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政治ドットコムインタビュー政治家インタビュー決断できる政治に変え、日本人の給料を上げる。国民民主党・小竹凱議員が目指す国家像

決断できる政治に変え、日本人の給料を上げる。国民民主党・小竹凱議員が目指す国家像

投稿日2025.4.23
最終更新日2025.04.22

第50回衆議院選挙が2024年10月27日に投開票され、99名の新人議員が誕生しました。『政治ドットコム』では、初当選を果たした国会議員の方々にインタビューし、政治家を志したきっかけや実現したい政策などを深掘りしていきます。今回のインタビューでは、国民民主党公認候補として立候補し初当選を果たした小竹凱議員に、国民民主党を選んだ理由や議員になって感じること、目指すべき国家の姿について伺いました。

(取材日:2025年4月3日)
(文責:株式会社PoliPoli 大森達郎)

小竹凱(おだけ かい)議員
1998年、石川県金沢市生まれ。国立石川工業高等専門学校建築学科卒業。
大手ゼネコン勤務を経て、2024年10月の衆議院議員選挙にて初当選。
趣味は読書とスポーツ観戦。

将来に責任を持つ政治を

―高等専門学校卒業後は大手ゼネコンに就職。いつから政治を志すようになったのでしょうか。

高専(高等専門学校)では建築学科に所属していて、好きな科目は都市計画でした。自分が政治家になると明確に想像していたわけではなかったのですが、「まちづくりをしたい」との思いから行政に携わりたいと考えるようになり、高専4年生の頃には「将来、首長になりたい」と友人たちの間で言っていました。

「まちづくり」という大きなイメージはありながらも、まずはものづくりの現場に行きたいと考え、ゼネコンに就職。会社に在籍していた約4年で6度の転勤を経験しました。たくさんの町を見ることができたのはとても貴重な経験で、政治家になってからの活動にも生かされていると感じています。

―建設業界で働く中でどのような課題を感じましたか。

建設業界は課題が最も先進している業界でもあります。ゼネコンでは生産支援と呼ばれるバックアップ体制の部署でも働きましたし、「1人現場」といって、1人で営業、施工管理から最後の品質管理までを1人ですべてやるようなところなど、様々な現場を経験しました。日本人の給料が上がらないと、この産業はもたない。それが4年間、建設業界で働いて率直に感じたことでした。

建設業界には、育成就労制度(旧技能実習制度)による外国人の人材もたくさんいます。短期的には人手不足を解消するために、育成就労生を受け入れたい。しかし、中長期的に見れば、多くの育成就労生に頼ることが、日本人全体の給料が上がらない原因にもなっているわけです。つまり、将来的に国力が落ちていってしまうと。

このことは現場も政治家もみんな分かっています。でも変えられない。そういう政治を続けてきたことが「失われた30年」になってしまった原因だと思うんです。

僕自身、目の前の人手不足を解決しなければ、という短期的な視点と、でも外国人に頼りすぎることが結果として国力を落としてしまう、という中長期的な視点に挟まれながら、仕事をしてきました。両方の大切さを理解しているつもりです。ただ、僕は20年後も30年後も現役世代の立場だからこそ、将来に責任を持つ政治をしたいと思っています。これまで決断することのできなかった弱い政治を変えたいです。

―スタートアップなど、民間から社会課題を解決する道もあると思うのですが、なぜ政治家の道を選んだのでしょうか。

建設業界が抱えている課題というのは、一個人、一企業の努力では限界のある産業全体の課題だと思ったからです。これは政治にしか変えられないなと。育成就労生を受け入れるかどうかは、法律のもとで決められる制度ですので。

もう少し大きな話をするなら、今のこの世界の延長線上に良い未来はないと思ったんです。僕は比較的早く結婚をして、コンフォートゾーンというか、精神衛生上の安定した状態は確保できたと感じました。その上で、自分は何をしたいのか、と考えたときに、政治ではないかと。

社会にある理不尽な状況を変えたい。この思いをくすぶらせたまま、SNSで文句を言い続けるような自分にはなりたくないなと。たとえ色々なご批判を受けたとしても、自分が変える、行動する側になりたいと思い、政治家を目指す決断をしました。

―政治家になる際に、国民民主党を選んだ理由を教えてください。

現状を変えたい立場ですので、与党に入る考えには至りませんでした。野党の中では、国民民主党が一番自分にマッチしていると感じました。特に重要な軸は3つ。まず「日本人の給料を上げる」と主張していること。国民民主党は給料が上がる経済とずっと主張してきていて、それは僕自身の考えと一致していました。

次にエネルギー政策です。エネルギー需要は今後も増えていくと見込み、エネルギー政策を積極的に行わなければいけないという考えもマッチしました。

最後に、教育です。僕が高専に進学した理由の一つに学費の安さがありました。僕は5人兄弟の長男なのですが、これから弟たちの教育費も増えることを分かっていたため、親に気を遣って高専を選んだという経緯がありました。安い授業料で学び、早く社会に出て働き、お金で迷惑をかけないようにしようと。

結果的には高専に行ってよかったと思っています。ただ、自分のように親の顔色を伺わずに、子供たちが自由に選択できる教育の環境を整えたいという思いもあります。教育政策においても国民民主党が自分の考えと近いと感じました。

