「政治をもっと身近に。」
政治に関する情報をわかりやすくお届けします。

政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー日本維新の会・金村りゅうな議員に聞く!政治家としての原点と党のこれから

日本維新の会・金村りゅうな議員に聞く!政治家としての原点と党のこれから

投稿日2024.11.27
最終更新日2024.11.27

日本維新の会代表選挙が11月17日に告示され、12月1日に投開票が行われます。『政治ドットコム』では代表選挙に立候補する各候補者の政策にフォーカスし、長期的な国家ビジョンや若者世代へのメッセージを伝えるインタビュー記事をお届けします。

今回のインタビューでは、日本維新の会代表選挙への立候補を表明した金村りゅうな 副幹事長に、日本維新の会のこれからのビジョンとその実現のために注力したい政策をお伺いしました。

(取材日:2024年11月22日)
(本記事は「政治ドットコム」YouTubeチャンネルのインタビュー動画を元にしたものです。本編動画はこちらからご覧ください)

金村 龍那(かねむら りゅうな)議員
日本維新の会 副幹事長。2002年から10年間、衆議院議員 城島光力(元財務大臣)の秘書を務める。その後、児童福祉施設を創業、経営。2021年衆議院議員初当選(2期)。
座右の銘は「向き不向きより前向き」。

「声なき声」を政策に反映すべく政治の世界へ

ー金村議員はなぜ、政治家を志されたのでしょうか。

工業高校を卒業後、職場を転々とする中で、たまたま働いていた飲食店で、当時議員だったお客様の一人から「政治家に向いているんじゃないか」と声をかけられたのがきっかけでした。常連のお客様が多いお店で、一人一人の好みを把握した上で先回りしてサービスを提供した様子を見て、言葉をかけてくれたようです。

政治の世界は私にとって別世界だったので「うそでしょ」と。当然のように一度はお断りしましたが、その一週間後にまたその議員が東京から名古屋のお店に来て、再び誘ってくれました。「そこまで言うなら身を預けます」と覚悟を決めて、東京に上京したのが23歳のときでした。

最初はとても不安でした。政治の世界が自分にフィットするとはまったく思わず、うまくいかなかったら名古屋に戻ってくるから、と家族に伝えていたことを思い出します。

ー議員秘書を経て、衆議院議員になる前には児童福祉施設を創業・経営されていました。これにはどういう背景や思いがあったのでしょうか。

議員秘書を10年務め、2013年の都議会議員選挙に立候補したものの、落選。本来は選挙事務所をたたむはずが、3ヶ月だけで引き払うのはもったいないなと思い、児童福祉施設を始めようかと。

というのも都議会議員選挙に出馬するにあたって作成した政策で、東京をアジアのソーシャルセクターのハブにすることや発達支援を抱えた子ども等の教育支援を訴えており、自分の公約を民間の立場から実現するために頑張ってみてもよいのではないかと思ったからです。

ー10月に衆議院議員総選挙が行われ、自公過半数割れし、政局はカオスと言ってもいい状況に。この結果についてはどのように受け止めていますか。

今回の選挙結果で最も着目すべきは、自公政権が政権交代をせずに過半数割れをした点にあります。長らく安定政権を構築してきた「自公レジーム」が崩れ、これから先も自民党中心とした政権運営をしていくのか、それとも新しい政治集団を作り、政界再編をしていくのか、大きな曲がり角に立っています。

その中で維新は大阪で初めて公明党と戦い、小選挙区の議席を4議席増やしたことは特筆すべきことだと思います。これからは選挙で掲げた公約の実現に向けて各政党と合意形成をしっかり進めていく必要があります。

ー日本維新の会を大阪から全国に広げていく中で、どういったことが課題でしょうか。

日本維新の会が目指すべき方向性は、様々な生きづらさを持ちながら、これまで政治とあまり接点を持つことのなかった「声なき声」を抱えた人たちの声をしっかりと政治に反映させていくことです。

