
松本 洋平 まつもと ようへい 議員
1973年生まれ。慶應義塾大学卒業。
1996年衆議院議員選挙に32歳で初当選(6期)。
内閣府副大臣、経済産業副大臣、自民党 副幹事長などを歴任し、
2022年から自民党 政務調査会 副会長。
7月20日に第27回参議院議員選挙が迫っています。
株式会社PoliPoliでは、参議院議員選挙の主要な政策上の争点を明らかにし、各党の政策を分かりやすく有権者に届けるための特集企画を実施します。今回は、自由民主党政務調査会副会長を務める松本洋平議員に、自由民主党の選挙公約に込めた思いや公約のポイント、そして今回の参議院議員選挙の位置付けなどについてお伺いしました。
(※所属する国会議員が5人以上または直近の国政選挙での得票率が有効投票総数の2%以上という公職選挙法上の政党要件を満たす、すべての政党にインタビューの打診をしております)
(取材日:2025年7月9日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史)
厳しい国内外の状況の中で、守りではなく攻めの姿勢で経済と国を成長させる
ー今回の参議院議員選挙のパンフレットに、「日本を動かす 暮らしを豊かに」と書かれていますが、このキャッチコピーになった背景や伝えたい意図について教えてください。
まず、我々の問題意識として、物価高による国民生活の厳しさに加え、国際社会が非常に不安定な状態であることが挙げられます。さらに将来的な目線で話すと、人口、特に生産年齢人口が減少していくという大きな変化に直面しています。
このような状況で、我々は守りに入ったり内向きになったりするのではなく、今だからこそ、国と経済をしっかりと成長させ、国民の安全・安心な生活を守り抜く必要があると考えています。守りに入りがちな状況かもしれませんが、あえて攻めの政策を打っていく。この決意を「日本を動かす」という言葉に込めました。
そして、私たちが大切にしなければならないのは、国民一人ひとりの生活を豊かにしていくことです。経済成長によって生まれた果実を、国民の皆様に広く受け取っていただける環境を作ることで、暮らしを豊かにしていく。国の成長と個人の豊かさ、この二つを目指すという思いで、今回のキャッチコピーを掲げています。
ー経済成長については、今回の選挙公約で「2040年までに名目GDP1000兆円を目指す」と書かれているのが印象的でした。
物価高で苦しむ国民生活を下支えすることはもちろん必要ですが、それだけでは日本が直面する様々な課題は乗り越えられません。そこで、日本が将来どのような方向を目指すのかを国民の皆様に示すため、「2040年までに名目GDP1000兆円」という目標を掲げました。
ただ、これから生産年齢人口が減少していく中で経済規模を大きくするのは決して簡単なことではなく、現在の延長線上でこの目標が達成できるとは考えていません。だからこそ、AIやデジタルといった新しい技術を社会にもっと実装し、より効率的で付加価値の高い経済や社会を創り上げていくことが大変重要となります。
また、今後の成長の大きなカギは「地方」だと考えています。例えば熊本のTSMCのように、地域の経済や雇用を牽引する「城下町」のような拠点を全国各地に作り、日本全体を成長させていく必要があります。同時に、成長産業や付加価値を生み出す産業、そして日本にとって不可欠な産業に対し、人や資金といった資源をしっかりと配分・投資していく。このような付加価値と効率、質を高める改革を進めることで、人口が減少する中でも2040年のGDP1000兆円を目指す。これが我々の描くストーリーです。
ー上記と関連して、公約の中にも「全国に100ヶ所の企業城下町を展開」とありますが、これは地方創生の側面もあるという理解でよろしいでしょうか。
そのような理解で結構です。これまでも、デジタルの力を活用して地方の魅力向上に取り組む「デジタル田園都市国家構想」などに取り組んできましたが、新たな技術の活用によって、必ずしも東京でなければ事業を展開ができないという壁は低くなってきていると感じています。新たな技術を導入することで、地方創生に繋げていきたいと考えています。
