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女性の社会進出とは?歴史や現状・今後の課題を簡単紹介

投稿日2021.3.1
最終更新日2021.03.01
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

女性の社会進出とは、かつて男性が中心であった社会において、女性の社会的な活躍が増えていることを指します。

男女という性別に関係なく働ける環境構築が徐々に進みつつあります。
今回は女性の社会進出について、以下のとおりご紹介します。

  • 女性の社会進出における歴史
  • データから読み解く女性の社会進出
  • 女性の社会進出を阻む課題
  • 女性の社会進出における政府の取り組み

本記事がお役に立てば幸いです。

1、女性の社会進出とは

女性の社会進出
昨今では、性別に関係なく、一人ひとりが持っている個性や能力を十分に発揮できる豊かな社会(男女共同参画社会)が重視されています。

そのような考え方と共に、「男女共同参画社会基本法」が施行され、女性の社会進出が推進されてきました。
2016年に施行された「女性活躍推進法」においては、企業における女性の活躍に関する

  • 状況把握
  • 課題分析

などの取り組みが、努力義務として課されました。

対象となるのは「常時雇用する労働者が300人以下の事業主」ですが、2022年には「常時雇用する労働者が100人以下の事業主」へと変更になります。

また2021年1月時点で、女性の社会進出を促進するため、内閣府の特命担当大臣に「男女共同参画担当」が置かれています。

参考:厚生労働省

2、女性の社会進出における歴史

戦前では、家制度などにより外で働く女性は少数でした。
ここでは、女性の社会進出における、戦後から現代に至るまでの歴史を見ていきましょう。

(1)普通選挙の実現

1945年に普通選挙が開始されました。
これにより女性にも選挙権が与えられ、女性の社会進出における大きな出来事となりました。

ただ、25歳以上の全ての男性に選挙権が与えられたのは1925年で、それから20年経過してようやく実現されたことでした。 

(2)高度成長期における雇用需要の拡大

1950年代半ばから始まった高度経済成長期では、労働力不足が発生しました。
その結果として、女性も労働市場に参加することが求められ、働く女性が増えたと言われています。

実際に、高度経済成長期が終わる1970年代には、女性雇用者がおよそ1,000万人を超え、そのうち半数以上は既婚者が占めていました。

この頃から多くの女性にとって、仕事と家庭の両立という課題が出てきました。 

(3)男女雇用機会均等法の施行

1986年には「男女雇用機会均等法」が施行されました。
男女雇用機会均等法の具体的な内容としては、企業の事業主が

  • 募集、採用
  • 配置
  • 昇進
  • 解雇

などをする際に、性別を理由にした差別を禁止することなどが定められました。
性別によって、雇用の機会が失われる事態の改善を図ったのです。

施行された当初は、多くの項目が「努力規定」でしたが、1999年の改正によって「禁止規定」となり、義務化が進みました。

 その後も改正が重ねられ、

  • 男性に対する差別の禁止
  • セクシャル・ハラスメントの禁止
  • マタニティ・ハラスメントに対する禁止

などに関する規定も制定されています。 

(4)男女共同参画社会基本法の施行

1999年には「男女共同参画社会基本法」が施行されました。

この法律は、私たち一人ひとりが、性別に関係なく自らの意欲に応じて、社会のあらゆる分野で活躍できる社会の実現を図るものです。

働き方が多様化する中で、男女問わず総合職にチャレンジしやすい環境、男女どちらも育児休暇がとりやすい環境などが求められています。

参考:内閣府男女共同参画局

男女共同参画社会基本法とは?新たな社会を実現するための課題について

時代が進み、「男性だから」「女性だから」という性別による固定観念は徐々に取り払われてきました。 性別で区切ることなく個人にフォーカスを置き、一人一人が持っている個性やスキルを十分に発揮できる社会が今望まれています。 ところで、「男女共同参画社会」という言葉を聞いたことはありませんか? それこそまさに、今の時代を捉えて新たに目指されている社会です。 また「男女共同参画社会基本法」...

3、日本における女性の社会進出の現状

女性の社会進出
2021年1月時点において、女性の社会進出はどの程度実現されているのでしょうか。
ここでは、実際のデータを見ながら

  • 女性管理職(役職者)の割合
  • 上場企業における女性役員の割合
  • 男女間の勤続年数の差

についての現状を確認していきましょう。 

(1)女性の管理職(役職者)の割合

 内閣府の男女共同参画局が発表している、常用労働者100人以上を雇用する企業の労働者における「階級別役職者に占める女性の割合」をまとめたものが下表です。

1989年と2015年における、各役職者の女性割合を見ると、上昇傾向にあると言えます。
しかし、どの役職の女性割合も半分以下となっており、上位の役職ほど割合は低いことが分かります。

表1:階級別役職者に占める女性の割合

  1989年 2015年
部長級 1.3% 6.2%
課長級 2.0% 9.8%
係長級 4.6% 17.0%

参考:男女共同参画局 役員・管理職に占める女性の割合

(2)上場企業における女性役員の割合

男女共同参画局が公開している、「上場企業の役員に占める女性の割合」を見てみると、

  • 2012年:1.6%
  • 2019年:5.2%

という結果になっており、増加傾向にはあるようです。

ただ、2003年に男女共同参画社会本部により決定された「2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標には、まだ及んでいないと言えます。

