政治ドットコム未分類株式会社から「トークン式会社」の時代へ!Web3.0のルールメイキングをリードするSkyland Venturesの挑戦

株式会社から「トークン式会社」の時代へ!Web3.0のルールメイキングをリードするSkyland Venturesの挑戦

投稿日2022.11.16
最終更新日2022.11.16
この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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新たなインターネット時代の代名詞ともいえる「Web3.0」。

しかし、日本における浸透はまだまだこれから。そもそもWeb3.0とはどのようなものなのか、日本で浸透するまでにはどのようなプロセスをたどっていくことになるのか。数多くの論点があり、未開拓の領域も多く残っています。

今回は、Web3.0分野でベンチャーキャピタル(VC)という立場からPoliPoli Enterpriseを利用しているSkyland VenturesのCEO・木下 慶彦様と弁護士で、Skyland  Ventures Legal Partnerでもある中村 公哉様に、Web3.0の日本における重要性から具体的な取り組みについてお伺いしました。

木下 慶彦 様 CEO&General Partner

1985年生まれ横浜市出身。早稲田大学理工学部卒業。
2022年よりWeb3.0に特化した総額50億円のVCファンドを組成し、マルチリンガルなメンバーで投資活動を行っている。また、TwitterやYoutube、Podcastなど各種SNSに注力し、日本のWeb3.0スタートアップ動向を中心に発信している。
Skyland Venturesをスタートする以前は大和企業投資・インキュベイトファンドに所属し、VCとしての経験を積む。

 

中村 公哉 様 Skyland Ventures Legal Partner

2018年大阪大学卒業。2020年弁護士登録。
法律事務所にてスタートアップのビジネススキームの適法性や資金調達のサポートに関わり、2022年3月よりSkyland Venturesに参画。新規投資等ベンチャーキャピタリスト業務に加え、自社および投資先のリーガルサポートを行うなどコーポレート部門にも関与している。

1、Skyland VenturesがWeb3.0に力を入れる理由

(1)Skyland Venturesとは?

―まずは、Skyland Venturesの基本的な情報とお2人のご経歴をお聞かせください。

木下様:

Skyland Venturesは“The Seed Maker. & Unlearning.”をミッションに掲げるベンチャーキャピタルファンド(VC)です。

テクノロジー産業に大きなインパクトを与えるスタートアップへ、シードマネーを提供するエクイティ投資・トークン投資を行っています。

私はCEO & General Partnerとして、2012年から今まで10年ほどで、年150社ほどのシードステージ(※1)のスタートアップに投資してきました。

これまで弊社で投資してきたスタートアップのなかでIPOしたのは3社。M&Aなどエグジットしたのは十数社ほどです。

中村さんは元々法律事務所で弁護士としてスタートアップの法務サポートや資金調達サポートをされていました。

私が中村さんと出会ったのは彼が法律事務所から独立して、その後のキャリアを考えていたころ。彼のスピード感ある仕事ぶりに感銘を受け、キャピタリストとしてジョインしてもらいました。

中村様:

私自身、元々事業サイドで働きたいと考えていました。木下さんとの縁もあり、2022年3月からキャピタリストとして働くことになりました。

(※1)スタートアップにおける成長ステージを区分したうちの「会社設立前後」の段階のこと。

―木下さんと中村さんは、Skyland Venturesでそれぞれどのような役割分担をしていますか。

中村様:

私は、事業における「リーガルマター」において法律家の立場から業務に携わっています。木下さんが大まかな方針を決め、旗を立て、私が実務的な細かい部分を整えていく形です。

木下様:

私たちはファンドを集めて投資をしており、必要なファンドレイズ(※2)については私と中村さんで一緒に回っていくことが多いですね。

現場で投資の意思決定がされた時、契約の実務的な手続きについてはプロの中村さんに見てもらうことが多いです。

(※2)新たなファンドを設立するために、投資家に出資の依頼を行うこと。

(2)Skyland VenturesがWeb3.0に力を入れる理由

―そんなSkyland VenturesがWeb3.0に力を入れる理由を教えてください。

木下様:

やはりWeb3.0が今後より一層、テクノロジー産業に大きなインパクトを与えると考えるからです。であるからこそ、Web3.0の領域で日本企業が重要な役割を担っていかなければなりません。Web3.0の領域で日本企業が強いモメンタムを作れるよう、Skyland Venturesとして力を入れています。

2、Web3.0について日本は事業者視点で後進的

(1)Web3.0とは?

