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貿易摩擦とは?問題点・原因・具体的な過去の事例を簡単解説

投稿日2021.3.19
最終更新日2024.02.09

貿易摩擦とは国同士の貿易政策をめぐる争いのことを指し、その背景には複雑な事情があります。

また深刻な貿易摩擦は「貿易戦争」と表現され、世界的な経済問題に発展することもあります。

そこで本記事では、以下についてわかりやすく解説します。

  • 貿易摩擦とは
  • 貿易摩擦が生じる原因
  • 貿易摩擦の過去の事例

1、貿易摩擦とは

貿易摩擦とは
貿易摩擦とは、「貿易国同士で一方ばかりが儲かっているのは不公平だ」という不満から起こる対立のことです。「通商摩擦」と言われることもあります。

また、広い意味では、外国企業の買収をめぐる「投資摩擦」を含んだ言葉として定義されることもあります。

2018年頃から生じている米国と中国の対立のように、深刻な貿易摩擦は「貿易戦争」と表現され、しばしば世界的な経済問題に発展することもあります。

2、貿易摩擦が生じる原因

貿易摩擦は、輸入品が国産品と競合することで起こります。

輸出を増やしたい国と、国内生産を守りたい国との意見の相違が主な原因です。特定の商品の競争力に差があると、どちらかの国の商品ばかりが売れてしまい、市場に出回ることになります。

すると、一方の国の貿易黒字が膨らみ、もう一方の国の貿易赤字が積み上がってしまう事態になります。さらに国内の同業種が不振に陥るきっかけとなり、失業や不況の原因になってしまいます。

それらを防ぐために関税を引き上げたり、輸出入の量を制限したり、交渉して貿易国同士が調整しますが、両国のバランスが保てなくなった結果、貿易摩擦が起こるのです。

日本と米国の自動車産業を例にして説明しましょう。日本車の輸出が好調で、米国内でも日本車ばかりが売れていると、米国の貿易赤字が拡大し、米国内の自動車産業は停滞・悪化してしまいます。

そこで、両国間でのバランスを取るために、日本車の輸出量に制限をかけたり、関税をかけたりするのですが、折り合いが合わないとしばしば対立することになります。

こうして貿易摩擦が生じるのです。

一般的にはマイナスなトーンで用いられることの多い貿易摩擦ですが、多国籍企業の競争力が上がることや、価格の安い輸入品が出回ることで消費者にとっての選択肢が広がることなどメリットもあります。

一方、貿易摩擦が深刻になると、ダメージが大きい方の国の国内需要がしぼみ、デフレになりやすい傾向もあります。

3、貿易摩擦の過去の事例

米中貿易戦争
貿易摩擦が拡大すると、どちらか一方の国が大きなダメージを被ります。
好調だった輸出品に、輸出量の制限がかけられたり関税がかけられたりするので、基本的にはその産業全体が不調に陥ります。

すると国内の失業者が増え、やがて経済全体の停滞を招きます。国際経済全体で見ても、貿易が滞ってしまう可能性があります。

場合によっては世界恐慌にまで発展してしまう恐れもあるため、二国間の貿易摩擦であっても、国際問題としてしばしば注目されるのです。

深刻な貿易摩擦は「貿易戦争」と表現される通り、両国間で激しい対立を生みます。過去には実際の戦争にまで発展してしまった例もあります。

主な貿易戦争は二国間での対立ですが、世界経済全体に影響を及ぼす大きな国際問題と言えます。

問題を解消するのは簡単ではありません。「こうすれば解決できる」という特効薬もなく、基本的にはどちらかの国の譲歩が必須です。

一般的には貿易黒字が続いている方の国が自主的に輸出量を制限したり、輸出をストップして現地で生産する方式に切り替えたりすることで、貿易摩擦は解消すると言われています。

相手国との貿易制限を緩和したり、逆に貿易を制限し合ったりするなどの両国間での調整も当然必要です。

(1)貿易摩擦で生じたアヘン戦争

代表的な貿易摩擦の例として、1840年から2年間続いた英国と清(現中国)の「アヘン戦争」が挙げられます。アヘンはケシの実から摂取される果汁を乾燥させたもので、いわゆる麻薬です。

