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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー立憲民主党・吉田はるみ議員に聞く!教育×経済で描く日本の未来像

立憲民主党・吉田はるみ議員に聞く!教育×経済で描く日本の未来像

投稿日2024.9.21
最終更新日2024.10.01

少子高齢化や急激な人口減少、厳しさを増す安全保障環境など日本を取り巻く国内外の情勢は厳しさを増しています。その中で政治にはこれからの日本が進む方向を指し示し、日本社会のあるべき姿を描いていく役割が求められています。今回のインタビューでは、立憲民主党代表選挙への立候補を表明した吉田はるみ議員に、これからの日本の将来像についてお伺いしました。

(取材日:2024年9月19日)
(本記事は「政治ドットコム」YouTubeチャンネルのインタビュー動画を元にしたものです。本編動画はこちらからご覧ください)

吉田はるみ議員インタビュー

吉田はるみ議員
八百屋の長女として生まれる。投資・証券会社の会社員として、東京・シンガポール・ロンドンで働き、中小企業の発展に注力。
2021年10月、東京都第8区で初当選(1期)。
特技は料理、カラオケ(演歌、民謡)。

多様性を体現 1期生で代表選挙への立候補を決意

ー立憲民主党の代表選挙の投票日が来週の月曜日(9月23日)に迫っています。今どのような心境でしょうか。

なかなか体力勝負ですね。早朝から動き、帰宅が午前様という状況が連日続いています。

ただ、代表選挙を通じて全国を回る中で、地域ごとで異なる意見や声をいただいていて、非常に勉強になっています。政治家として大きく幅を持っていかなければならないと、改めて気を引き締めています。

ー吉田議員が代表選挙への立候補を決断した決め手は何でしたか。

立憲民主党は多様性を重んじる党です。これまでの永田町の常識にとらわれず、女性で、かつ1期生(当選1回)の議員として立候補することが立憲民主党をある意味では象徴するのではないかと思います。

ただ立候補のために必要な推薦人20人の確保は、やはり高い壁でした。「経験の浅い1期生で何ができるのか」といった批判もある中で、仲間の議員を見つけることは本当に大変でした。

吉田はるみ議員インタビュー

ーそもそも吉田議員が政治家を志したきっかけは何だったのでしょうか。

20代半ばまでまったく政治に関心はありませんでした。きっかけは母が脳梗塞で倒れたことでした。母が集中治療室に入り、頭をよぎったのが「医療費はいくらかかるんだろう」と。

ちょうどその時は実家の事業が傾いているときで、大きな不安を感じました。そんな中で「高額療養費制度」というものを初めて知りました。一定以上の医療費がかかったら国が補助する制度で、「なるほど、政策・政治がこうして人生のピンチを支えてくれるんだ」と政治を身近に感じた瞬間でした。それなら逆にその政策を作る側に回っていきたいと考えるようになったんです。

ーもし吉田議員が立憲民主党の党首になられたらどういうチームを作りたいですか。

適材適所の人事でチームを作っていきたいですね。政治の世界における働き方って本当に独特です。衆議院には女性議員も1割もいなく、長時間働くことを前提にするなど厳しい文化があります。これまでの政治の現場では「こうでなければならない」というものが並べられていて、働き方でもついていけない人が多かった。これからは一人ひとりの事情に合わせた働き方ができるように、きめ細やかに目配りできるようにしたいです。

ー吉田議員が描くリーダーシップ像はどんなものですか。

決める時にしっかり決める決断力はもちろんのこと、誰がどこに適任かを見極める力がリーダーには求められると思います。自分の背中を見てついてこいという場面と「この人を支えないといけない」という愛嬌。この両方を備えていないといけないですよね。私の中でも得意な政策分野と詳しくない分野があります。自分の足りないところを適切に把握し、フォローしてもらうチームを作りたいですね。

ー仮に党首になり、政権交代を目指していく中で、課題だと感じることは何でしょうか。

立憲民主党は質が高く時代に求められている政策を多く掲げられていると自負しています。ただその発信力には課題がある。いかにわかりやすい言葉で伝えるか。国民のみなさんとの対話の仕方もアップデートが必要かもしれません。

ー吉田議員が国民・有権者とのコミュニケーションで心がけていることはありますか。

SNSでの発信も強化しているのですが、正直すべてを一人の議員が自分でやることは難しい。

あるSNSでは細かな発信のやり方については大学生の方にお任せすることもしています。若い人への発信は若い人の方が届きやすい。その方の得意分野でお願いできることを任せていき、ワンチームでコミュニケーションをとっていくことが大切だと考えています。

大手の広告代理店に依頼すれば良い、という時代はもう終わったのだと思います。草の根の発信や議員一人ひとりの努力が求められていると感じます。

ー立憲民主党代表選挙での論戦を見ていると各候補者が民主党政権時代の反省をどう生かすか、という点での発信が多い印象です。吉田さんは民主党政権を経験していませんが、民主党政権をどのように捉えていらっしゃいますか。