―次に、Web3.0について詳しく伺いたいと思います。そもそもWeb3.0の定義はどのようなものなのでしょうか。

木下様:

Web3.0の特徴は「Read Wrtite Own」にあります。
Web3.0の定義を考える上でインターネットの歴史を振り返ってみましょう。

Web1.0の時代はWebメディアの時代です。ユーザーは、Yahooのようなサイト上でニュースを閲覧するなどのコンテンツ消費ができるようになりました。

Web2.0では、ユーザーによるコンテンツ投稿が可能なサービス(Read &Wrtite)が登場した時代です。例えば、日本では「mixi」や「GREE」、世界的には「Facebook」や「Twitter」などのSNSが代表的なサービスです。

Web3.0の時代、それまでの「Read」と「Wrtite」に加えてオーナーシップを持てる「Own」の概念が追加されました。

Webサービス黎明期にはサービス開発に貢献した利用者には特段インセンティブはありませんでした。例えば、サービス開始初期にメルカリを利用したユーザーにとって、メルカリが成長し上場したことによる恩恵は特にありませんでした。

一方で、Web3.0の世界では、ユーザーに、サービス利用のインセンティブとしてトークン(※4)を配る仕組みになっています。

イーサリアムやビットコインなどでブロックチェーンがブラウズされ、デジタル・アセット(※5)を所有権を証明し合うことができるようになったことは代表的な事例です。

(※4)ビットコインやイーサリアムなどのあらゆる暗号資産のこと。

(※5)バイナリソースへと変換した使用権のあるメディアのすべてのアイテムのこと。

―Web3.0に力を入れるタイミングについて議論されることもあるかと思いますが、Skyland Venturesとしてはどうお考えでしょうか。

木下様:

まさに今からWeb3.0領域へ集中的に投資する必要があると考えています。Web3.0 が世界的に浸透するにはとても長い時間がかかることは歴史が証明しています。

世界的なサービスとなったYouTubeもサービス開始は2005年。ここまで広まるのに17年もの月日がかかっているんですね。

VCとして投資するタイミングに遅すぎることはありません。Web3.0への投資は今から始めるべきです。

―Web3.0が世界的に浸透するのには相当時間がかかる見込みとのことですが、一方で日本はWeb3.0に関して先進的といえるのでしょうか。

中村様:

先進的とは言えないと考えています。

Web3.0の発展・浸透には高度なテクノロジーが社会の中に受け入れられることが欠かせません。しかし、海外と比べ、日本はテクノロジーが評価されづらい風土があると思います。

先日、海外に行っていた方から興味深いお話を伺いました。その方によると、教育現場の中でテクノロジーのとらえ方には大きな違いがあるそうです。海外ではまず技術重視。大学教育でも技術を用いて商品・サービスを作るよう指導されるとのこと。

事実、ビットコインやイーサリアムもブロックチェーン技術から生まれました。ブロックチェーン技術が評価されたからこそ、そこにサービスが生まれ、お金が流れ込み、新たな産業になりました。

一方海外と比べ、日本では技術を重視することが少ないように感じます。

新たな技術そのものを評価する機会が少なく、サービスが生まれづらい。結果的に新たな業界自体が発展せず、世界に遅れを取る傾向にあると言えるのではないでしょうか。

(2)日本のWeb3.0の発展に必要なのが「ルールメイキング」

―日本のWeb3.0の発展のために何が必要だとお考えですか?

木下様:

様々あると思いますが、1つ大きな要素は「ルールメイキング(※6)」だと考えています。

日本は消費者保護の観点から法規制が強く、新たな技術や産業が育ちにくい環境です。適切なルールメイキングを進めることで、新しいものをどんどん認め、受け入れる社会体制を整備する必要があります。

「ルールメイキング」への取り組み方にも課題があります。

新たな技術に基づく産業に関するルールメイキングを行おうとするとき、海外では技術者も中に入って考えるようです。

一方、日本では法律のプロフェッショナルのみが集まり、新たな法体系や提言を検討する場面がよく見られます。

技術面を考慮した検討がなされず、後々のリスクをはらんだルールメイキングになるケースが多いと考えています。

以上のような理由から、既存のルールは現場視点ではなく事業者視点で作られている傾向にあります。新たな技術を認め、技術を取り扱う現場の視点も入れながらルールメイクされる社会になってほしいですね。

(※6)企業の事業展開や事業拡大において、障壁となる社会ルールの変更や必要なルールの構築を政策立案・政策推進すること。

3、PoliPoliがルールメイキングの道しるべを作ってくれた

―PoliPoliとパートナーシップを結んだ経緯についてお聞かせください。

木下様:

ルールメイキングに興味を持ったきっかけは、2021年に実現した「特定商取引に関する法律」の解釈変更を、PoliPoliさんが主導して実現した時です。

その後、2022年春に、PoliPoli代表・伊藤さんにどういう取り組みを行っているのか詳しく話を聞かせてもらいました。

私たちが、Web3.0を進めるにあたって投資先のルールメイキングのサポートなどをPoliPoliさんにお願いできないか相談したところ、すぐに「やります」と言ってもらいました。PoliPoliさんとパートナーシップはその時からですね。

―Web3.0に関心を持っているからこそルールメイキングに興味を持つようになったということでしょうか。

木下様:

そうですね。

もともと私は、新しいサービスが社会現象化した時、社会の中でどのように取り扱われるか関心を持っていました。これは10年間、スタートアップ投資を行ってきた経験が影響していると思います。

本当に伸びる会社はよくも悪くも社会現象化します。代表例が2017年のコインチェック事件です。この事件は社会に相当なインパクトをもたらしたと思います。この時、成長するサービスや会社が、社会の中にうまく包摂され、スムーズにビジネスできる環境を整備することの重要性を感じました。

