子供の未来応援基金という基金は、貧困対策を推進し、全ての子供たちが夢と希望を持って成長できる社会の実現を目指す「こどもの未来応援国民運動」の象徴として始まりました。
基金の財源は主に企業や個人の寄付などで賄われています。
今回は以下の内容についてご紹介します。
- 子供の未来応援基金の概要
- 子供の未来応援基金の具体的な支援団体
- 子供の未来応援国民運動
本記事がお役に立てば幸いです。
1、子供の未来応援基金とは
子供の未来応援基金の概要を紹介します。
(1)子供の未来応援基金の目的とは
子供の未来応援基金の目的は、貧困環境の子供たちに寄り添う団体を支援することで、「貧困の連鎖を断ち切ること」です。
貧困の連鎖とは、貧困の状況下で育った子供が大人になっても貧困から抜け出せない状況のことをいいます。
この負の連鎖により、本来国を支えることを期待されていた子供達が支えられる側に回ってしまい、以下のようなデメリットを生じる恐れがあります。
- 人材の減少
- 市場の縮小
- 社会保障費の増大
社会の担い手となる子供を支援することは、単なる慈善事業ではなく、日本の未来を明るくするために必要な未来への投資と言えます
このような考えに基づき、貧困の連鎖を解消し、人材を育成する仕組みとして、新たに子供の未来応援基金は設立されました。
子供の未来応援基金は、平成27年に始まった子供の未来応援国民運動の一環として行われており、同運動には基金による事業以外に以下のような支援があります。
- 教育支援
- 経済支援
- 生活支援
- 就労支援
これらについては後段にて解説していきます。
参考:子供の未来応援国民運動
(2)子供の未来応援基金の財源について
基金の財源は、企業や個人からの寄付などで賄われています。
寄付した企業や個人の名称は、基金の公式サイトに掲載されています。
基金に寄付した企業の一部は次のとおりです。基金の公式サイトには、以下の画像のように、寄付をした全企業のロゴが掲載されています。
画像出典:子供の未来応援基金 |
(3)資金援助する支援団体の決め方
基金には以下の組織で構成される国民運動推進事務局があります。
- 内閣府
- 文部科学省
- 厚生労働省
- 独立行政法人福祉医療機構
この国民運動推進事務局が資金援助をする団体を決定します。
そして同事務局のなかには、基金審査委員会があります。
同事務局が資金援助を必要とする支援団体を選考し、基金審査委員会により透明性や公平性を確保しています。
(4)子供を支援する団体とは
子供を支援する団体とは、「子供たちに寄り添って草の根で支援を続けている団体」のことを指します。
団体それぞれで以下のような要素が異なります。
- 事業規模
- スタッフ数
- 活動内容
- 組織形態
そこで基金では、資金援助の対象になる事業として以下のようなもの挙げています。
- 家庭的養護、里親、養子縁組
- 学校外教育支援、スポーツ支援、学習支援
- 居場所支援
- 生活支援、衣食住の確保
- 児童養護施設などからの退所者支援
- 高等教育保障のための支援
- 保護者対象または子供対象の就労支援
- 保育確保支援
- 幼児教育支援
- 学校教育の就学支援
- 妊婦支援
また、子供を直接支援するだけでなく、子供の親を支援することで間接的に子供の支援につながる事業も、基金の資金援助対象になっています。
次章では、具体的に資金援助の対象となっている支援団体について解説していきます。
参考:子供の未来応援基金
2、資金援助対象となっている具体的な支援団体
子供の未来応援基金の資金援助を受けた団体をいくつかご紹介します。
彼らはどのような活動をしているのでしょうか。
具体的な事業内容などを見ていきましょう。
(1)一般社団法人東京子ども子育て応援団(東京都)
東京子ども子育て応援団が取り組んでいる事業は以下のような取り組みが挙げられます。
- 子供食堂
- 学習環境の提供
- 遊び場の提供
さらに保護者に対して、憩いの場を確保したり、食糧や生活必需品を提供したりしています。
(2)NPO法人パルシック(東京都)
NPO法人パルシックも以下のような取り組みを行っています。
- 食事
- 生活環境
- 学習環境
- 遊び場
具体的にはカフェを開設して、子供と保護者が集まれる空間を提供しています。
遊び支援では、バーベキューやピクニック、季節のイベントなども行われています。
(3)NPO法人北見NPOサポートセンター(北海道)
北見NPOサポートセンターは、およそ20年近い歴史を持つ団体です。市民活動や中小企業などの支援も行っています。
ひとり親への就労支援や児童学習支援が基金の資金援助対象になっています。
(4)バスターミナル学習室(長崎県)
バスターミナル学習室は経済状況やひとり親といった家庭状況などが原因で学力が低下してしまった子供に、学校の授業の補習を行っています。
3、子供の未来応援国民運動について
上述した子供の未来応援国民運動の事業には、子供の未来応援基金の活動以外にも以下のような支援があります。
- 教育支援
- 経済支援
- 生活支援
- 就労支援
それぞれ見ていきましょう。
(1)教育支援
教育支援事業では、すべての子供が、希望する質の高い教育を受けられる社会を目指します。
- 幼児段階:幼児教育の段階的な無償化や地域による学習支援、ひとり親家庭の子供への学習支援
- 義務教育段階:貧困に起因する学力課題を解消するための教員の増強や、義務教育段階での就学支援、生活保護世帯など生活困窮世帯の子供への学習支援、児童養護施設で暮らす子供への学習支援
- 高校以上の段階:高等学校等就学支援金や高校生等奨学給付金などの事業
また、専門学校生への経済支援、大学や高等専門学校での授業料の減免、大学等奨学金事業なども、ここに含まれます。
(2)経済支援
経済支援事業では、保護者向けに生活費などの支出を支援します。
具体的な事業として、以下のような支援が挙げられます。
- 母子父子寡婦福祉資金の貸付
- 養育費及び面会交渉関する相談支援
- 児童扶養手当の支給
(3)生活支援
生活支援事業では、住居の確保や物質的・精神的課題の解決などを目指します。
具体的には以下のようなものなどがあります。
- ひとり親家庭に対する総合的な支援
- 生活困窮者自立支援制度
- 子育て安心プラン
- 社会的養護施設の整備
- 児童相談所の相談機能の強化
(4)就労支援
就労支援事業では、ひとり親を重点的にサポートします。
また就労支援に加えて、親の学び直しなどの支援も行っています。
外に働きに出ることができないひとり親には、在宅就業支援も行います。
ひとり親家庭向けの相談窓口のワンストップ化も推進しています。
4、子どもの貧困対策の推進に関する法律
子どもの貧困対策の推進に関する法律が2014年に施行されました。
この法律の目的は以下のとおりです。
- 子供の将来が、生まれ育った環境によって左右されることがないようにする
- 貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境を整備する
- 教育の機会均等を図る
- 子供の貧困対策を総合的に推進する
ちなみに同法は令和元年6月に改正されており、令和元年11月29日には新たな「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されています。
まとめ
貧困状態にある子供たち、そしてその保護者には、伴走者が必要です。
草の根の支援をしている団体はまさに伴走者であり、その団体に資金援助をする子供の未来応援基金はとても重要な存在といえます。
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