政治ドットコム政治用語情報リテラシーとは?求められる理由や取り組みについて簡単解説

情報リテラシーとは?求められる理由や取り組みについて簡単解説

投稿日2021.3.20
最終更新日2021.03.21
この記事の監修者
山口和史
20年にわたって法律、税務、経営等の業界専門誌の編集長を歴任。
2020年から政治ドットコムの理念「政治をもっと身近に。」を実現するため、編集長に就任。
独自の視点と切り口で、政治にまつわる最新情報を発信する。

情報リテラシーとは、いろいろな情報を自分の目的に合うように適切に活用する能力を意味します。

IT化が進み、多くの人が日常的にインターネットを用いてやり取りをするようになった現代社会で、情報を的確に扱うスキルは必須事項といえるかもしれません。

そこで今回は、

  • そもそも情報リテラシーとは何か
  • 情報リテラシーが必要とされる理由
  • 情報リテラシー向上への取り組み

についてわかりやすく解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、情報リテラシーとは

情報リテラシー
「リテラシー」とは、一般的には「読み書き能力」と訳され、適切に理解し、解釈し、活用する能力のことです。

つまり「情報リテラシー」とは、いろいろな情報を自分の目的に合うように適切に活用する能力を意味します。

具体的には

  1.   書籍やテレビ、インターネットなどから必要な情報を探し、
  2.   その情報の正確さを見極め、
  3.   新たな情報として伝達・発信する

ことができる「基礎的な情報活用能力」です。 

インターネットやスマートフォンなどの急速な拡大により、「知識量」よりも「的確に情報を選び取る力」が求められつつあります。

そんな時代だからこそ、情報をうまく活用するための能力「情報リテラシー」が注目されているのです。
また似た概念に、メディアリテラシーやITリテラシー、ネットリテラシーなどがあります。

2、情報リテラシーが必要とされる理由

情報リテラシーが必要とされるようになったのは

  • 真偽不確かな情報の増加
  • 個人による情報発信の容易化

などが背景にあります。
それぞれ見ていきましょう。

(1)真偽不確かな情報の増加

現代の日本では、分からないことがあったらネットで検索すれば簡単に情報がたくさん得られます。

しかし、集めた情報全てが正しいとは限りません。
そしてその情報の真偽を一目で判断することはなかなか難しいのが実情です。 

だからこそ、「真偽が曖昧な情報」については内容に応じて、

  • 専門機関や関連企業等のサイトで確認する
  • 直接、情報元に問い合わせる
  • 信頼できる情報を整理する

などを心がけましょう。
また、メディアによって伝える内容に差が生じることもあるので、メディアごとに内容を比較し、情報を見極めることが大切です。

(2)個人による情報発信の容易化

現代の日本では、FacebookやInstagram、Twitterなど主にSNSで個人が容易に情報を発信できるようになりました。

たしかにSNSは幅広く活用できる便利なツールですが

  • 不確かな情報の拡散
  • 集団による個人への攻撃

なども起きやすいという側面があります。

軽い気持ちでしたSNS投稿が、社会問題に発展してしまったなんてケースも珍しくありません。
また良かれと思って拡散したつもりが、間違ったニュースを伝えてしまい信用を失うケースもあります。

トラブルを避けるためにも、情報を発信する前に「これは本当に拡散していい情報なのか」と考え、扱う内容や画像などには細心の注意を払うことが必要です。

3、日本と海外における情報教育の現状

情報社会に必須ともいえる情報リテラシーですが、日本と海外の取り組みにはどのような違いがあるのでしょうか。

ここからは、日本および海外における情報(メディア)教育の現状について解説していきます。

(1)日本の場合

日本は情報教育におけるICT環境や活用がかなり停滞しているといわれています。

経済協力開発機構(OECD)が2018年度に参加国の生徒にICT活用について調査した「生徒の学習達成度調査(PISA)」において、パソコンなどのデジタル機器を授業で使用する頻度は最下位でした。

情報リテラシー

 画像出典:文部科学省

一方で学校外でのゲームやインターネットを利用する時間は、OECD平均を超えています。

また、同じくOECDが2018年小中学校段階の教員を対象に行った「国際教員指導環境調査(TALIS)」では、中学教員がICT活用する割合は17.9%でした。

この割合は全体で2番目に低く、学校でのICT活用が世界から大きく遅れている現状が明らかになりました。

情報リテラシー画像出典:文部科学省 

世界に比べて情報の取り扱い方についてまだまだ課題は多いものの、2020年以降は小学校や中学校などでプログラミング教育が必修化されます。

1人1台パソコンを使える環境を整備することも検討されており、日本の情報リテラシー教育は今後前進していく可能性が高いです。

参考:TALIS2018報告書ー学び続ける教員と校長ーの要約

参考:令和元年度 文部科学白書

参考:「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について

(2)海外の場合

一方海外では、義務教育からメディアによって拡散される根拠なき情報を見極める方法を教える取り組みが盛んです。 

たとえば、5歳からIT教育が始まるイギリスでは、中等教育でメディアについて専門的に学ぶ教科があります。

また、BBC局が子どもへの正しい情報理解を目指した番組を作成するなど、さまざまな方法で情報についての教育をしているのです。

フィンランドでは、初等・中等教育のカリキュラムにメディアリテラシー教育が導入されました。
メディアのプロや専門家による授業などがあり、情報教育に熱心に取り組んでいます。

