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立憲主義ってなに?憲法改正との関係を簡単解説

投稿日2020.6.2
最終更新日2020.06.18

立憲主義とは、「個人の自由・権利を守るために、憲法によって国家権力を制限し、法に基づいた政治を行おう」とする考え方です。

憲法第9条改正の議論によってニュースなどで取り上げられていますが、その意味をあまり詳しくは知らない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、

  • 立憲主義とは何か
  • 立憲主義の利点と問題点
  • 立憲主義が関係する憲法第9条改正に関する論点

についてわかりやすく簡単に、偏りのないようご紹介致します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、立憲主義とは

法
立憲主義とは、「個人の自由・権利を守るために憲法によって国家権力を制限し、法に基づいた政治を行おう」とする考え方です。

立憲主義は現行の日本国憲法の根底にある概念とされています。
人は生まれながらに尊重されるべきもの(基本的人権)であり、それを実現するためには人の権利を侵害しやすい、強大な国家権力を制限するべきという考え方から立憲主義は今日まで重視されているのです。

よりわかりやすく表現すると憲法によって内閣などが権力を振るう範囲を制限できる、ということです。
立憲主義
これに対して、君主など特定の個人の裁量によって統治がおこなわれる形態を「人治主義」と呼びます。
「人治主義」は統治者の行動を制限する枠組みが存在しないため、権力の暴走を防ぐことができないという問題があります。
こうした問題を防ぐために、立憲主義が提唱されたのです。

国家権力の無制限な行使を防ぐため、法によって権力を制限することを「法の支配」と呼びます。
立憲主義はこの「法の支配」のひとつの形態になります。

日本国憲法が制定される以前の日本は軍部や政府が大きな力を持ち、国民の人権を侵害している状態にありました。
また第二次世界大戦では多くの犠牲者を出し、その反省を活かして策定された日本国憲法だからこそ立憲主義が採用され、大切な概念として考えられています。

ちなみにこの日本国憲法の制定に大きく関与した者としてGHQやその司令官であるマッカーサーが挙げられます。

2、立憲主義の利点

では、具体的に立憲主義はどのような点で優れているのでしょうか。
先ほどの人治主義の例のように、統治者の行動を制限する枠組みが存在しないと、権力の暴走を防ぐことができません。

その例のひとつがヒトラーです。
ヒトラー率いるナチス(党の名前)は1932年に議会選挙でトップをとり、ヒトラーを首相とする政権が発足しました。

その二ヶ月後に全権委任法を制定します。
これは、議会の承認なしに政府が立法権を行使できる法律です。

つまり、首相が自由に法律を制定できるようになったのです。
これによりヒトラーは地方自治権を停止させたり、ナチス以外の政党の存続と結成を禁止したりして独裁体制を作っていきました。

独裁体制を作ったナチスは、ユダヤ人の迫害を行ったり第二次世界大戦を引き起こしたりして、今日では多くの人々から非難されています。

このように、政府を縛るものがなくなってしまうと、個人の自由や権利が失われてしまう危険性があるのです。
それを防いでくれるのが立憲主義の考え方なのです。

3、立憲主義の問題点

法
以上を踏まえると、立憲主義は絶対必要なもののように思われますが、問題点もあります。
それは、立憲主義と民主主義は時に対立しうるということです。

民主主義とは簡単に説明すると、国民が主権(国家を治める権力)を持ち自分達のために政治を行うことです。
日本では、国民の代表を選挙で選び、その代表達によって政治が運営される「間接民主制」が取られており、国会議員が国民の代表にあたります。

民主主義に関しては以下の関連記事で詳しく解説しています。

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立憲主義は、国家権力を持っている政府などの行動を憲法によって制限するものでした。
一方で、国会議員達は民主主義によって選ばれた国民の代表であり、国家権力を制限するということは国民の多くの人の要望が制限される可能性があるということになるのです。

立憲主義

4、憲法改正との関係

日本の場合憲法が制定されたのは70年も前のことです。
世界の成文憲法を保有する188カ国で古い方から14番目で、改正されていない成文憲法のなかでは「世界最古の法典」となっています。

他の国では、インド99回、ドイツ59回、フランス24回など多くの国で時代に合わせた憲法の改正が行われています。
憲法制定当時と現在では、社会の状態は大きく異なっています。

時代に即さない憲法によって国民の望みが制限されることは、必ずしも国民の権利や自由を守っているとは言えない状態であるのです。

憲法改正の議論では、立憲主義と民主主義のどちらが優先されるか?ということが大きな論点になっています。

立憲主義を尊重する側の主張としては、
「憲法には社会や民族や文化の違いを越えて通用する原理が記載されており、容易に変更していいものではない」
「特に政府が主導で変えようとすることは、憲法が国家権力を制限するものだとする立憲主義の考えに大きく反している」
というものがあります。

実際に現政権(2020年4月時点)の安倍内閣が集団的自衛権の行使を事実上容認したことなどには、立憲主義に違反していると批判が寄せられました。

集団的自衛権とは、自国と同盟関係にある国が第3国によって安全を脅かされた際に第3国に対し、同盟国と連携して自衛権を行使することができる権利をさします。

集団的自衛権についてより詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧下さい。

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一方、民主主義を尊重する側の主張では、
「選挙で憲法改正を掲げたが国民に支持されている(2020年6月時点、政権を握る安倍内閣は憲法改正に強い意欲を見せている)」
「民主主義によって憲法を改正することは国民の権利を守るために許容されるべきである」というものがあります。

安倍内閣の方針として自衛権を制御している憲法9条を改正し、緊張の高まる周辺諸国(韓国、北朝鮮、中国)に対しアメリカなどと連携して国の守りを確実なものにするという考えがあるのです。

現政権がどのような憲法改正を行おうとしているのか?についてより詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧下さい。

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どちらか一方のみが正しいということはなく、国民の自由・権利が守られるよう両者のバランスをうまくとることが必要となるでしょう。

まとめ

立憲主義とは、「個人の自由・権利を守るために憲法によって国家権力を制限し、法に基づいた政治を行おう」とする考え方です。

国家の暴走を防ぎ個人の自由・権利を守ることができる一方、国民の多くが望んでいる事柄でも制限される恐れがあるという問題もあります。

憲法改正の議論でも、どちらか一方が正しいということはありません。
国民の自由・権利が守られるよう両者のバランスをうまくとることが必要になります。