「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー立憲民主党・藤岡たかお議員に聞く! 自ら政策を作り語れる政治家を目指して、 日本を立て直すために本当に必要な政策とは

立憲民主党・藤岡たかお議員に聞く! 自ら政策を作り語れる政治家を目指して、 日本を立て直すために本当に必要な政策とは

投稿日2024.10.1
最終更新日2024.10.01

政府が進める子ども・子育て支援法改正案は6月の国会で成立しました。しかし政府の少子化対策は、結婚後の支援に重点を置き過ぎているという課題もあります。今回のインタビューでは、金融庁のキャリア官僚を経て国会議員となった立憲民主党・藤岡たかお議員に、政府の進める少子化対策や日銀保有のETFの問題、そして多くの企業が最高益となる一方で国民が景気回復を感じられない原因などをお伺いしました。

(取材日:2024年8月5日)
(文責:株式会社PoliPoli 秋圭史)

藤岡 隆雄(ふじおか たかお)議員
1977年生まれ。本籍・住所は栃木県小山市。大阪大学卒業。
9年1ヶ月の金融庁勤務、9年2ヶ月の浪人生活を経て2021年衆議院選挙で初当選。
党政務調査会補佐や予算委員会委員、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会の理事などを務める。甘党。 

政治に縁のない家庭から、金融危機時に感じた「日本を立て直したい」という思いを持ち、政治を志す

ー藤岡議員は金融庁のキャリア官僚から政治家というご経歴をお持ちですが、どのような経緯で政治家を目指されたのか教えてください。

私の親族には、国会議員どころか市会議員や市長もいません。むしろ、自動車会社に勤めるエンジニアの父親は政治にまったく興味がなく、政治家は4年に1度選挙があってこんな不安定な仕事はない、という否定的な意見を持っているような家庭環境でした。間近で政治家を見たのは、市会議員選挙に出る方が家に挨拶に来られて、玄関先で母親が挨拶しているのを見た程度です。

一方で、私は小学生の頃からスポーツ欄を中心に新聞を読んでいたのですが、徐々に選挙や政治のニュースに興味を持つようになりました。ただ、政治に漠然とした興味はあっても、政治家とどこで会えるかすら分からず、政治はどこか遠い世界の出来事という感じでしたね。

ーどのような経緯で金融庁に進まれたのですか?

父親の影響で理系の大学へ進学したのですが、20歳の時に自分が将来何をやりたいのか、一人で貧乏旅行もしながら、2~3ヵ月を使って徹底的に考える機会を作りました。ちょうど日本が金融危機に見舞われたときで、山一証券が自主廃業して次は北海道拓殖銀行が破綻するなど、次から次に金融機関が倒産するタイミングでした。先が見えない時代の中で、沈みゆく日本を強くしたい、という気持ちがフツフツと湧き出てきたんです。この国のために一身を捧げて頑張ろう、と20歳の時に誓いを立て、政治を志すことを明確にしました。

私は当時、関西の大学で勉強をしており、永田町とか霞ヶ関というものがまったく分かっておらず、縁もありませんでした。最初は、関西で行われる様々なシンポジウム、政治家の講演、ディベートなどの場に積極的に出席するところから動き始めました。その過程で、過去に早稲田大学の雄弁会で活躍されて、当時大阪の銀行に出向中の方との縁ができたんです。その方から、1度、霞ヶ関に行って政策の修行をするのがよいと思う、とアドバイスを受けました。尊敬する先輩のアドバイスをきっかけとして、まずは霞ヶ関で官僚を目指すことにしました。私は理系の学生でしたが、途中で大学院を休学して、経済や法律を新たに勉強し、自分で政策を作る・自分で政策を語る政治家になりたい、という思いを胸に官僚を目指しました。

ー金融庁での約9年の生活はいかがでしたか?

実は3年で官僚を辞めて国政選挙に打って出ようと厚かましくも考えていたものの、残念ながらチャンスがなく、悶えていました。金融庁では不良債権問題への対応、銀行への公定資金注入のための法律の整備、金融検査や関東財務局への出向などを経験しましたが、沈みゆく日本を強くしてもう1度立て直したい、という思いは官僚時代も高まるばかりで、当時は接待問題の影響が色濃く残っており、官僚叩きの雰囲気もあるなかで、様々な政治家の方と意見交換をさせていただき、素晴らしい議員がいる一方で、国をよくするための志や信念が感じられない政治家も結構いる、という印象を抱きました。

官僚を続けながら、常に政治の世界に出て「日本をよくしたい」という思いと、なかなかチャンスを得られない現実との葛藤を抱えていました。政権交代が起きたものの、もどかしい想いは変わらず、最後はいても立ってもいられず役所を飛び出した、というのが実際です。その後は政策秘書の時代も含めて約12年の浪人の末に、3度の衆院選落選にめげることなく、2021年10月の衆院選に初当選させて頂き、現在に至ります。

議員1期目の国会終盤は少子化対策と日銀保有のETF問題に注力

ー議員1期目の手応えはいかがですか?

