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PPP(官民連携)とは?PFIとの違いも簡単解説

投稿日2020.9.7
最終更新日2020.09.10

PPPとは、“Public Private Partnership”の略で官民連携という考え方を意味する言葉です。

行政(Public)と民間(Private)が協力(Partnership)して公共事業などを行うことで、公共サービスの質を向上させることが目的です。

また、こうした公共事業において、似たような言葉としてPFIというものがあります。
PPPとPFIが似ているため混同している方も多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では

  • PPP(官民連携)とは
  • PFIとは
  • PPP/PFIの具体的事例
  • PPP/PFIの課題

についてくわしく解説していきたいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、PPP(官民連携)とは?

PPP
PPP(Public Private Partnership)とは、官民連携のことです。
民間連携とは、行政と民間とが連携して、より効率的で質の高い行政サービスの提供を目指すという考え方です。

PPPの背景には

  • 公共施設の老朽化
  • 厳しい財政状況
  • 人口減少

などの行政サービスを提供する上での課題があります。
そこで行政と民間が連携することで

  • 行政サービスの向上
  • 財政資金の効率的使用
  • 行政の業務効率化

などを目指し、上記のような行政サービス上の課題解決を図ります。

参考:全地域PFI協会

2、PFIとは

PFIとは、“Private Finance Initiative”の略で、民間の資金・経営能力・技術力を活用して、民間主導のもと公共施設の運営といった公共事業を行う手法のことです。

イギリスのメージャー政権でPFIの概念が生まれ、日本では1999年にPFI法が施行されました。

(1)PPPとPFIの違い

PFIはPPPを実現するための代表的な手法の1つになります。
PPPには、PFI以外にも

  • 指定管理者制度
  • 市場化テスト
  • 公設民営(DBO)方式
  • 包括的民間委託
  • 自治体業務のアウトソーシング

といった手法があります。

参考:全国地域PFI協会

(2)PFIと従来の公共サービスの違い

PFIと従来の公共サービスとの大きな違いは、サービスを提供するのが民間であるということです。

PFIでは、公共団体が運営方法を決めて外部に発注するのではなく、「どのような運営を行えば効率的なのか」を民間事業者にプレゼン方式で競争させ、優秀事業者に設計から運営までを委託します。

このように民間が直接サービス提供を行うことで、公共サービスの効率や質を上げることを目指しているのです。
PPP
画像出典:PPP/PFIの概要 内閣府

参考:PPP/PFIの概要 内閣府

(3)PFIコンセッション方式

安倍政権で推進されている「コンセッション方式」にも触れておきましょう。
コンセッションとは、「公共施設等運営権」として規定されている権利のことです。2011年5月の改正PFI法で導入されました。

コンセッション方式とは、利用料金が発生する公共施設において、行政がその施設の所有権を持ったまま、運営権を民間事業者に委託・売却するという事業方式のことです。

コンセッション方式では、民間事業者が施設の利用料金を収入として得ることができるので、公共施設の安定した運営と長期的な管理を継続して行うことができます。

PPP・PFI
画像出典:コンセッション方式 内閣府

3、日本におけるPPP及びPFIの発展

PPPにはどのような歴史的な取り組みがあるのでしょうか?
ひとつひとつ見ていきましょう。

(1)PPPの歴史

前項でも軽く触れましたが、PPPの発祥はイギリスです。

1979年からのサッチャー政権による英国病からの脱却、小さな政府への転換をきっかけに公共サービスの民営化や行政サービスのアウトソーシングがはじまりました。

その後、1990年からのメージャー政権で「PFI」が、1997年のブレア政権で「PPP」という言葉が生まれます。

参考:国土交通省・英国のPPP/PFI施策調査業務

(2)日本でのPPPの発展

日本でのPPPは

  • 1982年からの中曽根政権による民活政策
  • 1996年からの橋本政権による橋本行革
  • 2001年からの小泉政権による構造改革

とともに発展し、その流れは安倍政権にも引き継がれていました。
安倍政権では、コンセッション方式(公共施設などの運営権を民間に委託・売却)を活用し

  • 収益施設の併設による費用回収
  • 公共資産を有効活用するための民間による提案

などのアクションプランが、PPP/PFIの活用拡大として成長戦略に盛り込まれました。

参考: 未来投資会議・第4次産業革命会合

2020年7月には「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針)」と「成長戦略フォローアップ」でPPP/PFIの推進継続が決定し、同月に発表されました。「PPP/PFI推進アクションプラン(令和2年改定版)」では、2013年から2022年までの10年間で21兆円の事業規模目標が定められました。

このように現在においても国内でのPPPに対する注目度は高く、より大きな市場になる可能性があります。

(3)PPP/PFI推進アクションプラン(2020年版)

