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利上げとは?市場に与える影響や日本での利上げの可能性について解説

投稿日2022.12.1
最終更新日2022.12.01
この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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利上げとはどのようなものなのでしょうか。
2022年、米国では大幅な利上げが実施されました。利上げは市場へさまざまな影響を与えます。

今回は、以下の4点について解説いたします。

  • 利上げの概要や目的、事例
  • 利上げが市場に与える影響
  • 利上げのメリット・デメリット
  • 今後の日本と利上げの関係

この記事が、利上げについて知りたいと考えている方の参考になれば幸いです。

1、利上げとは?

まずは、利上げの概要と目的、事例についてみていきましょう。

(1)利上げの概要

利上げとは、各国の中央銀行が政策金利(※)の引き上げを行うことです。日本においては、利上げを行うのは日本銀行(日銀)となります。

(※1)各国の中央銀行が景気や物価を安定させ金融政策上の目的を達成させるために設定する短期金利(誘導目標金利)のこと。金融機関の預金金利や貸出金利に影響を与える。

(2)利上げの目的

利上げは、景気上昇によって過熱した市場の抑制を目的として行われます。

度を超えた利上げを行うと、景気が低迷してしまう恐れもあります。
一方で、利上げをせずに市場が過熱し続けると、インフレが懸念され景気動向が不安定となるのです。

以上のように、利上げは経済に大きな影響を与えるので、各国の中央銀行は国内だけでなく世界の経済状況もみながら利上げを検討する必要があります。

(※2)物価などが上がり続ける状態のことで、言い換えるとお金の価値が下がることになる。

(3)利上げの事例

直近で行われた大きな利上げとして、2022年6月に米国で0.75%の利上げが行われました。
急激な資金調達コストを避けるためには、段階的に利上げをするのが一般的ですが、このような利上げ幅は1994年11月以来、27年7ヶ月ぶりと非常に異例です。

米国がこのような大幅な利上げをする必要があった背景には、米国における2022年の急激なインフレがあります。
実際、2022年9月の米国の消費者物価指数は前年同月と比較して8.2%上昇しています(米 9月消費者物価指数 8.2%↑ 記録的水準のインフレ続く-NHK)。

なお、同年10月の米国の消費者物価指数上昇率は、前年同月と比較して8ヶ月ぶりに8%を下回っており、インフレが和らぐのではとの期待感が高まっているようです。

米国のFRB(連邦準備制度理事会)では、2022年12月に金融政策を決める会合が開かれるので、今後利上げのペースを減速させるかどうかが注目されるでしょう(米 10月の消費者物価指数 7.7%上昇 8か月ぶりに8%を下回る – NHK)。

2、利上げが市場に与える影響

ここからは利上げが市場へ与える4つの大きな影響についてご紹介します。

  • 金利が上昇する
  • インフレが抑制される
  • 株価の下落・停滞
  • 為替変動の可能性

(1)金利が上昇する

利上げが市場に与える影響として最も大きいものは、なんといっても企業融資などの金利が上昇することです。

また、住宅ローンの金利についても、政策金利と銀行間競争によって決まるため利上げの影響を強く受けます。

(2)インフレが抑制される

インフレが抑制されることも、利上げによる市場への大きな影響の1つです。

急激なインフレが起こると、市場価格と消費者の収入にギャップが生まれます。
このように急激なインフレが起きている状態で利上げを行うと、資金調達コストが増加することから、インフレが抑制されるのです。

(3)株価の下落・停滞

インフレは、企業の業績拡大に強く影響します。企業が事業拡大や新規事業の開拓をする場合、株価が上昇するケースがあるのです。

事業拡大や新規事業の開拓には金融機関からの融資が必要となりますが、利上げによって借入コストが上がり、事業拡大や新規事業の開拓にブレーキがかかります。

結果として、利上げによって株価の上昇幅が緩やかになり、場合によっては株価の下落や停滞を引き起こす可能性があります。

(4)為替変動の可能性

投資家はできるだけ高い金利で預金や資産運用をしたいと考える傾向にあります。

例えば、日本が低金利で米国が高金利の場合、円よりも米ドルの需要が高まることから、円の価値が下がり米ドルの価値が上がる「円安ドル高」の現象が起こります。

一方で、日本で利上げが行われて日本の金利が米国よりも高くなった場合には、円の需要が高まることから「円高ドル安」になります。

以上のように、利上げによって為替が変動する可能性も高くなります。

3、利上げのメリット・デメリットとは

利上げのメリットとデメリットについて、それぞれみていきましょう。

(1)利上げのメリット

利上げをする最大のメリットは、前章でも説明したようにインフレを抑制できる点です。

また、インフレを抑制できることに付随して、市場価格と消費者の収入のギャップを解消できます。

(2)利上げのデメリット

利上げのデメリットは、前章でも説明したように金利が上がることによって資金調達コストが増えたり、株価や為替が変動したりすることです。
市場全体にマイナスの雰囲気が漂う可能性がある点も利上げのデメリットといえるでしょう。

4、今後の日本と利上げの関係性

ここまで利上げについて解説しましたが、今後日本では利上げの可能性はあるのでしょうか。現在の日本での金融政策と、利上げが行われる可能性についてみていきましょう。

(1)日本では金融緩和が続く

日銀では、2022年9月に開いた金融政策を決める会合で、金融緩和(※3)を継続することを決定しました。(日銀 大規模な金融緩和策維持を決定 金融政策を決める会合で-NHK)。
これは、金融引き締めを急ぐ米国の金融政策とは真逆の動きとなります。

(※3)中央銀行が景気浮揚を促すために実施する金融政策のこと。景気悪化の局面で政策金利を引き下げたり、資金供給量を増やしたりすることで、投資や消費などの経済活動を促す。

(2)日本では利上げの可能性があるのか

2022年になってからは、日本でも急激に物価上昇が起きていますが、日本での利上げの可能性は考えられるのでしょうか。

そもそも、現時点で日銀が利上げをしていない理由は、他国とのインフレ動向が異なるためです。

前述したとおり2022年の米国で消費者物価指数が上昇したように、日本の消費者物価指数も上昇傾向にあります(全国(最新の月次結果の概要) – 総務省統計局)。

しかし、日銀では「日本国内での継続的なインフレは起こらない」と判断しています。
なぜならば日本の賃金上昇が見られないことから景気が後退し、インフレ状態からデフレの傾向に戻るリスクをみているからです。

以上より、日本での利上げの可能性は現時点で低いと考えられますが、今後の動向によって変わる可能性もあります。

まとめ

今回は「利上げ」とはどのようなものなのか、目的や市場へ与える影響、メリットとデメリットなどについて解説しました。
利上げは過熱した市場を抑制するために行われますが、市場に大きな影響を与えるため、実施する際には慎重に検討されることになるでしょう。