「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコム経済MMT(現代貨幣理論)とは?メリット・デメリットを解説

MMT(現代貨幣理論)とは?メリット・デメリットを解説

投稿日2023.4.3
最終更新日2023.04.27

MMT(現代貨幣理論)とは、「自国通貨を発行できる政府は、インフレにならない限り、大量の国債発行をある程度許容する」といった特徴的な考えを持った新たな経済理論のことを指します。

「国債の発行は、国の赤字が増えるから好ましくない」といった内容のニュースを耳にしたことがあるかもしれません。

しかしMMT(現代貨幣理論)では、国債によって自国通貨を増やすことで、国民の生活を豊かにする可能性があると肯定的に考えるのです。

このようなインパクトのある考え方から、MMT(現代貨幣理論)は大きな話題を集めているのです。

そこで今回は

  • MMT(現代貨幣理論)の概要
  • MMT(現代貨幣理論)のメリット
  • MMT(現代貨幣理論)のデメリット

について紹介します。
本記事がお役に立てば幸いです。

経済について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

経済とは?経済状況の測り方・指標・関連省庁について簡単解説

経済とは、人間の生活に必要なお金やモノ、サービスを生産・分配・消費する活動全般を指します。 本記事では 経済とは 経済を把握するには 経済に関係する省庁 経済特区 についてわかりやすく解説します。 本記事がお役に立てば幸いです。 1、経済とは 経済とは、生活に必要なお金・モノ・サービスについての社会的な関係のことです。 一連の活動には、生産・分配...

1、MMT(現代貨幣理論)とは

MMT(現代貨幣理論)
MMT(現代貨幣理論)とは、「自国通貨を発行できる政府は、インフレにならない限り、大量の国債発行をある程度許容する」といった主張を持った経済理論です。

大量の国債発行によって、自国通貨(お金)をたくさん確保し、そのお金を公共事業などに回すことで、より国民の生活を豊かにできると言われています。

このMMT(現代貨幣理論)は、ステファニーケルトンらによって提唱されました。

2、MMT(現代貨幣理論)のメリット

MMT(現代貨幣理論)には以下のようなメリットがあると言われています。

  • インフラ整備の拡大
  • 社会保障の充実
  • 雇用の増加

それぞれについて見ていきましょう。

(1)インフラ整備の拡大

MMT(現代貨幣理論)ではインフレが起きない程度に、国債発行に伴う自国通貨を大量に増やすことで、インフラ整備に必要な財源を簡単に補うことができると言われています。

これにより、なかなか進みづらい土地開発や道路の修繕といったインフラ事業を積極的に推し進めることができると考えられているのです。

インフラ事業を拡大することができれば、Society5.0などのAIやビッグデータを駆使した、より未来的な都市づくりへの取り組みも活発化するかもしれません。

Society5.0について知りたい方は以下の関連記事もあわせてご覧下さい。

Society5.0とは?概要や課題、教育への影響などを簡単に解説

「Society 5.0」とは、政府や経団連が提唱している、日本が目指す新しい未来社会の姿を表す言葉です。 Society 5.0を理解するためには、この言葉の背景となる科学技術基本計画の5期目と、それが目指す具体的なビジョンを把握することが必要です。 本記事では以下の視点から「Society 5.0」を詳しく解説します。 Society 5.0とは何か 目的・事例 ...

(2)社会保障の充実

また、MMT(現代貨幣理論)では消費税などの税収を大幅に増やさずとも、社会保障にかかる費用を比較的容易にまかなうことができると言われています。

国民に大きな負担を掛けずに、昨今課題と言われている年金や児童手当などの社会保障制度について迅速に対応できると考えられているのです。

社会保障が充実すれば、より多くの国民が豊かで安心できる社会を実現できるようになるかもしれません。

(3)雇用の増加

インフラ整備などの公共事業が活発化すれば、雇用の増加も期待できると言われています。
MMT(現代貨幣理論)では、「就業保証プログラム」という制度を推奨しています。

就業保証プログラムとは、誰でも一定の賃金水準で就業ができるように、政府がサポートするという制度です。

こうした取り組みにより、景気が好ましくない状況であっても失業者などを大幅に減らすことができると考えられています。

3、MMT(現代貨幣理論)のデメリット

MMT(現代貨幣理論)

MMT(現代貨幣理論)には以下のようなデメリットがあると言われています。

  • ハイパーインフレの危険性
  • コントロールの難しさ
  • 政治的に利用される可能性

それぞれについて見ていきましょう。

(1)ハイパーインフレの危険性

国債発行に伴う大量の通貨発行により、市場にお金が過剰供給されると、ハイパーインフレに繋がる危険性があると言われています。

ハイパーインフレとは、貨幣価値が急激に低下するほど激しいインフレ状態のことを指します。過去には、2009年にジンバブエでハイパーインフレが発生し、100兆ジンバブエ・ドル紙幣が発行されるほど物価が暴騰した例があります。

もしハイパーインフレが起きれば、ラーメン1杯が100万円になるといった事態も起こるかもしれません。

(2)コントロールの難しさ

MMT(現代貨幣理論)では、政府がインフレを抑制するために、適切な財政支出調整や課税を行うことが必要だとされています。

しかし、大量の貨幣を発行した場合、その量をコントロールすることは非常に難しいことも事実です。

(3)政治的に利用される可能性

MMT(現代貨幣理論)は、政府が自由に貨幣を発行できることから、政治的な利用が懸念されることもあります。

政府の財政支出が無制限にできるため、政治的な意図によって貨幣が発行され、インフレが発生する可能性もあります。

日本の財政に大きく関わる財務省についてもご興味がある方は以下の関連記事もあわせてご覧下さい。

財務省とは?組織の役割・組織図・幹部・業務内容について簡単解説

財務省とは国家予算の編成や税制度の見直しを行う部門です。 2023年10月にはインボイス制度が始まることもあり、ニュースや新聞で財務省という単語を目にすることがあると思います。 しかし、実際に財務省という機関が何をしているのかわからないという方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は以下についてわかりやすく解説します。 財務省とは 現在の財務省トップ 財務...

MMTに関するQ&A

Q1.MMTとは?

MMT(現代貨幣理論)とは、「自国通貨を発行できる政府は、インフレにならない限り、大量の国債発行をある程度許容する」といった主張を持った経済理論です。

Q2.MMTのメリットは?

MMT(現代貨幣理論)には以下のようなメリットがあると言われています。

  • インフラ整備の拡大
  • 社会保障の充実
  • 雇用の増加

Q3.ハイパーインフレとは?

ハイパーインフレとは、物価上昇による貨幣価値の下落を止めることができないほどの激しいインフレ状態を指します。

まとめ

MMT(現代貨幣理論)とは、現代貨幣理論とも呼ばれる新たな経済理論で、従来の主流派経済理論とは大きく異なります。

世界中の経済学者や評論家、政治家の間で話題の経済理論ですが、日本の政府関係者はMMT(現代貨幣理論)に対して慎重な姿勢を取り続けています。

今後の動向が注目されます。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。