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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー投票・応援・立候補を加速させ、次の時代の政治へ!立憲民主党・落合貴之議員が考える政治改革の一手とは

投票・応援・立候補を加速させ、次の時代の政治へ!立憲民主党・落合貴之議員が考える政治改革の一手とは

投稿日2025.3.24
最終更新日2025.03.27

日本の選挙では若者の投票率が低いことなど、若者の政治離れが課題となっています。若者の政治への関心を高めるカギとして、政治改革が挙げられます。今回は立憲民主党の政治改革推進本部事務局長を務める落合貴之議員にインタビュー。政治改革のプランやインターネット投票導入への道筋などについて伺いました。

(取材日:2025年2月27日)
(文責:株式会社PoliPoli 児島花生里)

落合貴之議員インタビュー落合貴之(おちあい たかゆき)議員
1979年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
三井住友銀行勤務を経て、江田憲司議員、松田公太議員の秘書を務める。
2014年の衆議院議員選挙で初当選。現在、立憲民主党の副幹事長(政治改革担当)、東京都連政調会長などを務める。
尊敬する政治家はマハトマ・ガンジー。

世襲でないからこそ民意を汲み取れる

ー落合議員は銀行員から政治の世界に入っています。なぜ最初のキャリアとして銀行員を選んだのでしょうか。

10代の頃から政治に興味があり、いつかは国会議員になりたいと思っていました。しかし当時は今以上に一般人の政治への参入障壁は高かったように感じます。なりたいと思って簡単になれるわけではないなと。社会人として活躍して、「この人なら政治家にふさわしい」と思われる成果を出してから、政治の世界に打って出ようと考えました。

そこで、いきなり政治の世界に行くのではなく、まずは大学で経済学部に進学し、銀行でサラリーマンになるという道を選びました。それは、政治において経済は非常に大切であると考えていたからです。歴史を振り返っても、経済状況が悪いのに支持率が高い政権はありません。私が小学生の頃はまだ冷戦が続いていた時代だったのですが、崩壊してしまった社会主義側の国々では、国民がちゃんとご飯を食べられない状況でした。経済の崩壊から政権の崩壊が起きる様子を見ていて、政治をやるなら経済の専門家になるべき、と考えました。

なぜ銀行かというと、金融機関の中でも最も公益性が高いから。公のことと経済を同時に学べると思いました。40代くらいまで銀行員として活躍して、そこから選挙に立候補するビジョンを描いていました。

落合貴之議員インタビュー

ー実際、銀行員になってみていかがでしたか。

社会人になって気付いたのは、2つの世界で活躍する人はほとんどいないということ。銀行で成果を出して、さらに政治家としても活躍するのは難しいと思ったんです。それぞれ下積み期間も必要ですし。金融業界で活躍してから政治家としても大成する可能性は低い。であればもともとやりたい政治の世界に早く飛び込んだ方がいいだろうと考え、26歳で退職しました。

そこから政治家の運転手になり、31歳で選挙に立候補するも落選。35歳で初当選し、衆議院議員になりました。議員になるまでの下積みは計9年。そのうちのどこかで諦めていたら政治家にはなれませんでした。ここまで来られたのは運が良かったと思っています。たくさんの方々に支えていただいたおかげです。

ー世襲議員ではない落合議員。政治家に必要といわれる「地盤」や「看板」がない中で、政治に携わり苦労した点を教えてください。

ある新聞社の、小選挙区制が始まった1996年から最近までの衆議院議員選挙の集計を見たら、世襲の人はおよそ7割当選していることが分かりました。一方、世襲でない人の当選確率は3割。それくらい世襲かどうかで変わってきます。ですので選挙は本当に大変です。

世襲の方はすでに長年議員を務めた親と同じ名字なので、スタートの時点で知名度があります。しかし、世襲ではない私のような人は誰からも知られていないわけです。全然知らない人なのに応援してもらえるようになるには、本気でやらないといけません。本気で自分を売り込んで、有権者の方々に信用してもらえないと投票していただけないわけですから。

ただ逆に言えば、本気で取り組んできたことで、世襲議員よりも有権者の方々との絆は強いかもしれません。支援者の皆さんと本音で話せる関係ができているので、民意を汲み取りやすくなっていることもあるかなと。国会議員と有権者は本音で話せなかったり、仕事をもらうためにごまをすったり、表面的な関係になりがちだと思うんです。ですが私は、一人ひとりと本気で向き合ってきたため、率直に民意を汲み取れるパイプができてきている実感があります。世襲でないことは大変でしたが、その苦労の中で活動を続けてきたことが今の仕事に役立っています。

落合貴之議員インタビュー

企業・団体献金を禁止して、弱者の声が届く政治を

ーこれまで数々の議員立法に取り組まれてきたと思います。特に思い入れのある法案を教えてください。

これから審議される企業・団体献金禁止の法案です。企業・団体献金の禁止は、私が政治活動を始めた当初から訴えてきたこと。日本では個人献金は少なく、大口の献金がほとんどです。となると、大企業や大きな団体が政治家に影響を与えることになります。予算委員会を見ても、やはり献金をしているような大きな企業、団体の要望が通りやすく、献金ができないような弱者の声はなかなか届かないのが現状なのです。

ですから大口の献金は規制すべきなんです。企業・団体献金は禁止または大幅な制限を加え、個人献金を促進することが非常に重要だと考えています。

たとえばYouTubeなどでは投げ銭システムがありますよね。それと同じように、多くの国民が自分の好きな政治家を少しずつのお金で支えていく。そんな状況をつくりたいんです。皆さん、お正月には初詣に行き、お賽銭を投げると思います。お賽銭は一人ひとりの額は少ないですが、大きな神社だと億単位のお金が集まります。でも「お賽銭を入れて損した」とは思わないですよね。

