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FOMCとは?2023年日程・日本市場への影響・円安の理由を解説

投稿日2023.4.2
最終更新日2023.04.27

アメリカの機関である『FOMC(米国連邦公開市場委員会)』とは、何をする機関なのでしょうか?

また、日本人の私たちがアメリカの機関になぜ注目するのでしょうか?

本記事では、以下について解説します。

  • FOMCとは?
  • FOMCによる日本市場への影響
  • 日本はなぜ円安の状態なのか?

1、FOMCとは?

FOMCとは、Federal Open Market Committeeの略称で、和訳は米国連邦公開市場委員会です。

アメリカの中央銀行制度「連邦準備制度(FRS)」の機関の1つであり、金融政策の方向性を決定しています。

FOMCは年に8回、アメリカの金融政策の方針を決める会合を開催し、「物価の安定」や「持続可能な経済成長」等の長期的な目標に対するリスクを評価します。そして、経済や金融の状況を見直し、金利を決定します。

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(1)FOMCが注目される理由

FOMCが注目される理由は、アメリカの金利が世界経済に大きな影響を与えるからです。

世界の外国為替取引の40%以上を占めているドルは、国際取引の中心的な役割を果たしています。

日本でも2022年後期の輸出の51.9%、輸入の72.6%はドル建てで行われています。

(出典 財務省

FOMCの結果、株価や為替が反応し、思わぬ変動を生むことは株価変動を見ても明らかです。

(2)FOMCの日程2023年

2023年のFOMCの開催予定日程は以下の通りです。

FOMCは年に8回、各2日間開催され、2日目に政策金利が発表されます。

開催予定月 開催予定日
1月・2月 31日から1日
3月 21日から22日
5月 2日から3日
6月 13日から14日
7月 25日から26日
9月 19日から20日
10月・11月 31日から1日
12月 12日から13日

 

(3)FOMCの政策金利発表時間

FOMCの政策金利発表時間は以下の通りです。

アメリカ(東部)時間 日本時間
【3月第2日曜日〜】13時 ※サマータイム 午前3時
【11月第1日曜日〜】13時 午前4時

 

(4)FOMCのメンバー

FOMCのメンバーは12名で、そのうちの7名はFRBの理事、残り5名はアメリカに12地区ある連邦銀行の総裁となっています。

2、FOMCによる日本市場への影響

金利が上がると、通貨の価値が上がるため人はモノと通貨を交換しません。

反対に、金利が下がると通貨の価値は下がるためモノと通貨を交換します。

そのため金利の上げ下げは、主に以下の3つに強く影響を及ぼします。

  • 株価
  • 為替
  • 景気

上記3つの指標は経済に対して、影響力が特に大きいです。

(1)株価への影響

基本的に、金利と株価は以下の関係になっています。

金利 株価
上がる 下がる
下がる 上がる

理由として、基本的に事業拡大のために企業は銀行等から借金をしています。

金利が上がると、同じように上がるのが借金の利息です。

そうなると、資金調達が難しくなります。

企業は資金調達に対して消極的になり、業績向上が見込めないと判断され株価は下落するのです。

(2)為替への影響

為替とは、異なる外国通貨が売買される際の交換比率のことです。

アメリカが利上げを発表すると、ドルと比べたときに円の価値が下がる傾向が予想されます。

人は当然金利が高い通貨で預金・資産運用をしたいと考えます。

その結果、金利が高いドルの需要が高まり円安になるのです。

つまり、各国の金利が上がり下がりすると為替に影響し、円安になったり円高になったりします。

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(3)景気への影響

為替の影響から、アメリカの金利が上昇すると日本は円安になります。

アメリカの金利 上昇 下落
ドル ドル高 ドル安
日本円 円安 円高

円安になると、自動車メーカーなどの輸出企業は儲かり海外からモノを輸入する企業はコストが一段と増えます。

一般的に考えられるのが、日本は、海外に輸出する自動車産業が経済的に大きな割合を占めているので輸出が増えて企業の業績が上がれば景気がよくなるということです。

3、日本はなぜ円安の状態なのか?

日本が円安の状態にある理由は以下の2つです。

  • 日本以外の世界各国が利上げしている
  • 日銀が利上げをしない判断を下している

(1)理由①|日本以外の世界各国が利上げしている

世界中は、コロナウイルス波及の影響で高インフレに陥っています。

アメリカでは、2023年1月の消費者物価指数が前年同月比6.5%上昇しました。

アメリカだけでなく、その他国々でも物価指数が上昇していて各国の中央銀行は金利を引き上げることで物価上昇を抑制しようとしているのです。

(参照 NHK

そのため、相対的に円の価値が下がっています。

(2)理由②|日銀が利上げをしない判断を下している

前提として、日本の物価上昇は、金利の引き上げによって抑制できるものではありません

日本の物価上昇は、輸入製品である石油・電気ガスといったエネルギー価格の上昇が原因です。

日銀が金利を引き上げたところで、輸入製品の価格上昇に対してのアプローチができません。

そこで、日銀は以下のように解答しています。

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。

マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。

当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。

(参照 日本銀行HP

要約すると、グローバルスタンダードである消費者物価指数2%の実現を目指すために金利の現状維持をしていき、必要であれば利下げすることも考えているといった内容です。

消費者物価指数とは
全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。

(参照 総務省

4、まとめ

今回は、FOMCについて解説しました。

アメリカの金利変動は、日本にも影響を及ぼします。

特に『株価』『為替』『景気』の際の影響を理解しておくことが大事です。

アメリカの金利が上がると以下のようになります。

株価 企業が資本調達に対して消極的になり、株価は下がる。
為替 ドルと比べて円の価値が下がり、円安になる。
景気 一般的に、円安になると日本経済の大部分を占める輸出企業の業績が上がり景気は良くなる。一方、海外から商品を輸入する企業はコストが増える。

 

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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