10月の衆議院議員総選挙では多くの有権者の方が「日本維新の会か国民民主党どっちか」で悩んだと聞いています。

今回の総選挙の比例票数は、維新が約500万、国民民主党が約650万であわせて約1100万票。自民党は約1400万票、立憲民主党は約1100万票。つまり国民の皆様の多くからすると、維新と国民はほとんど同じレンジで争っている。今回躍進した国民民主党と同様に大枠では子どもや若者、子育て世代、働く人たちにメッセージを届けていく必要があります。

日本維新の会の存在意義を根本から問い直したい


(代表選立候補にあたって発表した政見パンフレット:日本維新の会代表選特設ページ、https://o-ishin.jp/convention2024/candidate/kanemura.html より)

ー代表選挙にあたり、金村議員は3つのビジョンを掲げています。一つ目に「地方から全国へ」を挙げていますが、これを最も重視されているのでしょうか。

日本維新の会は、首長を中心として地域の行政サービスの質を上げる改革を実行し、その地域の住民満足度を上げて支持を拡大してきた政党です。この改革姿勢を地方から全国にしっかりと届けていくこと。これが最も重要です。「大阪だからできたことだ」と思われてしまいがちですが、この姿勢を全国に広げること自体が重要だと思います。

そのためには思い切って党の組織構造も変えていいのではないかと思っています。今のように「都道府県単位での支部」を作るのではなく、「道州制」の実現を見据えた組織構造にしていくことも必要ではないでしょうか。

ー「道州制」の単位はどういう形になるのでしょうか。

全国を7から9の単位に区切るようなイメージです。この構想の背景には大きな危機感があります。人口が減少し、リニア中央新幹線などにより移動がより便利になってくると実は東京への一局集中が加速していくことが予想されます。大阪を含む東京以外の地域にとっては深刻な状況です。吉村大阪府知事も「3度目の都構想のためのタネをまこう」と言い始めました。全国各地で、東京に匹敵するような経済圏を作らなければいけないと思っているんです。

ー金村議員は二つ目に「全国が熱狂する改革を」を掲げ、そのために「パーパスPT」という組織を新たに設置すると打ち出しています。こうした政策と組織が一体になっている着想はどこから来ているのでしょうか。

3年間、日本維新の会の一員として党を見る中で、より成長するために必要なことを考えた結果です。

私は「あしたのもと、味の素」というフレーズが好きなんです。こんなにわかりやすく商品の意義を伝えるフレーズってないと思うんですよね。 維新のパーパスもそのレベルまで磨き込む必要があります。

これまでの日本の政治は、自民党という大きな柱があり、対立軸がわかりづらいものでした。それは国民の政治離れにつながっていたかもしれません。「何のために存在しているのか」を明確に打ち出さなければ生き残れないでしょう。根源的な存在意義まで維新の価値を落とし込んでいく必要があると思います。

「世代の負担」をなくし次の世代の成長を

ー個別の政策テーマで見ると、金村議員は子育て支援に力を入れている印象があります。仮に党の代表になった際はどう進めていくお考えでしょうか。

人口ボリュームの厚い60歳以上の方々を向いた政治から若い世代に向けた政治に転換させることです。

「あなたたちがしっかりと選択肢を持った人生を送れないと、日本の未来にはつながらないよ」と訴え、徹底的に改革を進めること。これを私は「既得権者」を変えると表現しています。そのための少子化対策や子育て支援、若者支援は僕にとってはコアな政策です。

ーその実現のためには社会保障の構造改革も必要になってくると思いますが、どのように取り組まれていきますか。

日本維新の会が打ち出した野心的な政策の一つが2021年の「日本大改革プラン」です。税、社会保障、そして労働市場、この三位一体改革によって、人の暮らしに基礎的に必要なお金について再定義し、生活保護や基礎控除、年金などの制度を再構築しようとする政策です。本来はこの「日本大改革プラン」をしっかりと維新は進めていくべきだと考えています。