日本の立て直しにはまだまだゴールが遠いです。むしろ、日本が世界と比較して落ち込んでいる、という現実に私は大きな危機感を抱いています。私がどこまで議員としての役割を果たしたかといえば、正直まだまだでしょう。目に見える成果として、例えば、乱立している国の基金の問題を国会で議論した結果、二千数百億円が国庫に返納されました。このような小さくても前進となる事例を今後増やしていきたいと考えています。

ー現在注力している政策分野について教えてください。

現在注力しているのは、少子化対策とその財源として考えうる日銀保有のETF問題の2つです。

まず少子化対策についてですが、現在の政府の政策は的を得ていないと考えています。厚生労働省が管轄する研究機関の2015年の統計データを見ると「結婚する意思をもつ未婚者」は9割弱です。問題は、その意思が実現していないということです。全体の出生率が1.20と低迷していますが、結婚している家庭だけ取り上げると、出生率は約1.9ほどあります。政府は希望出生率1.8を掲げているはずですが、結婚している家庭に限れば、既に目標は達成しています。様々な価値観があるので、間違っても結婚そして出産という価値観を強制するつもりはありませんが、しかし結婚の意思をもつ若者が結婚に至らない状況を鑑みると、少子化問題への対応は、結婚した後の支援だけでなく、その前の支援も必要と言えます。

明治安田生命のアンケートによると、最近結婚した若者の一番の出会いの場はマッチングアプリという結果でした。また、インターネットを介しての出会いが増えている一方で、マッチングアプリを利用したいがまだ利用を手控えている人も多い、との結果も出ています。これは見ず知らずの人とトラブルになることや個人情報の信頼性に関するリスクがあるためです。これだけスマホが普及して、インターネットをきっかけに出会って結婚に至る比率も高まっているため、マッチングアプリの信頼性を高めてもっと利用しやすくする政策があってもよいのではないでしょうか。

詰めきった話ではないことはご容赦賜りたいですが、アプリの信頼性の一定基準を満たした事業者には、公的な認証が付与される、あるいは利用者の個人情報の虚偽記載をしたらなんらかの罰則があるなど、マッチングアプリの信頼性を増す法整備も考えられます。また、アプリの利便性を高めることも重要です。例えば、独身証明書は戸籍と同じように、戸籍のある自治体で求めないといけないことから手間がかかるという問題もありました。これに関して、5月8日の委員会で取り上げ、電子的な対応が可能になるよう進めていただくことの見解を河野デジタル大臣に質問したところ、初めて、マイナポータルにおいて、本年8月から民間事業者が本人の同意された婚姻関係を含む戸籍情報を入手できるとの答弁をしていただきました。今後はデジタルで請求できます。このように若者の出会いをパッケージ化して支援することが必要です。

結婚の意思をもつ人が結婚できるための政策づくりは、実は働き方や社会保障などの私たちの生活と密接に関わる政策につながります。例えば、非正規社員のため結婚後の資金展望が描けない、という声があります。3年間非正規社員で働いたら原則的に正社員になれる、このような制度も結婚の願いを叶える要素ではないでしょうか。同様に、正社員を増やすためには、企業の社会保険料の負担についても考えなければなりません。少子化、人口減少対策は結婚を難しくさせてしまっている壁を壊していくことが必要です。

ー子育て支援の拡充の財源に関連して、「日銀保有ETF活用法案」が提出されました。

日本銀行は世界でも珍しい、ETFを大量に保有する中央銀行となっています。ETFという株式市場に連動する不安定な資産を日本銀行は何十兆円と保有しており、その保有自体がリスクといわれます。現在は時価が取得金額を大幅に上回り含み益が出ているものの、このETFをどうやって日銀から切り離すかが大きな政策課題です。 

例えば、日銀が保有するETFを簿価で政府が買い取るとします。するとETFは日銀の資産から外れるため、日銀の資産状態は安定します。一方で、買い取ったETFから政府は毎年分配金が得られます。近年は1兆円を超える分配金を今後の子育て支援などの予算に充当すればよいのではないか、ということを階猛先生を中心に議論して提案しています。

最高益を出す企業が多数あるのに国民は景気回復を感じていない、このズレを解消する必要がある

ー他に注力している政策課題はありますか?

日本の上場企業が今期は過去最高益を計上していると報道を目にすることがありますが、海外で稼いだお金が日本に還流していない、という問題があります。簡単にいえば、日本のお金が海外に投資されて得た利益が、日本に十分に戻っていないのです。海外で稼いだお金は海外で再投資されています。もちろん、海外への再投資や海外の従業員の賃上げに一定程度まわっていくのも当然でしょう。しかし、日本企業の最高益という状態が国内でも実感として伝わるぐらいには戻してほしいと思います。国内からお金は出て行く一方で、円安にも歯止めがかかりません。多くの企業が最高益といっても、日本国民のほとんどは景気回復の実感がありません。企業が儲かっている現実と、人々の景気の肌感覚のズレはこの辺りも原因ではないかと思い、財務金融委員会に所属していることもあり、財務省の担当者とよく議論させていただきました。

私も本年2月の財務委員会でデジタル赤字などの問題もあわせて取り上げ、政府でも財務省において本年3月に財務省主催の「国際収支に関する懇談会」が開催され、「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」に向き合うようになったようです。グローバル企業が海外で稼いだお金がいかにして国内に戻ってくるようにしていくかなども含めて議論が進んでいくことも期待したいと思います。

ー最後に読者へのメッセージをお願いします。

国政選挙4回目の挑戦で初当選して、現在は日本を立て直そうともがく日々です。若い世代の気持ちに寄り添った政策を行うことが、日本の立て直しに繋がります。そのためには若い皆さんが政治に関わることが何より必要です。政治を諦めることなく、日本の立て直しにぜひ一緒に取り組んでいきましょう!

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。