また、2017年時点で諸外国における女性役員割合は

  • アメリカ:約22%
  • ドイツ:約32%
  • フランス:約43%

となっており、世界と比較しても高い水準にあるとは言えないようです。

参考:男女共同参画局 女性役員情報サイト

(3)男女間の勤続年数の差

女性は男性に比べて、結婚や出産などを理由に一時的に離職するケースが多く、それは勤続年数にも現れています。

2017年時点で、女性の勤続年数は男性に比べ、平均3.8年少なくなっています。
また勤続年数の差が

  • 最も大きい産業「卸売業・小売業」:4.2年
  • 最も少ない産業「医療・福祉」:0.1年

となりました。

参考:男女共同参画局 女性役員情報サイト

4、女性の社会進出における課題|出産育児と仕事の両立について

今日でも女性の社会進出の課題となっている、出産、育児と仕事の両立について見ていきましょう。

(1)出産をきっかけに退職してしまう

厚生労働省による、平成13年度の第1回21世紀出生児縦断調査によると、子どもが1人の女性の場合、出産前1年には仕事に就いていた人の約7割が、出産6か月後には無職となっています。 

出産の前後には身体に大きな負担がかかり、仕事をしながら育児を続けることは難しいため、休職ではなく退職をせざるを得ないというケースも多いのかもしれません。 

出産後も働くためには、パートナーや職場の理解、子供の預け先の確保など、様々な問題に取り組む必要があります。

また、子育てのタイミングで介護の問題が重なる場合もあり、より働き続けることは難しくなると言えるでしょう。

(2)子育て後の再就職の難しさ

内閣府が公開している、女性の年齢別労働力率をまとめた表2を見てみると、子育て前は、正社員がパート・アルバイトを大きく上回っているにも関わらず、子育て後は逆転しています。 

表2:女性の年齢別労働力率

  25〜29歳(子育て前) 35〜39歳(子育て後)
正社員 41.8% 25.9%
パート・アルバイト 24.2% 28・6%

このことから女性が再就職する場合は、正規雇用が難しく、パートタイムなどの非正規で務めるケースが多いことが分かります。

労働形態は賃金にも大きく影響するので、金銭的な面でも働きたい女性にとっては不利な状況だと言えるかもしれません。

参考:内閣府  

5、女性の社会進出に対する政府の取り組み

女性の社会進出を目指す上では、家庭も仕事も大切にできる環境が必要です。
そのために、政府が取り組んでいる

  • 育児休業制度
  • 育児休業給付金
  • 女性応援ポータルサイト

について見ていきましょう。

(1)育児休業制度

 育児休業制度とは、育児・介護休業法によって定められた、子どもが1歳(最長で2歳)に達するまで、育児休業を取得できるという制度です。

 父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間となります(パパ・ママ育休プラス)。 

また、以下の内容についても定められています。

  •  短時間勤務の受入(休業を取得する本人が望む場合)
  • 子の看護休暇制度の取得
  • 時間外労働の制限
  • 転勤についての配慮
  • 不利益取扱いの禁止

このように制度としては整備が進んでいますが、職場によっては育児休業を取得しづらいという環境もあり、個別の利用のしやすさには、まだ大きな幅があると言えるかもしれません。 

参考:育児休業制度

(2)育児休業給付金

育児休業給付金とは、育児休業中に国から支給されるお金です。
休業後の復職を前提とし、育児休業の取得を増やすことを目的としています。

この給付金は非課税であり、さらに被保険者は受給中の社会保険料も免除されます。
支給期間は、産後休業期間(産後8週間以内)の終了翌日から、子どもが1歳になる前日までです。

支給金額は、休業開始前6か月で得た賃金によって異なります。ただ上限・下限についての定めが設けられています。

一般的には会社経由で申請することになりますので、実際に取得する際は会社の担当者とご相談ください。

参考:厚生労働省 育児休業給付 

(3)女性応援ポータルサイト

女性応援ポータルサイトとは、男女共同参画局が提供する、女性活躍推進法に基づく女性活躍の取組・状況などの情報を掲載しているWebサイトです。

例えば「就業・再就職したい」という場合であれば、 

  • 家事や子育てと両立可能な就業・再就職支援
  • 専門資格などを生かした再就職支援
  • ひとり親家庭の方への就業支援
  • 女性を含む若者の就業支援
  • 女性の参画が少ない分野での就業支援

などを利用することができます。
そのほかにも、以下のような分野についての情報が掲載されています。

  • 働き方を見直したい
  • 地域で活躍・起業したい
  • 安心して妊娠・出産・子育て・介護をしたい

参考:男女共同参画局 女性応援ポータルサイト

まとめ

今回は女性の社会進出について詳しくご紹介しました。
女性の社会進出における歴史や課題、政府の取り組みについておわかりいただけたのではないでしょうか。

日本における女性の社会進出は広がりを見せていますが、海外諸国と比べるとまだまだ大きな差があります。

少子高齢社会の日本で、貴重な労働力となる女性の社会進出と子育てサポートは、今後ますます重要な課題となるのではないでしょうか。