復興とは、いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ることを指し、災害以外の文化や経済などについても使われます。
今回の記事では、災害からの復興に焦点をあて
- 復興とは
- 復興庁について
- 復興のための取り組み
- 東日本大震災からの復興
についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、復興とは
復興とは、「いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ること」を指します。
日本は比較的自然災害の多い国です。
- 地震
- 豪雨
- 津波
などさまざまな災害が頻発しています。
画像引用元:自然災害の多い国 日本 一般社団法人 国土技術研究センター
ここでは
- 復興の種類
- 復興と創生の違い
について見ていきましょう。
(1)復興の種類
災害からの復興には、
- 社会の復興
- 個人の復興
の2種類の復興があります。
社会の復興とは、街の復興であり
- 公共インフラ
- 産業
- 経済
などを元に戻すことを指します。
個人の復興とは、住まいと暮らしの復興であり、
- 住宅の修繕
- 仕事の安定
- 精神的ケア
などが含まれます。
災害からの復興では、社会と個人の両方を復興させる必要があるります。
(2)復興と創生の違い
復興とは「元の状態に戻すこと」であり、創生とは「新しく生み出すこと」です。
ちなみに「創造的復興」という考え方もあります。
創造的復興とは、災害の経験を無駄にしないために、復興だけではなく、創生につなげようという復興です。
創造的復興の具体例には
- 災害に強いコミュニティづくり
- 防災、新エネルギー、ライフライン等の研究推進
- 地域産業の振興と雇用機会の創出
などの取り組みがあります。
2、復興庁について
復興庁とは、東日本大震災からの復興を目的として、2012年に新設された省庁です。
東日本大震災の復興に関する
- 国の施策の企画
- 調整
- 実施
- 地方公共団体への一元的な窓口と支援
などを担っています。
復興庁の組織は
- 総括、企画
- 被災者支援、健康、くらし
- 地震、津波被害の復旧と復興
- 福島、原子力災害の復興
の4つにわかれており、岩手・宮城・福島の3県には「復興局」と呼ばれる地方機関があります。
参考:復興庁について 復興庁
3、復興のための取り組み
復興に向けた政府の主な取り組みである
- 被災自治体への職員派遣
- 復興まちづくり
- 被災者支援
- 産業の復興
についてご紹介します。
(1)被災自治体への職員派遣
総務省では「応急対策職員派遣制度」と呼ばれる、被災自治体への職員派遣を行っています。
災害発生時に、全国の地方公共団体に務める職員を派遣することで、被災市区町村の支援を行うための制度です。
災害発生後は
- 避難所の運営
- 罹災証明書の交付
など自治体の仕事が増えるため、職員派遣によって人手不足を解消し、迅速な対応の実現を図っています。
参考:応急対策職員派遣制度に関する運用マニュアル<第3版> 総務省
(2)復興まちづくり
政府は「復興まちづくり」として
- 住まいの再建
- 公共インフラの復興
- 産業の復興
- 新しい東北の創造
を進めています。
住まいの再建には、防災のために安全な場所に住居を移動する「防災集団移転促進事業」や「災害公営住宅の整備事業」が含まれています。
参考:復興の今、そしてこれから ~復興まちづくり~ 首相官邸
(3)被災者支援
被災者支援に関する施策には、「被災者支援総合交付金」があります。
被災者支援総合交付金とは、都道府県または市町村等が作成した「被災者支援事業計画」に必要な経費について、国から交付される補助金です。
その交付対象事業は、被災者見守りや相談支援事業などとされています。
(4)産業の復興
産業復興のための施策である
- 企業立地補助金
- 「新しい東北」交流拡大モデル事業
についてご紹介します。
①企業立地補助金
企業立地補助金とは、被災地に工場等を新設する企業に対して、経済産業省から交付される補助金です。
「ふくしま産業復興企業立地支援事業」を例に挙げてみましょう。
同支援事業では、県内に立地する、地域経済と地域の振興に期待できる企業に補助金の交付を行っています。
2017年時点で、
- 361件
- 補助金総額2,102億円
の交付が決定しています。
②「新しい東北」交流拡大モデル事業
「新しい東北」交流拡大モデル事業とは、東北観光業の復興のために、復興庁が実施している取り組みです。
「新しい東北」交流拡大モデル事業の目的は、東北における外国人交流人口の拡大です。
同事業では、民間事業者から旅行商品を募集し、旅行商品の販売支援などを行っています。
参考:令和2年度「新しい東北」交流拡大モデル事業選定結果について 復興庁
4、東日本大震災からの復興
東日本大震災からの復興は、日本において大規模な復興の1つです。
2019年の第24回復興推進会議で、当時の首相安倍晋三氏は「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」と述べています。
東日本大震災とはどのような災害だったのでしょうか。
- 東日本大震災の概要
- 東日本大震災からの復興に向けた見通し
について解説します。
(1)そもそも東日本大震災とは
東日本大震災とは、2011年3月11日に起きた大地震です。
震源地は宮城県の牡鹿半島から130km付近、マグニチュードは観測史上最高の9.0を記録しました。
- 宮城県
- 福島県
- 岩手県
は特に被害が大きかったため、被災3県と呼ばれます。
また福島県では、津波の影響で「福島第一原子力発電所事故」が発生しました。
発電所から放射能が放出され、周辺住民は避難を余儀なくされました。
画像引用元:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 ~The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake~ 気象庁
参考:特集 東日本大震災 内閣府
(2)東日本大震災の復興に向けた見通し
復興庁の指標を用いて、
- 集中復興期間
- 第1期復興・創生期間
- 第2期復興・創生期間
の期間別に復興までの道のりを解説します。
画像引用元:復興の現状と取組 復興庁
①集中復興期間
集中復興期間とは、復興庁が発足した2012年2月~2016年3月の期間を指します。
集中復興期間では
- 仮設住宅の提供
- 公共インフラの復旧
- 産業の再生
- 雇用の確保
などが行われました。
②第1期復興・創生期間
第1期復興・創生期間とは、2016年から2020年の期間を指します。
第1期復興・創生期間では
- 被災者の心身のケア
- 災害公営住宅の整備
- 産業等の復興
- 原子力災害からの復興と再生
などが取り組まれました。
参考:「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について
③第2期復興・創生期間
第2期復興・創生期間とは、2021年から2025年までの期間を指します。
第2期復興・創生期間では、第1期復興・創生期間の理念を継承しつつ、
- 被災地への移住の促進
- 岩手復興局、宮城復興局の組織
- 地方創生との連携強化
- 国際教育研究拠点の構築(福島イノベーション・コースト構想)
などの取り組みが予定されています。
まとめ
今回は復興について解説しました。
被災者の心理的ケア、雇用の創出と安定、未来への創生も「復興」にあたります。
東日本大震災をはじめ、発生した災害のより早い復興を願います。