同時に、各地域の皆さんにも、自分たちの町や地域は、何で稼ぎ、どう元気にしていくのかを考えていただき、我々が伴走する形です。地域だけの力では実現が難しい部分を国がサポートすることで、「城下町」のようなものを築いていきたいと考えています。
ー今回、物価高対策として、国民1人当たり2万円、子供や住民税非課税世帯の大人の方々には一人2万円上乗せして4万円を支給することを盛り込まれました。
現状、賃金の上昇を物価の上昇が上回っており、結果として実質賃金や可処分所得が減少しています。この厳しい国民生活を何らかの形で下支えしなければならない、というのがこの政策の原点です。
その上で、今まさに困っている方々にどのような手を差し伸べられるかを考えた結果、給付という形でお届けするのが最もスピード感をもって家計を支援できるだろうと判断し、今回の公約とさせていただきました。
加えて、おかげさまでマイナンバーカードの普及率も上がり、公金受取口座との紐付けも広がっています。こうした新しい仕組みも活用させていただきながら、スピード感を大事にして、なるべく早く支援をお届けしたいと考えております。
経済・食料・エネルギーなど、さまざまな分野で安全保障体制を確立する
ー日米の関税交渉について、今月7日にはトランプ大統領が石破総理大臣宛の書簡を送り、日本からの輸入品に25%の関税を課すと通知しました。来月1日から発動するとのことで、現在も交渉が続いていると思いますが、どのように対処していくのでしょうか。
まず、アメリカによる今回の関税で国内に影響を受ける方々への支援パッケージをすでに準備しています。このように、国内の産業や雇用、国民生活をしっかりと守るという観点で、万全の対策を講じてまいります。
一方で、関税交渉も継続しています。残念ながら、米国からは8月1日から相互関税25%を課すという通知がありましたが、それまでの期間は粘り強く交渉を行い、結果を出してまいります。
したがって、8月1日までの間は、全力で交渉を行っていくと同時に、国内の状況についても現場の皆様の声を定期的にヒアリングしており、その声を受け止めながら国内対策にも万全を期す。この二つの方向で現在進めております。
ー国際環境が変化するなかで、外交や安全保障に対する国民の関心も高まっていると思いますが、自民党として訴えたいポイントはありますか。
ロシアによるウクライナ侵略や緊迫する中東情勢など、現在の国際社会は混迷を深めています。そのような中で、日本の平和と地域の安定を守るためには、我々自身ができる努力をしなければなりません。これまで進めてきた防衛力の抜本的強化や平和安全法制といった取り組みを着実に進めていくことがまず大切です。
また、日本の平和と国民生活の安全・安心を守るためには、経済安全保障という新しい概念も極めて重要です。公約にも「外交、防衛、経済、食糧、エネルギーなど、総合的な安全保障体制」を確立し、国民生活を守る、と明記しました。
単なる武力的な安全保障だけでなく、国民生活を守るために、こうした多様な分野で安全保障体制をしっかりと確立していくことが不可欠です。経済安全保障については、すで担当大臣を置いて施策を進めており、今後もこの取り組みを強力に推進していきたいと考えています。
現在は、成長と衰退の分岐点。みんなで力をあわせ、大きな社会の変化を乗り越えたい
ー最後に、このメディアの主な読者である20~40代の現役世代に向けたメッセージをお願いします。
今、日本は国際環境の変化や、少子高齢化・生産年齢人口の縮小といった大きな変化の中にあり、大変厳しい状況に置かれています。私たちは、これから成長を続ける国を作るのか、それとも衰退していく国となるのか、その分岐点に立っていると認識しています。
私たちは、このような状況の中にあっても、正しい政策をとり、皆様と力を合わせて頑張ることで、この大きな社会の変化を必ず乗り越えられると信じています。そして、より豊かで元気な日本を作ることができると確信しています。ぜひ、皆様と一緒に、元気で豊かな日本を作っていきたいと思います。