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ベーシックインカムとは?効果や問題点を簡単解説

投稿日2021.2.24
最終更新日2021.02.24

ベーシックインカムとは、政府がすべての国民に一定額のお金を支給する所得補償制度です。
支給の条件はなく、誰にでも支給される制度です(2021年2月時点で日本では未導入)。

ベーシックインカムは貧困や少子化対策にどのような効果をもたらすのでしょうか。
本記事では

  • ベーシックインカムの概要
  • ベーシックインカムのメリットとデメリット
  • ベーシックインカムを導入している国
  • ベーシックインカムが日本に導入される可能性

について解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、ベーシックインカムとは

ベーシックインカム
ベーシックインカムとは、すべての国民に一定額のお金を支給する所得補償制度です。
英語では“Basic Income”と表記され、頭文字を取って『BI』と呼ばれることもあります。

ベーシックインカムの目的は

  • 貧困や少子化の解決
  • 社会保障制度の簡素化
  • 幸福度と自由度の向上

などが挙げられます。
それぞれ確認していきましょう。

(1)貧困と少子化の解決

ベーシックインカムによって支給されるお金により、経済的に最低限の生活をすべての国民に保障できるとされています。

金銭的なサポートを強化することで、貧困による自殺や犯罪が減少するのではないか、と言われているです。

またベーシックインカムは、少子化の解決も期待されている制度です。

世帯ではなく個人ごとにお金が支給されるため、子どもが多い家庭ほど金銭的な支援を受けることができます。

出産や育児にかかる金銭的な負担を減らせれば、出生率を上げられるのではないか、と考えられています。

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(2)社会保障制度の簡素化

生活保護や年金など金銭的な社会保障を、ベーシックインカムで担うことで、社会保障制度を簡素化できると考えられています。

ベーシックインカムで社会保障を一本化し、その他の保障を補助的なものにするのです。

こうした社会保障の簡素化により、社会保障制度の管理がシンプルになり、生活保護の不正受給といった不正も発生しづらくなると言われています。

(3)幸福度と自由度の向上

ベーシックインカムは、国民の幸福度と自由度を高める可能性を秘めています。

具体的には

  • 趣味の充実
  • 生活の自由
  • 犯罪の減少
  • 自殺の防止

などの効果があるのではないかといわれています。

2、ベーシックインカムのメリットとデメリット

ベーシックインカムには多くのメリットがある反面、デメリットもあります。
ベーシックインカムのメリットとデメリットを解説していきましょう。

(1)ベーシックインカムのメリット

ベーシックインカムのメリットは、前述の通り、国民の生活を一定水準まで保障できることです。

毎月お金が支給されることで、金銭的な不安や負担を軽減できます。
趣味や休暇にお金を使う人も増え、景気の回復につながる可能性もあります。

国民の生活が安定すれば、健康にも貢献し、社会保障費の削減なども達成できるかもしれません。

(2)ベーシックインカムのデメリット

ベーシックインカムのデメリットは、財源の確保と個人の責任の増加です。
すべての国民に一律のお金を継続的に支給するため、十分な財源を確保し続ける必要があります。

またベーシックインカムで、社会保障制度が簡素化されれば、従来の保障部分を個人で担う必要も出できます。

ベーシックインカムにより、アルコールやギャンブル依存症を加速させてしまう可能性もあるので、経済的な個人の責任が大きくなると考えられているのです。

3、ベーシックインカムを導入している国はあるのか

ベーシックインカム
2021年1月の時点でベーシックインカムを導入している国はまだありませんでした。
ただし、さまざまな国でベーシックインカムの試験的な導入が試みられています。

  • フィンランド
  • カナダ
  • ドイツ

それぞれの事例をご紹介します。

(1)フィンランド

フィンランドでは2017年1月から2018年12月まで、ベーシックインカムの試験的な導入が行われました。

フィンランドのベーシックインカムの内容は以下の通りです。

  • 対象者はランダムで選ばれた、25~58歳までの失業者とする
  • 毎月560ユーロ(約6~7万円)を2年間にわたって支給する
  • 2年間の間に仕事が見つかっても継続して現金を支給する

この試験的な導入により、ベーシックインカムは個人の

  • 自信や自己肯定感
  • 幸福感

をもたらすことがわかりました。
ただ雇用日数については、受給者とそうではない者の差は約5日と、ほとんどありませんでした。

参考:ベーシックインカムはどうだったのか? フィンランド政府が最終報告書を公表

(2)カナダ

カナダではベーシックインカムの試験的な導入が、2017年7月から3年間実施される予定でしたが、約1年で打ち切りとなりました。

打ち切りの理由には

  • 莫大な費用がかかったこと
  • 期間中の政権交代があったこと

などが挙げられます。
カナダのベーシックインカムの内容は以下の通りです。

  • 対象者はオンタリオ州の4,000人の住民とする
  • 個人の年収や世帯に合わせて、年間約150~200万円を支給する

途中で打ち切りとなったため、十分な研究データが得られたとは言えませんでした。

ただフィンランドと同様に、自己肯定感や幸福感が増えたため、健康維持やキャリアアップにもつながったというデータが出ています。

参考:カナダ・オンタリオ州の新政権、世界最大規模のベーシックインカム実験を打ち切る

(3)ドイツ

ドイツではベーシックインカムの試験的導入が2021年に始まる予定です。
ドイツのベーシックインカムの内容は以下の通りです。

  • 応募者からランダムで選ばれた120人に毎月約15万円を支給
  • 選ばれなかった応募者の一部は比較対象とする
  • 期間は3年間
  • 18歳以上であれば、その他の条件は設けない

参考:ドイツでベーシックインカム実験始まる…3年間、毎月15万円を支給

4、ベーシックインカムが日本に導入される可能性

ベーシックインカムが、今後日本に導入される可能性はあるのでしょうか。
国会ではベーシックインカムの導入について、度々議論にあがるものの、導入に向けた本格的な動きはありません。

その理由には

  • 莫大な財源の確保
  • 効果の不透明さ

があります。

2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、世界のさまざまな国でベーシックインカムの導入が検討されました。

まとめ

今回はベーシックインカムについて解説しました。

国民の生活を守る社会保障制度のあり方について、日々様々な議論がなされています。

本記事がお役に立ちましたら幸いです。