民主党政権は良い政策をたくさん実現しました。高校授業料の無償化に踏み込んだのが象徴的だったように、「チルドレンファースト」という理念を打ち出したことは非常に画期的でした。

しかし現在では少子化は政府の予測より10年前倒しで進んでいます。かつての民主党が打ち出した思い切った子育て支援を継続できていたら今のような状況にはならなかったのではないでしょうか。当時の民主党はものすごい勢いで政権を取りました。国民のみなさんからの期待もとても大きかった。だからこそできなかったことに目を向けられてしまう部分があったのではないかと思います。

教育×経済で日本の国力を

吉田はるみ議員インタビュー

ー今回の代表選挙で、政策面では主にどのようなことを主張されていますか。

教育と経済を掛け合わせて日本の国力を作っていく政策を掲げています。

他の三人の候補者に比べて、私はビジネスのキャリアが長いです。ビジネスの現場で感じたことは、経済を前に進めていく力もすべて人の力だということです。そしてその人の力は教育によって引き出されるということ。

その教育に目を向けると、今の教育現場は非常に厳しい状況にあります。公教育の中で小学校から大学まで一気通貫で子どもたちが平等に学べる環境を整えたいです。ただ受験教育をたくさんする、ということではなく、自分に自信を持って夢を抱けることにつながる教育環境を作りたいんです。

ー子ども政策に力を入れていく中で、現役世代の負担が増えるのではないかという議論も多くあります。財源についてどのようにお考えでしょうか。

「子育て・教育費と社会保障、どっちをとるのか」という議論になることはとても危険なことだと考えています。政治は今みなさんが望んでいることを実現していく解決策を見つけることが役目だと思うんです。

例えば、私は代表選挙に際して、国公立大学の無償化を掲げていますが、これにかかる予算は3000億円と試算されています。そして全国の学校給食の無償化は4000億円とされています。これを賄う財源として、日本銀行が持っているETFという上場投資信託の分配金に着目しています。立憲民主党はこれに関する法案も提出しているんです。

現在の財源だけではなく、その周辺を見てみると新しいアイデアが生まれることもある。財源をめぐって世代間の対立を作らないようにやっていきたいですね。

これに加えて、今回公約として「教育ブーストファンド」の設立を掲げました。今、企業の利益剰余金は過去最大の600兆円に積み上がっている状況です。このお金を、ある意味企業が教育に気持ちよく投資できるような仕組みにしたいと思います。

若い世代を応援する企業だという、CSR的なインセンティブを作って、民間資金を教育の分野に流していきたい。今は環境問題に取り組む企業に対する認証制度のようなものの教育版で作っていくようなイメージです。

ダイナミックなスタートアップ支援と安全保障

ースタートアップや新しい産業に対する政策はどのように向き合っていきますか。

スタートアップをめちゃくちゃ応援しています。自分自身が政治家になる前にベンチャーキャピタル(スタートアップに投資する投資会社やファンド)にいたこともあり、シードと言われるような小さいスタートアップが上場まで成長する企業を多く見てきました。そのような活力がこれからの日本の力の源泉になると思うんですよね。

今回の代表選挙の政見の最初に入れたのですが、やはり戦後の闇市から裸一貫で始まった企業たちが日本の経済成長を支えたんですよね。そこにはエネルギーと想いがありました。

今、若い世代が起業することってすごい勇気のいることだと思うんですよね。一歩踏み込んだ方々を思いっきり支援する。これは政治の役割としてすごく重要です。

当たり前ですが、全ての起業が成功するわけではありません。その中でも再チャレンジができるようにダイナミックなベンチャー支援をやりたいんです。経済に関してはどれだけ元気なベンチャーが出てくるかが、その国の経済成長の指標じゃないかと思っています。

ーこうした経済成長を実現する上でも安全保障を実現することが重要な課題だと思います。外交安全保障政策へのスタンスを教えてください。

日米同盟を基軸にした安全保障が基本です。それに加えてサイバー空間をはじめとする目に見えない領域の安全保障もとても重要です。

昨年、名古屋港で発生したハッキングによって港の稼働が3日間停止に追い込まれました。その港はトヨタのメインポートですよね。日本の経済にとっても大きな脅威です。今の時代だからこそ情報セキュリティに強い日本にしなければいけません。情報は資源です。それを守ることはますます大切になってくると思います。食料やエネルギーの安全保障を実現しながら他国に頼らない状態を作っていくことにも注力していきます。

ー最後に読者へのメッセージをお願いします。

吉田はるみ議員インタビュー

2021年に国会議員になってから、毎月「吉田ゼミ」を開いています。高校生、大学生、大学院生など若い世代の方々とさまざまな社会課題や、参加者の個人の悩みについて議論を重ねています。「常に若い世代の声の傍にいたい」という思いと、「政治は特別なものではなく、みんなの声で変えられる」という思いがあってのことです。

ありのままの自然体で一緒に政治を考えることをしていきましょう。「説教くさい政治」ではなく「一緒に考える政治」で、自分に自信を持って幸せを見つけられる。そんな日本にしていきたいです。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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