2020年7月に発表された「PPP/PFI推進アクションプラン(令和2年改定版)」を見ていきましょう。
PPP/PFI推進アクションプラン(令和2年改定版)では

  • PPP/PFIの促進に向けた制度面の見直し
  • 地域のPPP/PFI力の強化

が施策として挙げられました。
それぞれについて詳しく見てきましょう。

① PPP/PFIの促進に向けた制度面の見直し

制度面の見直しでは

  • コンセッション事業に関連する「建設」「改修」での運営権者の業務の明確化

  • キャッシュフローが生まれづらい道路や学校などの公共建築物での積極的なPPP/PFIの実施

  • 創意工夫が発揮されやすいBOT方式の促進と現行の税制特例措置の拡充

    引用:用語集 内閣府

などが提案され、より多様なPPP/PFIの促進が予定されています。
ちなみにBOT方式とは、民間事業者が施設等を建設し、維持・管理及び運営し、事業終了後に公共施設等の管理者等に施設所有権を移転する事業方式のことです。

② 地域のPPP/PFIの強化

地域のPPP/PFIの強化では地方公共団体への積極的な支援を軸として

  • PPP/PFIの発注に必要なアドバイザリー費用の適切な支援
  • 支援分野の拡大と取組が加速するインセンティブ(動機付け)の実施
  • PPP/PFIを評価または認定し、人材を活用する仕組みづくり
  • 地域におけるPPP/PFI関係者の連携強化と人材育成などのコミュニティ形成支援

などが検討事項として提案されました。

参考:PPP/PFI推進アクションプラン(令和2年改定版)概要 内閣府

4、PPP及びPFIの具体的事例

2005年3月の時点で、PFIを使った公共事業の計画数は180件を超え、すでに建設を終えて運営を開始している事業は43件にのぼります。

PPP及びPFIの具体的事例をご紹介していきましょう。

(1)アミタ株式会社のPPP

宮城県本吉郡南三陸町とアミタ株式会社は、PPPを活用してバイオガス事業を行っています。

有機系廃棄物を発酵処理することでバイオガスと液体肥料を製造し、バイオガスは発電に、液肥は有機質肥料として再利用可能になっています。

2014年に「同町バイオマス産業都市構想」の実現のために「バイオガス事業実施計画書」の協定を結び、生ごみなどのバイオガス施設の建設と運営、資源循環について、総合的な協力関係を築いています。

参考:南三陸町で実施するバイオガス事業 AMITA

(2)北九州市立思永中学校と株式会社九電工の整備PFI事業

福岡県北九州市思永中学校と株式会社九電工は、PFIを活用して通年利用可能な屋内温水プール事業を行っています。

屋内温水プールは授業以外の時間は市民プールとして開放し、事業地の一部を活用して付近沿線の活性化のために収益施設も整備されました。

老朽化した中学校の建て替えを行いながら、プールを市民に開放することで利用者を増加させ、余剰地活用事業として大学サテライトキャンパスの整備を行うなど、PPP及びPFIのメリットが活用さられています。

参考:PPP/PFI事業の取り組み 国土交通省
参考:PPP/PFI事業 事例集 内閣府

5、PPP/PFIの課題

地域活性化と公共サービスの向上に貢献しているPPP/PFIですが課題もあります。

現状の課題を

  1. 自治体
  2. 企業

のそれぞれの立場から見ていきましょう。

(1)自治体の課題

  • PPP/PFI の実施メリットの認識の低さ
  • PPP/PFI の職員のノウハウ不足
  • PPP/PFI 実施における人材と体制の不十分さ
  • 長期間契約による民間事業者の破綻や質の低下への懸念
  • 官民のリスク分担の難しさ

などが挙げられ、PPPに対する知識不足や実施環境が追いついていない問題が浮き彫りになりました。

(2)企業の課題

  • 資金調達が難しい
  • 知識、ノウハウ、人材の不足
  • リスクを負担できない
  • 公共側が希望している内容に沿っているが分からない
  • コストや労力をかけて提案をしても受け入れられない場合がある

などが挙げられ、自治体と同じく知識や人材不足が大きな課題となっています。
財政や手続きの面についても、大企業でなければPPPの連携は難しいという声も挙がっています。

官民連携が推進されていない理由として、13.7%の自治体が「地元企業の受注減少」を挙げており、中小企業または地元の小さな企業はPPPに参加しにくい状況です。

国の課題にはこれらの自治体と企業の現状が反映されており、

  • アドバイザーの充実
  • セミナーの実施とマニュアル作成による知識の普及
  • 各省庁の連携
  • 事業契約の見本の提示
  • ガイドラインの明確化
  • PFI法の整備
  • 各パーソンへのヒアリング

以上のような取り組みが積極的に行われる予定になっています。

参考:PPP/PFI 推進における主体別の課題及び支援方策に関する検討業務 国土交通省

まとめ

今回はPPP(官民連携)について解説しました。

PPPが促進されることにより、公共サービスもバラエティに富み、より豊かな国民の暮らしを実現できます。その一方で、民間事業者の利益と公共性のバランスを保つことも重要です。

民間事業者を通して国民の声が公共サービスに反映され、公共サービスの質がより向上していくといいですね。