また、政府の方針や行政からの支援をうまく利用できる企業は、コスト減による事業成長可能性が上がるとも考えており、その意味でルールメイキングには関心を持っています。

例えば、現在の岸田政権ではリスキリング(※7)支援に今後5年間で1兆円投じるとの考えを示しています(岸田首相 リスキリング支援具体策 総合経済対策に – NHK政治マガジン)。

この支援策の中には、企業がキャリアップ助成金などを利用し、アイデミーが提供するプログラミング教育ツールやデジタル研修のサービスをリスキリングの一環で利用すると、アイデミーのサービス利用料が補填される仕組みがあります。

政府方針をキャッチアップし、事業とのシナジーを生むことにルールメイキングに関わる意義があることがわかります。

世界的に見ると、大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツはルールメイキングに関心を持つVCの代表格です。

日本国内でも少しずつルールメイキングに関心を持つVCは増えてきていますね。その流れもあり、Skyland Venturesとしてもルールメイキングに取り組むことになりました。

(※7)技術革新やビジネスモデルの変化に対応するため、業務上で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶこと。

―Skyland VenturesとPoliPoliがPoliPoli Enterpriseでパートナーシップを結び、投資先にさまざまなサポートをさせていただいておりますが、PoliPoliとしても非常にやりがいを感じています。

中村様:

ありがとうございます。私たちがPoliPoliさんに一番感謝したいのは、ルールメイキングを進める道しるべを作ってくれたところですね。

まだまだルールメイキングをしたいと考えている企業は少数派だと思いますが、それでもPoliPoliさんと話す意味はあると思います。

ルールメイキングをすぐに始めなくとも、政治行政とのコミュニケーションできる窓口を持っておくことで、さまざまな道が広がります。

4、ルールメイキングを通じてスタートアップをリードしていきたい

―Skyland Venturesでは、ルールメイキングの取り組みとしてPoliPoliとともに平将明議員とディスカッションを行いましたが、平議員から「河野太郎デジタル大臣との議論の場所を作る」という旨の発言をしていただいたことはWeb3.0のルールメイキングにおける明確な成果だと感じました(平将明議員と考える!日本とWeb3.0のこれから)。

木下様:

そうですね。先ほども申し上げたように、発展するビジネスはよくも悪くも社会現象化するものです。

そのため、ルールメイキングを通じて、自らのビジネス領域を進める上での課題をクリアする。国としても排することが必要な障壁については排し、補助金を出すなどサポートする体制ができるといいですね。

私はベンチャー投資を通じて、社会インフラのような存在になるサービスや会社を輩出したいと考えています。そのためにもルールメイキングを行うことへの期待感はとても大きいです。

その意味で、ここ数年でSkyland VenturesとしてPoliPoliさんのおかげで、官僚や議員の方とコミュニケーションができるようになった意義は大きいと考えています。

平議員とWeb3.0についてディスカッションした際にも「こんなに情熱的な人がいたんだ」と感銘を受けました。これからも政治や行政とポジティブな接点をより作っていきたいですね。

―シリーズB(※8)以降のスタートアップは、社会的責任としてルールメイキングに関わるべきだと思っています。Skyland Venturesも今後さらに大きくなっていくと思うので、スタートアップ全体もリードしてもらえると私たちも非常に嬉しいです。
そこでスタートアップがルールメイキングに関わることにおいて期待する点はありますか。

(※8)スタートアップにおいてシリーズAに続く投資ラウンド。商品やサービスが確立し、顧客も増加することで売上なども伸びてきている状態が一般的。

木下様:

窓口の一本化が重要だと感じています。

PoliPoli さんのサービスを利用することで、議員さんにすぐにアプローチすることができます。これからは自分の事業と関わる担当省庁へすぐに問い合わせ、対応してもらえる流れが当たり前になるとよいと思っています。

―最後に、ルールメイキングを通してどういう社会を実現したいですか。

木下様:

Web3.0が浸透することで、「株式会社」から「トークン式会社」へ移行する可能性があり、スピード感あるビジネスが展開される社会にしていきたいです。この点は平議員からも言及がありましたね。

現在日本では株式会社を作るのに2〜3週間、銀行口座まで作るとなると1ヶ月ほどの時間がかかります。このタイムスパンをできるだけ短くしたい。デジタル技術を活用することで会社設立までの1ヶ月は大幅に短くできると思います。

また「トークン式会社」の時代への移行が謳われる背景には、テクノロジーの進歩により資金調達のあり方も変貌していることがあります。例えば、5人の資本家からMetaMask(メタマスク)(※9)で200万円ずつ集め、1000万円の資金調達がたった1日でできるような時代です。

ただ、この分野のルールは世界的にも定まっていません。今後、DAO時代と呼ぶべきか、トークン式会社時代のシード資金調達の中心的プレイヤーとして、自分たちが時代にフィットしたプレイヤーになることを目指します。

(※9)イーサリアムブロックチェーンに対応した本人確認がない仮想通貨ウォレットのこと。

中村様:

Web3.0はまだまだ未開拓の領域が多く残っています。私たちから積極的にルールメイキングに働きかけることで、次の時代のスタンダードを作りたいと思っています。