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政治ドットコムニュース・社会課題LGBT法とは?性的少数者への理解推進と平等権の確立を目指す法律

LGBT法とは?性的少数者への理解推進と平等権の確立を目指す法律

投稿日2023.6.5
最終更新日2023.06.05

LGBT法に関する議論が与野党間で活発になっています。
広島サミットを控えた2023年5月18日には「LGBT理解推進法案」が国会に提出されました。

今回提出された法案が成立した場合、LGBTに関する日本で初めての法律となります。

では、LGBT法とは具体的にどのような法律なのでしょうか?
今回はLGBT法について、以下の内容を詳しく解説します。

  • LGBT法の概要の目的
  • LGBT法の具体的な内容
  • LGBT法の課題

1、LGBT法とは?法律の概要

LGBT法の名称と定義

2023年5月22日現在、日本では明確な「LGBT法」は未だに公布されていません。

LGBT法は、2023年5月18日に国会に法案が提出され、法制化を進めているLGBT理解推進法案を簡略化した呼称として用いられることが多いです。

LGBT理解推進法案はLGBTに関する基礎知識を全国津々浦々に広めることで国民全体の理解を促すことを目的としています。

次の章では「LGBT理解推進法」について説明します。

2、LGBT理解推進法案とは?LGBT差別禁止法案との違い

それでは、国会に提出されたLGBT理解推進法案とはどのような法案なのでしょうか?

「LGBT理解推進法」と混同されることがある「LGBT差別禁止法」との違いを含め、法案が持つ機能について解説します。

なお、提出されたLGBT理解推進法案は以下からご覧いただけます。
衆議院-性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案

LGBT理解推進法案の概要

LGBT理解推進法案の正式名称は「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」です。

この法案は、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に関する基礎知識を全国津々浦々に広めることで、国民全体における性的少数者への理解を促すことを目的として提案された法案です。
性的指向や性自認に基づく差別の減少により、LGBTの人々が尊重され、安心して生活できる環境を整えることを目指しています。

法案では「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する基本方針等」などが記載されていますが、「差別の禁止」は明言されていないのが理解推進法案の特徴です。

そのため、「法律が成立しただけでは社会への影響力は小さいのではないか」という意見もあり、LGBTに関する理解促進の取り組みや公共の場での差別や偏見に対する対策を講じる必要があると考えられています。

「理解推進法」と「差別禁止法」の違い

3、日本におけるLGBTに関連する法律の現状と今後の課題

LGBTに関する法律の現状

現在、日本ではLGBTに関連する法律の整備はまだ進んでいません。
2023年5月18日に自民党が提出したLGBT理解増進法案が施行されれば、初めてLGBTの人々を対象とする法律となるでしょう。

一方で、性に関する社会の意識や構造を変えるという目的に基づく法律として、1999年に施行された男女共同参画社会基本法という法律が挙げられます。

男女共同参画社会基本法は男女の平等を実現することを目指し、具体的な目標と取り組みとして政治参画や労働分野での男女平等の推進が設定されています。

LGBTの方が生活しやすい日本になるために

2023年5月に国会に提出された「LGBT理解推進法」は差別を法的に禁止するわけではありません。
そのため、仮にこの法案が可決されたとしても、LGBTの人々が生活しやすい日本に近づくためには様々な課題があるでしょう。

本記事では、大きく3つの課題に分けて説明します。

  • 法的保護の不足
  • 教育の充実
  • 社会の意識改革

法的保護の不足

先述したように、現在の日本ではLGBTの人々を法的に保護する法律が不十分です。
性的指向や性自認に基づく差別を明確に禁止する法律が存在していないため、LGBTの人々は職場や学校で差別やハラスメントに直面することがあります。

したがって、LGBTの人々を適切に保護する法的な枠組みが必要です。
しかし、2023年5月に国会に提出されたLGBT理解推進法案は差別を禁止するための法案ではないため、今後の別の対応が必要だと考えられます。