また、アメリカでは、情報の分析スキルなどを学ぶ「checkology」というEラーニングプログラムの提供を2016年から開始しています。

ほかにも、授業で実際の記事を使うなど、フェイクニュースに踊らされないためのリテラシー教育が行われてるのです。

4、情報リテラシー向上への取り組み

では、そういった情報リテラシーをどのように向上していけばよいか、

  • 個人レベルでの取り組み
  • 政府の取り組み

という視点で詳しく見ていきましょう。

(1)個人レベルでの取り組み

個人レベルで情報リテラシー向上に役立つ代表的なものとして、以下の3つを紹介します。 

  • 情報検定(J検)
  • ITパスポート試験
  • 情報セキュリティマネジメント試験

それぞれの内容について見ていきましょう。

①情報検定(J検)

情報検定は文部科学省後援の試験で、現代の情報社会に必要とされる情報処理技術が総合的に問われます。

情報検定は

  • 情報システム試験
  • 情報活用試験
  • 情報デザイン試験

の3つに分かれて実施されます。
なかでも、情報リテラシーを学ぶ時に適しているのは「情報活用試験」です。

ITなどを利用する時に必要な「情報利用活用能力」を体系化した試験で、合格すれば情報リテラシーについても一定のレベルを取得していると言えます。 

参考:情報検定J検

② ITパスポート試験

情報処理推進機構(IPA)が行っている国家試験で、通称「iパス」とも呼ばれています。

受験資格はとくにありません。
ITの専門用語や経営全般の知識などITリテラシー技術を利用する全ての方が知っておくべき総合的知識が問われます。

同時に、情報セキュリティや、企業コンプライアンス、法令などビジネスに関わるIT利用についても学べます。

参考:ITパスポート試験(IP)

③情報セキュリティマネジメント試験

この試験も情報処理推進機構(IPA)が行っている国家試験です。
ITの進歩に伴う

  • 脅威への対処法
  • 情報管理
  • 業務フローの見直し

などセキュリティマネジメントに関する実践的なスキルを認定する試験です。
受験資格はとくにありません。

オンラインサービスの安全利用や管理面の対策にクローズアップした内容となっており、②のITパスポート試験からさらにレベルを上げたい人向けの試験となっています。

参考:情報セキュリティマネジメント試験(SG)

(2)政府の取り組み

続いて、情報リテラシー向上を目指した政府の取り組みとして、以下の3つをご紹介します。

  • e-ネットキャラバンの推進
  • 青少年向けの教材や事例集の公開
  • ICT教育を含む新学習指導要領の実施

それぞれの取り組みについてみていきましょう。

①e-ネットキャラバンの推進

スマートフォンの普及に伴うトラブルも増加しているなか、総務省は文部科学省及び情報通信分野などの企業・団体などと協力しながら「e-ネットキャラバン」を全国で実施しています。

e-ネットキャラバンは、子どもをインターネットのトラブルから守ることを目的に、子供および保護者や教職員などを対象とした講座です。

2018年度は全国2529箇所で開催しました。
そのほかにも、保護者・教職員向けとして

  • フィルタリングの内容および設定
  • 若者が使う主要なSNSの解説

などを加えた講座も実施されています。

参考:e-ネットキャラバンの推進

②青少年向けの教材や事例集の公開

総務省では、教職員や専門家からのヒアリングを通じて、実際にあった最新のトラブル事例や予防法をまとめた「インターネットトラブル事例集」を公開しています。

また、ICTメディアリテラシーの総合的な育成を目的とした教材「伸ばそうICTメディアリテラシー~つながる!わかる!伝える!これがネットだ~」を作成しました。

小学校5、6年を想定しており、ダウンロードして授業で使えるよう公開されています。

参考:伸ばそうICTメディアリテラシー

③ICT教育を含む新学習指導要領の実施

2020年度より、新しい学習指導要領が実施されました。
新しい学習指導要領のポイントは

  • 学習の基盤としての情報活用能力
  • 教科指導におけるICT教育の活用

という点です。
以下のように順次実施される予定です。

  • 小学校……2020年度から
  • 中学校……2021年度から
  • 高等学校……2022年度から

具体的には、生徒がパソコンやタブレットなどを活用して、自分で解決手段を収集し、課題に取り組むというものです。

ICT教育プログラムを通じて、生徒の

  • 情報の正確さ判断
  • 情報意図の理解

などの情報リテラシーが高まることが期待されています。
すでに、2018年から全学年を対象にiPadによる1人1台の環境を実施している私立小学校もあるようです。

子供たちが将来情報化社会で活躍する力を身につけるために、ICTを通した新しい学びの形が求められていると言えます。

参考:新学習指導要領について

まとめ

今回は情報リテラシーについて解説しました。

情報が次から次へと飛び込んでくる時代では、集めた情報が本当に自分に必要な情報か「取捨選択したうえで活用する能力」が求められています。

情報と共に生きざるを得ない現代社会において、情報リテラシーの重要性は今後一層高まっていくでしょう。