憲法記念日は、5月3日に定められた日本の祝日の1つです。
日本国憲法が施行されたことを記念して、1948年に祝日法によって祝日と定められました。
今回の記事では、以下の内容について分かりやすく解説します。
- 憲法記念日の概要
- 憲法記念日の起源
- 建国記念の日との違い
- 世界の憲法記念日
本記事がお役に立てば幸いです。
憲法9条に関して詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
1、憲法記念日とは
日本の憲法記念日は、5月3日です。
「日本国憲法の施行を記念し、日本の成長を期する」ことを趣旨として、1948年「国民の祝日に関する法律」で制定された祝日です。
5月1~7日までの1週間は「憲法週間」として、全国各地でさまざまな団体が憲法の精神や理解を国民に広げる取り組みをしています。
例えば、法務省・検察庁・弁護士会などが協力して、以下の取り組みが行われています。
- 法定見学会
- 無料法律相談会
- 講演会
- 憲法をテーマとした映画の放送
憲法週間中に開催されるイベントや講演会などについての詳細は、裁判所や各地の弁護士会、市役所などのWebサイトにて、ご覧いただけます。
2、憲法記念日の起源
戦前の大日本帝国憲法から、1946年に新しく作られた憲法が日本国憲法です。
11月3日に公布され、翌年5月3日に施行されました。
つまり、日本の憲法記念日は、日本国憲法が「施行された日」に設定されているのです。
一方世界的には、憲法の公布日を記念日として祝うよう定めている国が多くあります。
なぜ、日本では「施行日」が憲法の記念日なのでしょうか。
以下でその内容を確認していきましょう。
(1)日本を占領した連合国軍総司令部(GHQ)の意向
施行日が選ばれた理由には、当時日本を占領していたGHQの意向が大きく関係しています。
1945年8月、第二次世界大戦が終結しました。
日本国憲法は、GHQの占領下で1946年11月3日に公布されました。
帝国議会は11月3日を憲法の記念日にするという提案をしましたが、GHQはこれに反対しました。
GHQは記念日について、日本国憲法の効力が発動する「5月3日」にするよう求め、国会での議論の結果、現在の憲法記念日となりました。
(2)11月3日が最初の候補日だった
上記の通り、先に記念日として提案されたのは、5月3日ではなく11月3日でした。
また現在の「文化の日」となる以前、11月3日は「明治節」という名の祝日でした。
もともとは明治天皇の誕生日で、明治天皇が崩御された後、国民の請願によって、1927年に「明治節」という名前で祝日化されました。
多くの国民が「明治天皇の功績を後世に伝えるべきだ」と主張したといわれています。
当時の帝国議会は、国民が大切にしていた「明治節」という日付を憲法記念日として残しておきたかったのかもしれません。
3、「建国記念の日」との違い
日本では、「国民の祝日に関する法律」で元旦(1月1日)から、勤労感謝の日(11月23日)まで合計16個の祝日が定められています。
その中で似たような名前を持つ祝日が、「憲法記念日」と「建国記念の日」です。
(1)建国記念の日とは
建国記念の日は、「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨とし、2月11日に定められた祝日です。
2月11日という日付は、日本初代天皇である神武天皇が即位した「旧暦」紀元前660年1月1日にあたります。
明治時代から「紀元節」という名で、日本の誕生を祝う日とされています。
しかし1948年、皇室や神道に関する祝日を嫌ったGHQの指示によって「明治節」と同じように「紀元節」も廃止されます。
その後1966年に、紀元節を復活させようという声が活発化し、「国民の祝日に関する法律」によって、「建国記念の日」と名を変えて制定されました。
戦後20年以上の歳月をかけて、国民の祝日として再度定められたのです。
つまり、「憲法記念日」は憲法が施行されたことを、「建国記念の日」は初代天皇が即位したことを祝う日です。
(2)「の」が入る理由
「建国記念日」ではなく、「建国記念の日」であるのは、日本語の性質が影響しています。
日本語では、「記念日」は歴史的事実として日付が明確である日とされています。
一方、初代天皇が即位した日付は歴史的にはっきりしていません。そこで、史実に基づく「建国記念日」という言い方ではなく、「建国記念の日」として、紀元節と同じ日付に設定したのです。
参考:鳥飼八幡宮
4、世界の憲法記念日
世界各国にも、「憲法記念日」は設けられています。
日本では、特に行事などはあまりありませんが、世界では大々的に憲法記念日を祝う国もあります。
ここでは一例として、以下の国の憲法記念日について見ていきましょう。
- ポーランド
- インド
- ノルウェー
(1)ポーランドの憲法記念日
ポーランドの憲法記念日は、日本と同じく5月3日です。
5月1日(メーデー)や国旗の日などと祝日が重なることもあります。
街中に連日国旗が掲げられ、重騎兵「フサリア隊」による豪華なパレードが開催されます。
各地でコンサートや祝日のミサなどが行われ、祝賀ムードに包まれることが恒例です。
(2)インドの憲法記念日
インドの共和国記念日は1月26日です。
1950年1月26日にインド共和国憲法が公布され、共和国となったことをお祝いする日として、各地で祭典が開催されます。
首都ニューデリーでは、音楽隊やラクダの行進、華やかな山車やバイクパフォーマンスなどド派手な軍事・文化パレードが開催されます。
式典への招待は、国外の首脳に贈られる最高の栄誉とされており、2014年に初めて安倍元首相が招かれました。
(3)ノルウェーの憲法記念日
ノルウェーの憲法記念日は5月17日です。
国中がお祭りムードになり、至るところに国旗が掲げられます。
民族衣装を着てパレードを楽しんだり、朝からシャンパンを飲んでホームパーティーを開いたりと、子供から大人まで国民総出でお祝いをします。
首都オスロでは王室が挨拶をしたり、一日中各地の盛り上がりを放送したりと、1年を通して最も盛り上がる日といわれています。
憲法記念日に関するFAQ
Q1.憲法記念日とは?
憲法記念日は、5月3日に定められた日本の祝日の1つです。
日本国憲法が施行されたことを記念して、1948年に祝日法によって祝日と定められました。
Q2.日本に祝日は何日間ある?
日本では、「国民の祝日に関する法律」で元旦(1月1日)から、勤労感謝の日(11月23日)まで合計16個の祝日が定められています。
Q3.建国記念の日とは?
建国記念の日は、「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨とし、2月11日に定められた祝日です。
2月11日という日付は、日本初代天皇である神武天皇が即位した「旧暦」紀元前660年1月1日にあたります。
まとめ
今回は、憲法記念日についてご紹介しました。
普段はGW内にある祝日の1つとして何気なく過ごしてしまいがちですが、憲法記念日をきっかけに、「日本国憲法」の成り立ちや条文などにあらためて触れてみてはいかがでしょうか。