教育の充実

LGBTの人々に対する理解を深めるためには、教育の充実も求められます。
小学校や中学校などの教育機関での、性的少数者に関する啓発活動や性教育が手段の1つです。

教育によるLGBTに対する理解の促進は、差別やいじめの軽減や自己受容と自尊心の向上などのメリットをもたらすことが期待されています。

しかし、現在の教育現場には、教師の研修や教材の不足など根本的な課題がある状況です。
学校や教師任せではなく、政府や自治体、NGOなどが協力して教育体制の整備が求められます。

社会の意識改革

最後に社会の意識改革です。
LGBTに対する偏見や差別を減らすためには、社会の意識改革も重要です。

社会の意識改革には、テレビ・YouTubeなどのメディアや各自治体の広報活動を通じて、LGBTに関する正確な情報の提供やLGBTの人々の声を紹介する取り組みが必要だと考えられます。
それにより、社会全体でLGBTに対する理解を深め、差別のない共生社会の実現に近づくでしょう。

4、各国のLGBT法における取り組み

世界各国では、LGBTの方々への理解を推進するために、それぞれどのような取り組みが行われているのでしょうか。

本章では、以下の4ヵ国について解説します。

  • アメリカ合衆国
  • カナダ
  • イギリス
  • オランダ

アメリカ合衆国

アメリカでは、2022年に結婚尊重法案が可決され、同性結婚が合法化されました。
カリフォルニア州やニューヨーク州などでは、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律が存在しています。
差別を禁止する法律は全土ではなく、一部の州で適用されています。

法整備だけではなく、LGBTの権利団体や活動家による権利の確保や啓発活動も盛んに行われています。

参照:「婚姻尊重法案(Respect for Marriage Act)」の投票結果

カナダ

カナダでは2005年に同性婚が合法化されました。
また、カナダ人権法やカナダ憲法において、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する条項が盛り込まれています。

カナダは国内だけではなく、国際的なLGBTの権利保護にも積極的に取り組んでおり、国際的な人権団体や国際連合と協力して活動しています。

特にトロントでは、LGBTが住みやすい都市として知られており、LGBT関連のイベントやパレードも盛んに行われています。

参照:労働政策研・研修機構-カナダにおけるLGBTの就労をめぐる状況

イギリス

イギリスでは、2013年に同性婚法が制定され、2014年に施行されました。

イギリスでは性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律があり、性自認に基づく法的な性別変更手続きも比較的容易に行えます。

参照:国立国会図書館-【イギリス】2013年同棲婚法の制定

オランダ

オランダは2001年に同性婚を合法化し、世界で初めて同性婚を合法化した国です。

紹介した各国と同じく、性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律があります。
また、2021年の10月には同国のマルク・ルッテ首相が「王や女王も同性と結婚できる」との旨を明言しています。

参照:オランダ大使館-オランダとLGBTQの平等な権利

 

紹介したように、世界各国はLGBT法に対して多様な取り組みを行っており、性的少数者の権利保護や差別の撤廃に向けた進展が見られます。

PoliPoliで公開されているLGBTに関連した取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、「すべての人を排除しない国勢調査改革!」の実現政策について、以下のように公開されています。

あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。

PoliPoli|「すべての人を排除しない国勢調査改革!」の実現

(1)「すべての人を排除しない国勢調査改革!」の実現政策の政策提案者

議員名 源馬 謙太郎
政党 衆議院議員・立憲民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/CKlFyujv6QhK2V2GApIb/policies

(2)「すべての人を排除しない国勢調査改革!」の実現政策の政策目標

政策目標は以下の通りです。

国勢調査の項目に、事実婚や同性パートナーでの同居も選択できるようにする。

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

同性で配偶者と記入した調査結果をエラーにせずそのまま集計する。

この政策の詳細を知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

5、まとめ

今回はLGBT法について解説しました。

LGBT理解推進法案は2023年5月18日に国会に提出されたばかりで、施行にはまだ時間がかかるでしょう。
また、社会への浸透には国民からの理解が必要です。

LGBTに関する法律に関しては、今後の社会的な取り組みにも注目でしょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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