政治も同じような世界にしたいなと。世の中のために一生懸命働いている政治家に1年間で1000円や5000円の寄付をする。寄付した側が自分も世の中の役に立つことをしたなと思える。そういう世界にしたいんです。こうして有権者と政治家の信頼関係がつくられていく。今の政治は、何か見返りがないと献金しないという状況になっているので、その政治風土を変えていきたいんです。企業・団体献金禁止法案が成立すれば、各分野がぱあっと変わっていくと思います。

ー落合議員は立憲民主党の政治改革推進本部事務局長を務めています。企業・団体献金禁止も含めて、政治改革についての法案整備を進めていると思いますが、議論にあたってどのような点に留意されていますか。

政治改革には2つの分野あります。1つ目が政治資金のルールをより良いものにすること。2つ目が選挙制度です。政治家が自分たちの活動ルールを決めるわけなので、自分たちに都合のいいルールにしようという力学が働いてしまいます。でもそれって違うじゃないですか。政治資金も、選挙制度も、政治家のためではなくて国民のためのルールになるように、と心がけています。

自分たちには損になったとしても、国民にとってプラスならどんどんやっていく。そういうものこそが重要なルールなので。国民の方を向いたルールづくりをしていきましょう、ということは党内でも国会でも、常に言っていきたいと思います。

落合貴之議員インタビュー

ー2025年2月に被選挙権の年齢を引き下げるワーキングチーム(WT)を設置されました。WTを設置した背景や今後のプランを教えていただけますか。

被選挙権の年齢引き下げとは、選挙に立候補できる年齢を下げましょうということ。選挙権が18歳に引き下げになったので、被選挙権も同じく18歳にしていいのではないかと思っています。

すでに法案は出しているのですが、改めて検討し直して、2025年7月の参議院議員選挙までに法案を提出したいと考えています。私はWTの座長を務めているのですが、30代以下の1期生、2期生だけで検討を進めているところです。私も業歴が長くなってきたので、ここは若い議員の皆さんにゼロベースで話してもらうのがいいかなと思いまして。

ー同時に設置されたインターネット投票のWTについてはいかがですか。

インターネット投票は、選挙の投票をスマホでできるようにしようという試みです。技術はどんどん進化していて、ネット銀行の利用率も上がっていますよね。自分の全財産の管理をスマホでできているわけなので、遠くない将来、スマホでの投票も導入すべきではないかと。

インターネット投票の法案もかつて私が提出したのですが、技術がどんどん進化しているので、もう一度ゼロベースで議論して導入を目指したいと思っています。マイナンバーカードで様々なことができるようになったり、スマホの顔認証でIDやパスワードを打たなくても自動で進むシステムができたりしていますから。

ただ実現は簡単ではありません。どのように信用を担保するのかを検討しているところです。世界でも1億人以上有権者がいる国では例がないので。1つのアイデアとして、まずは海外在住の有権者のインターネット投票から始めてみるのはどうかなと。投票権がありながら日本で生活していない人は100万人以上。こうした皆さんは大使館で手続きをするか、帰国して投票をするかのどちらかで、約2%しか投票できていないのが現状です。ここにニーズがあるんですよね。

10年後か20年後にはインターネット投票が当たり前になっているかもしれません。でも最初に導入するのは大変です。若い人からお年寄りまで、国民の皆さんが信頼できるシステムにしなければいけません。インターネット投票を実現すべく、まずはモデルとなる法案を提出し、議論を促進して背中を押していきたいと思います。

落合貴之議員インタビュー

世の中の役に立つことは生きがいを生む

ー政策を実現するために、政治家としてトップを目指すという思いはあるのでしょうか。

総理大臣を目指す国会議員は多くいると思いますが、私はあまり考えていません。なぜなら、一人でいくら頑張ったとしても限界があるからです。仮に、総理大臣になれば歴史に残るようなめちゃくちゃなこともできるかもしれません。でもたとえば、織田信長や豊臣秀吉の時代に生きていた国民ってはたして幸せだったのかといえば、疑問ですよね。

今生きている人全員が幸せになるためには、チームプレーが必要です。いい政治の世界やいい地域をつくっていく。そのことが結果的にいい日本をつくることにつながると思うんです。私が一人頑張ってリーダーになったからといって、世の中を良くできるとは思っていないので。ですからおそらく私は歴史には残りません。でもそちらの方が確実に世の中は良くなると思うので、目立つ政治家ではなく、チームプレーをしっかりと支える政治家になりたいですね。

ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

民主主義であるわが国においては、一人ひとりが平等です。政治家という階級と政治家以外の階級があるわけではありません。国民の中から選ばれた人が政治を行っていく。このシステムでは、政治家になりたいという人が少なくなれば、社会は悪い方向に進んでしまいます。

現状、政治家になりたい人は多くないと思います。だからこそ世襲議員が多いわけで。このままで世の中を良くするのは難しい。ですから私たち全員が政治家に向いている人を応援し、自分も政治に参加していくことが重要です。政治参加には3種類の方法があります。1つ目は投票すること。2つ目は政治家を応援すること。3つ目は立候補することです。

政治には色々な関わり方があります。自分のできることをできる限りやっていく。それは社会を良くするだけでなく、一人ひとりの生きがいにもつながると思います。自分の行動が世の中の役に立っていると感じながら生活することは、人生を豊かにします。私は仕事として、すべてをかけて政治の世界で頑張りますので、皆さんもそれぞれの分野で世の中のためにできることをやっていきましょう。

この記事の監修者
秋圭史(株式会社PoliPoli 渉外部門)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。その傍ら、株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当している。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)

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