近年、北朝鮮の金正恩指導部により、弾道ミサイルやICBM(大陸間弾道ミサイル)ミサイル発射訓練が積極的に行われています。
北朝鮮は核兵器開発や安全保障の観点からミサイル開発を進めており、国家安全保障の確保や交渉力の向上を狙っていると考えられます。
2022年には、北朝鮮からミサイルが発射される頻度が高くなり、日本でも5年ぶりにミサイルによる、Jアラートが発令されたことからも北朝鮮のミサイル事情に注目が集まっています。
今回は北朝鮮がミサイルを撃ち続ける理由について、北朝鮮のねらいや歴史的背景から解説していきます。
1、北朝鮮がミサイルを撃ち続ける理由
北朝鮮がミサイルを撃ち続ける理由は、ミサイルに核弾頭を乗せて発射するためです。
そのための実験としてミサイルを撃ち続けています。
北朝鮮がミサイルと核にこだわる最大の目的は、軍事力の強化にあります。
北朝鮮は先進国に比べて持っている武器や戦闘機が古く、性能が低いです。そのため、総合的な軍事力で韓国や在韓米軍に対抗することはとても難しいのが現状です。
北朝鮮は総合的な軍事力で勝ることが難しいことを理解しているからこそ、保有しているだけで脅威になる核とミサイルの開発に突き進んでいます。
2、北朝鮮がミサイルを発射するねらいと背景
軍事力の強化をするために核とミサイルに力を入れていることは理解いただけたかと思います。
では、なぜ軍事力を強化したいのか、ねらいと背景について解説します。
(1)軍事力を強化するねらい
北朝鮮がミサイルや核を強化するねらいはアメリカと「対等」に渡り合い、体制の保証を取り付けるためです。
北朝鮮は、「アメリカが核で脅してくるならそれに対抗するために核が必要だ」との考えを持っています。
そのため、北朝鮮は核やミサイルで軍事力を強化することが、自国を平和に導く最適な方法と考えています。
(2)歴史的背景は朝鮮戦争
北朝鮮が軍事力を強化することこそが、平和への近道と考える背景には朝鮮戦争があります。
朝鮮戦争とは、1950年6月に、北朝鮮が北緯38度線を越えて韓国に戦争をしかけて勃発した、朝鮮半島の主権を巡る戦争です。
アメリカ主体の国連軍と北朝鮮とそれを支援する中国軍が3年にわたり攻防を繰り広げました。
1953年7月に休戦に至りましたが、平和条約は結ばれておらず、名目上は2022年現在も戦時中となっています。
上記のように現在も戦時中であることから、北朝鮮はアメリカの脅威に対抗するために軍事力の強化を最優先に進めているということです。
3、北朝鮮ミサイルの頻度が増えている理由
2022年に入ってから北朝鮮ミサイル発射の頻度が多くなっています。2022年10月6日時点で確認できている数だけでも41発ほどミサイルなどが発射されています。
また、2022年11月2日には、1日で23発以上ミサイルを発射するなど、発射頻度が増え続けています。
参照:https://www.tokyo-np.co.jp/article/211640
北朝鮮ミサイルの発射が多くなる理由として以下の2つがあげられます。
(1)国防5か年計画
国防5か年計画とは、2021年9月のミサイル試射時に言及された、国防科学の発展や兵器システムの開発を強化する計画のことです。
国防5か年計画の「中核5大課業」として以下の5つが明らかになっています。
- 超大型核弾頭の生産
- 1万5000キロ射程圏内の任意の戦略的対象を正確に打撃、掃滅する核先制および報復打撃能力の高度化
- 極超音速滑空飛行戦闘部の開発導入
- 水中及び地上固体エンジン大陸間弾道ロケットの開発
- 核潜水艦と水中発射核戦略武器の保有
参照:https://www.npi.or.jp/research/data/20220118NPI_Commentary_Nishino.pdf
上記の中核5大課業を有言実行すべく、ミサイル発射の頻度が増えています。
(2)アメリカとの交渉停止
2つ目の理由は、アメリカとの交渉がストップしていて、制裁の緩和に目途が立たなくなっているためです。
アメリカとの交渉ストップには、トランプ政権からバイデン政権に変わったことや、ウクライナ問題で北朝鮮との交渉が二の次になっているなどの要因があります。
上記の要因から、いまミサイル実験をたくさん行っても、バイデン政権との間には会談の予定などがないため問題ないという判断でミサイル発射が増えていると考えられます。
4、北朝鮮ミサイルの種類
引用:https://www.mod.go.jp/j/approach/surround/pdf/dprk_bm.pdf
北朝鮮ミサイルの種類は上記の画像の通り、16種類あります。
ミサイルの種類によって、用途が違い、潜水艦から撃つSLBMは探知されにくい特徴があるなど様々です。
北朝鮮の弾道ミサイルの中には射程1万キロ以上のものもあり、これはアメリカのロサンゼルスまで到達することができるミサイルです。
5、北朝鮮ミサイルによって日本に被害が出る可能性は?
ここで気になるのが、日本に被害が出る可能性があるのかどうかです。結論から言うと日本に被害が出る可能性はあります。
現在日本は、ミサイルを撃ち落とす体制を2段構えでとっています。
1段階目が、イージス艦からミサイルを発射して大気圏外で撃ち落とす方法です。2段階目が、地上から「PAC3」と呼ばれる地対空ミサイルによって迎撃する方法です。
上記のように手厚い対策を取っているものの、ミサイルを撃ち落とせる確率は100%ではありません。
また、北朝鮮は軍事力強化を進めて、レーダーに感知されにくいミサイルの開発を進めているため、迎撃できる可能性はさらに低くなると考えられます。
ミサイルが日本に落下した時の対処法などは以下のJアラートに関する記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。
Jアラート(全国瞬時警報システム)とは?スマホでの受信設定方法をわかりやすく解説
PoliPoliで公開されている外交関連の取り組み
誰でも政策に意見を届けることができる、政治プラットフォームサービス「PoliPoli」では、「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策について、以下のように公開されています。
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PoliPoli|「自由で開かれたインド太平洋」の実現
(1)「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策の政策提案者
議員名 | 小田原 きよし |
政党 | 衆議院議員・自由民主党 |
プロフィール | https://polipoli-web.com/politicians/MhNEL6SObMqPm5q8IU1l/policies |
(2)「自由で開かれたインド太平洋」の実現政策の政策目標
政策目標は主に以下の通りです。
- 法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
- 経済的繁栄の追求(連結性、EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
- 平和と安定の確保 (海上法執行能力の構築、人道支援・災害救援等)
(3)実現への取り組み
実現への取り組みは以下の通りです。
- 法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
- 経済的繁栄の追求
- 平和と安定の確保 (海上法執行能力の構築、人道支援・災害救援等)
この政策の詳細をより知りたい方や、政策の進捗を確認したい方は下記リンクからご確認ください。
6、まとめ
北朝鮮がミサイルを撃ち続ける背景には、朝鮮戦争の影響があると分かったかと思います。
北朝鮮は今後もミサイルと核の開発を進めていくことを公言しているので、日本にミサイルが落下する可能性も頭に入れながら備えを進める必要があるでしょう。