれにについて、解説していきます。
(1)文書閲覧窓口制度
文書閲覧窓口制度とは、公開された文書を窓口で閲覧できる制度です。
- 窓口の所在地
- 閲覧できる文書の目録
を、総務省のホームページで確認できます。
通常の情報公開制度(開示請求制度)は、国民から開示請求を受けた後に情報が公開されます。
画像引用元:請求から開示までの流れ 公文書の開示請求 東京都
一方、文書閲覧窓口制度は、その場で申し出ることで情報を閲覧できる制度です。
ただし、閲覧できる情報は生活に役立つ情報で、一般公開に適している文書に限られます。
情報公開制度は、「開示請求制度」と「文書閲覧窓口制度」の2つの制度によって、行政機関が保有する情報の公開を推進しています。
参考:文書閲覧窓口制度 総務省
(2)独立行政法人等情報公開法における情報提供制度
「独立行政法人等情報公開法における情報提供制度」とは、独立行政法人等の積極的な情報公開と提供を促す制度です。
この制度は、独立行政法人等情報公開法第22条に基づいています。
独立行政法人等情報公開法第22条では
- 組織、業務及び財務に関する基礎的な情報
- 組織、業務及び財務に関する評価及び監査に関する情報
- 独立行政法人等の出資または拠出に係る法人(子会社等)に関する基礎的な情報
などの提供について定めています。
参考:独立行政法人等情報公開法における情報提供制度 情報提供施策 総務省
(3)行政情報の電子的提供の推進
行政情報の電子的提供の推進とは、行政に関する情報をホームページ等を通じて提供する施策です。
行政情報の電子的提供の代表例は、「e-GOV」が挙げられます。
e-GOVとは、
- 各府省の情報の検索と提供
- 各府省に対する申請と届出
などができる、ネット上で行えるサービスです。
e-GOVでは
- 法令
- パブリックコメント
- 行政文書ファイル管理簿
- 個人情報ファイル簿
などの検索もできます。
(4)反復継続的に開示された情報等の提供
反復継続的に開示された情報とは、国民から何度も開示請求を受けた情報です。
反復継続的に開示がなされた情報は、「Webサイト等による行政情報の提供・利用促進に関する基本的指針」に基づき、Web上で提供することが定められています。
Webサイトでの情報提供により、簡単な情報へのアクセスが可能です。
また、行政機関の事務の効率化にもつながると考えられています。
参考:反復継続的に開示がなされた情報等の提供について 総務省
3、開示請求の方法|情報公開までの流れ
情報公開法に基づく、情報の開示請求の流れ以下になります。
- 開示請求方法の決定
- 開示請求書への記入
- 開示、不開示の通知
各項目について解説していきたいと思います。
(1)開示請求方法の決定
開示請求は
- 窓口
- 郵送
- オンライン
で行なえます。
窓口で請求する場合は「情報公開・個人情報保護総合案内所」で手続きをします。
各都道府県の案内所については、下記総務省ホームページをご覧ください。
(2)開示請求書への記入
開示請求の方法を決めたら、開示請求書に必要事項を記入します。
- 氏名
- 住所
- 連絡先
- 請求する行政文書の名称等
- 求める開示の実施の方法等
を記入します。
その後、開示請求手数料を納付し、提出します。
画像引用元:情報公開制度 教えてペンゾー先生! 総務省
(3)開示、不開示の通知
開示請求書の提出後、原則30日以内に、開示または不開示の通知を受け取ります。
開示の通知を受け取った場合は、30日以内にどのように情報を受け取るのかを決めます。その後「開示の実施方法等申出書」にて、情報の受理方法を提出します。
情報の受理方法には
- 閲覧
- コピー
- CD-R
- DVD-R
- オンライン
があります。
4、開示できない情報について
以下の情報は開示できない情報として扱われています。
-
個人に関する情報、非識別加工情報等
-
国の安全等に関する情報
-
審議、検討等に関する情報
-
法人等に関する情報
-
公共の安全等に関する情報
-
事務または事業に関する情報
開示・不開示の決定、または開示内容に不服がある場合は、行政不服審査請求も可能です。
画像引用元:情報公開手続の流れ(開示請求手続における注意事項) 特許庁
まとめ
今回は情報公開法について解説しました。
国民は政治がどのように行われているのか知る権利があります。
新聞やニュースなど、メディアだけでは正確な情報を得られるとは限らないので、e-GOVやWebサイトを活用して、情報リテラシーを高めていきたいですね。