英国は当時、インドで製造したアヘンを清に大量輸出して膨大な利益を得ていました。しかし、清国内のアヘン蔓延を問題視した清が、アヘンの全面禁輸を断行しました。

清国内では英国人が所持していたアヘンを燃やしたり、没収したりするような行動も目立つようになり、やがて英清両国間による戦争にまで発展してしまいました。

結果としては英国の勝利に終わり、1842年に南京条約を締約することになり、清は香港の割譲や多額の賠償金など大きな打撃を受けました。

(2)日米貿易戦争

日本に関連する貿易による争いといえば、1970年代の日米貿易戦争が代表的です。

当時、高度経済成長真っ只中だった日本の製造業は絶好調でした。特に自動車産業が急速に伸びており、海外輸出も盛んでした。

他にも繊維や家電の輸出も好調で、特に米国に対しての貿易黒字(米国からすれば赤字)が積み上がっていきました。

これに対し、米国側が反発したのです。1980年代に入ると、今度は米や牛肉、オレンジなどの農産物でも対米貿易黒字が顕著になりました。

すると米国内では日本製品の不買運動などの「ジャパンバッシング」が始まり、日本車を破壊するパフォーマンスが横行しました。

自動車産業が盛んなデトロイトでは、日本人に間違われた中国系米国人が殺害される事件まで発生するなど、深刻な事態に発展してしまったのです。

最終的には日本側が譲歩して大幅に輸出量を制限し、輸入を拡大することで決着をつけました。日本は牛肉とオレンジの輸入拡大などを求められ、自動車を中心に輸出量を大幅に削減しました。

自動車産業も、これまでのような輸出中心ではなく、米国内の労働力を確保するために現地工場で生産する方式に転換するようになったのです。

(3)米中貿易戦争

2018年頃から始まった米中貿易戦争は、トランプ大統領の就任がきっかけです。

米国の貿易赤字解消と内需拡大を目指す米政権は2018年3月、手始めに鉄鋼やアルミに追加関税をかけました(鉄鋼に25%、アルミ10%)。

これは主に中国からの輸入制限を目的とした関税であったため、中国側も即座に反応しました。大豆や自動車などの米国製品に対して追加関税をかける報復策に出て対抗し、両国間の深刻な貿易戦争に発展しました。

米国、中国による追加関税の応酬は、とどまるどころか対象品目が次々に追加され、2019年6月には米国は中国からのほぼ全ての輸入品を関税対象にしました。

米国側は「中国が企業秘密を盗み出している」として、中国の知的財産侵害に対する制裁を理由に攻勢をかけています。

一方、中国側も計600億ドル相当の関税に25%の関税をかけることで対抗しました。「冷戦状態」が続いているとされ、その行方には世界中が注目しています。

ちなみに米国と中国は、特に次世代通信網「5G」を始めとするITやハイテク関連の世界ナンバーワンの座を争う大国同士です。

したがって、この米中貿易戦争は「技術戦争」の側面があると言われています。IT分野の覇権争いが表面化した、という見方もできます。

PoliPoliで公開されている外交関連の取り組み

誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策について、以下のように公開されています。

あなたの願いや意見が政策に反映されるかもしれないので、是非下記のリンクからコメントしてみてください。
PoliPoli|「自由で開かれたインド太平洋」の実現

(1)「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策の政策提案者

議員名 小田原 きよし
政党 衆議院議員・自由民主党
プロフィール https://polipoli-web.com/politicians/MhNEL6SObMqPm5q8IU1l/policies

 

(2)「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策の政策目標

政策目標は主に以下の通りです。

  • 法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
  • 経済的繁栄の追求(連結性、EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
  • 平和と安定の確保 (海上法執行能力の構築、人道支援・災害救援等)

(3)実現への取り組み

実現への取り組みは以下の通りです。

  • 法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
  • 経済的繁栄の追求
  • 平和と安定の確保 (海上法執行能力の構築、人道支援・災害救援等)

この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。

「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策

まとめ

日本の自動車産業をめぐる1970年代の日米貿易戦争を始め、貿易に関する争いは国際経済全体に多大な影響を及ぼします。

海の向こうの出来事であっても、私たちの生活にも直接打撃を与える可能性があります。また、直近の米中貿易戦争のように、近年は単なる貿易収支だけではない複雑な要因が入り乱れています。

私たちも目に見える結果や経過だけに注目するのではなく、背景にある事情にまで深く目を向け、全体像をつかんで正しく理解することを心がけましょう。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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