成功体験がないのが若者世代の課題

―2024年10月に初当選し、衆議院議員に。政治家になる前に抱いていたイメージとのギャップなどはあるでしょうか。

いい意味でのギャップは、出番をたくさんいただけていること。1年生議員は雑巾がけというような印象もあり、なかなか前に立てないだろうと思っていたのですが、毎週のように質疑の場に立っていますし、先日は本会議にも出ることができました。

ほとんど質疑の場に立たせてもらえないのかと思っていたら、全然そんなことはなく、むしろよくバッター回ってくるなと。1年生議員でも出番がたくさんあるのは、国民民主党のいいところだと感じています。

また、党内の意思決定プロセスの早さにも驚いています。国民民主党はスタートアップのような感じで、スピードで勝負しているなと。もちろん議員数が少ないので、意思疎通を図りやすいということもあります。ただ、それを差し引いても早いなと。

このような党の体質をつくっているのは代表と幹事長だと感じます。代表と幹事長からは「批判するなら必ず対案を示せ」と口酸っぱく言われています。常にその言葉を聞いているので、普段から各議員が思考プロセスを早くしていこうと意識をして、結果的にスピーディーな意思決定につながっているのだと思います。

―国会議員の活動も約半年が経過しました。ここまでの手応えはいかがでしょうか。

個人的には103万円の壁の議論も、ガソリン税に関しても、あまり手応えは感じられていないのが正直なところです。壁があるのが問題だと強く主張していたのに、結果的には所得のステージによって、また色々な壁をつくってしまった。描いていた理想像とはかけ離れてしまい、悔しさの方が大きいですね。

いい手応えを感じられたのは、新人議員でありながらも大臣クラスの方々に直接意見を言える立場にいるということ。ここから成果をあげられるように勉強を続けていきたいです。 

―今後、国民民主党がさらに勢力を伸ばすためには、若者からの支持を集めることが1つのポイントだと思います。どのような若者政策を考えているのでしょうか。

僕たち世代の課題というのは、個別具体的な課題ではなく、自分たちの手で意思決定ができなかった点にあると考えています。「失われた30年」というのも、受動的な言葉ですよね。

選挙において、自分たちの力で国を動かしたという成功体験を、我々の世代は持っていないのではないかと思います。それが最大の課題なのかなと。ですので、自分たちの一票で政治が変わったという実感を持てるように公約を実現していきたいです。

―国民民主党には若い議員も多いと思います。若者が集まる風土があるのでしょうか。

党の考え方が時代に合っているのだと思います。今の20代〜30代は、コスパやタイパを重視する世代。多くの政党が規制する方向に進みがちなのに対し、国民民主党は新しい技術を信頼し、どんどん開拓していこうという考え方です。

たとえば原子力でもそうですが、様々な課題はあるけれど、僕たちは日本の技術者を信頼しています。日本を技術立国にしたいという根底の思いがあるんです。何事にも前向きな姿勢でいることが、多くの人が集まる要因なのだと思います。

日本を「世界一」の夢を叶える場所に

―今後、特に力を入れていきたい政策を教えてください。

僕の選挙区は石川県なので、能登半島自身の復旧・復興に注力していきたいです。

石川県の公共事業は入札不調で、入札が何度も流れています。能登半島は都心からのアクセスが悪く、費用がかさんでくることから入札が流れてしまっているのだと思います。ここは国の考え方次第です。未来の投資だと考えれば、お金を渋る必要はないわけです。国民民主党は人への投資、未来への投資には賛成の、積極財政の考え方をとっています。なんとか能登の復興を進められるように、国土交通省や復興庁、総務省などに対し、幅広い観点から地方創生に関する具体的な指摘をしていきたいです。

―これから様々な政策実現を通して、日本をどのような国にしたいですか。

日本をどのような国にしたいかについては、3つのことをよく考えています。1つ目は家庭や地域の環境に関係なくどんな境遇でも子供たちが自由に学べる国にしたいということ。デジタル技術を使えば、時間や場所も超えることができます。技術的にできることは増えているので、それらをうまく活用して、日本の教育を前に進めたいと思っています。

2つ目は日本人の給料を中長期的に上げていくこと。最近の円安は日米の金利差では説明できないところまで来ていると思います。給料を上げて、円の力を強めていき、日本の国力を上げていきたいです。

3つ目が一番大きいのですが、日本を様々な分野で世界一の国にしたいと思っています。たとえば野球。大谷翔平選手も今永昇太選手も、日本のプロ野球を経て、メジャーリーグに行くじゃないですか。こういった流れが、僕は本当に悔しいんです。なぜ夢を叶える場所が日本ではなく、海外なのだと。WBCで日本は優勝したのに、プロ野球選手の多くがメジャーリーグを目指しているのが現状です。

サッカーやバレーボールでも、海外に挑戦する選手が多いですよね。これは単純に、ビジネス規模の話なんです。日本の経済力を高めれば、海外の選手が日本に夢を叶えにくるようにだってなる。様々な分野において、日本を「世界一」の夢を叶える場所にしたいです。

この記事の監修者
秋圭史(株式会社PoliPoli 渉外部門)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、東京大学大学院に進学し、比較政治学・地域研究(朝鮮半島)を研究。修士(学術)。2024年4月より同大博士課程に進学。その傍ら、株式会社PoliPoliにて政府渉外職として日々国会議員とのコミュニケーションを担当している。(紹介note:https://note.com/polipoli_info/n/n9ccf658759b4)

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