ー若者世代の目線から見ても、社会保険料の負担は一番大きく、関心が高い一方で、ここに切り込んでいく政策を進めることを諦めている人が多いと感じます。しっかり社会保障改革に切り込みながらも、国政でも勝っていく。このためには何が必要なのでしょうか。

選挙制度を変えることが必要でしょう。今の小選挙区比例代表並立制は、個人の票で受かるんじゃなくて政党選択ですから、政党で1票とるわけですね。だから国民に対して増税という負担を求めると、マクロ的には負けてしまう。構造的に社会保障改革を訴えることができなくなっている。なので、選挙制度を変えればよい。

政党選択ではなく国民から政治家が選ばれる選挙制度へ変える。そうすれば現役世代の負担軽減を訴える個々の政治家への共感を呼びやすくなります。

ー外交や安全保障についてはどのように向き合っていくお考えでしょうか。

日米同盟を基軸として日米韓の枠組みとしてしっかり連携を深めていきます。日本のプレゼンスを高めるために必要なのは円安を追い風にしたインバウンド政策、ではなく、外交と安全保障です。

経済政策としてのインバウンド誘致は必要ですが、本質的な経済成長によって、他国が日本の経済成長を前提とするような経済権益を作っていかないと、日本のプレゼンスが高まりません。

日本が資源のない国だからこそです。アジアにおける危機を回避する国際枠組みと経済成長によってアジアに豊さを届け、共存していく姿勢が必要なのではないかと思います。

ー若者世代から見ると、デジタル政策や規制改革も注目度の高い分野です。この領域では金村議員はどのように政策を進めていくのでしょうか。

株式会社が病院経営をできるようにしたいです。現在は医療法人しか病院経営ができず、基本的には医師しかトップになることができません。株式会社が一般的に病院を経営できるようにして、優秀な人材・医師が経営だけでなく、イノベーション研究のような、もっと我々の暮らしが根本から変わるような分野に進める環境をつくった方が日本全体として経済成長ができると考えています。

ースタートアップ政策についてはどのように考えていますか。

スタートアップの創業者が最も苦しむのが資金繰りですよね。それから融資を受けるときの個人保証、この部分が足かせになっていると認識しています。

個人でスタートアップ個人保証をしなくてもいい融資のあり方をもっと検討するべきではないでしょうか。さらには資金繰りのところも、もう少し緩やかな金融機関の対応が必要です。

スタートアップだけではなく中小企業全体に目を向けると、その構造に課題があると思っています。補助金ビジネスが横行していて、補助金によって延命している企業が多く、中小企業政策そのものが歪んでしまっています。

一定程度、M&Aを繰り返して企業数自体を絞ることにより、生産性を上げ、働き方改革を進めることができます。M&A税制の見直しも必要でしょう。

ー代表選への意気込みと、読者へのメッセージをお願いします。

「党を改革しなければならない」という一心で、代表選挙への立候補を決意しました。地元で政治、選挙活動をする中で、多くの方の声がまったく政治に届いていないことを実感して来ました。この状況を打破するためには新しい人材が必要です。これまでのオールドタイプの政党、オールドタイプの政治家では何も変わりません。私が、この日本維新の会の先頭に立って改革をしていくことが日本の成長につながると信じています。

とりわけ若い世代、現役世代の皆さんの負担、よくわかります。私も45歳、就職氷河期世代の最後の世代社会に出たときから、雇用は不安定、所得も安定しない。こういったある種の「世代の負担」を解消していくことから始めないと、次の世代の成長に繋がりません。必ずこの日本維新の会を改革し、日本のための成長を作っていきます。

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
株式会社PoliPoliが運営する「政治をもっと身近に。」を理念とするWebメディアです。 社内編集チーム・ライター、外部のプロの編集者による豊富な知見や取材に基づき、生活に関わる政策テーマ、政治家や企業の独自インタビューを発信しています。