
梅村みずほ うめむら みずほ 議員
1978年 愛知県出身、2人の子どもを持つ
2001年 大手旅行会社に入社、2003年 フリーアナウンサーに転身
2019年 参議院議員に初当選(日本維新の会)
2025年 参政党から出馬し当選。党の参議院国会対策委員長に就任
2025年7月20日に投開票が行われた第27回参議院選挙では、自民・公明の連立与党が衆議院に続いて過半数割れに陥り、代わって野党の新勢力が台頭する結果となりました。今回のインタビューでは、参政党の梅村みずほ議員に「日本人ファースト」で目指す政策とは何か、お聞きしました。
(取材日:2025年8月22日)
(文責:株式会社PoliPoli 大森達郎)
政治家への原点は「この国を背負う子どもたちのため」
ーフリーアナウンサーから政治家へ転身されましたが、そのきっかけはなんだったのでしょうか?
国会議員になるまで、政治は自分とは遠い世界のものだと思っていました。難しくてよく分からないし、まさか自分がその担い手になるとは想像もしていませんでした。大学卒業後は民間企業に就職し、結婚、子育てと、ごく普通の市民として暮らしていたのです。
しかし、アナウンサーとして日々のニュースに触れるうちに「この国を背負っていく子どもたちのために、何かできないか」という気持ちが次第に強くなってきました。とはいえ、その「何か」が政治だとは当初考えていませんでした。
私が取り組もうとしたのは、子どもたちに向けた「コミュニケーション教育」です。いじめや虐待、自殺といった悲しい出来事は、「伝えたいことをうまく伝えられない」というコミュニケーションのすれ違いから生まれる側面があるのではないかと感じていました。一方で、グローバル社会で子どもたちが世界で活躍するためにも、コミュニケーション能力は不可欠です。
この考えを知人に相談したところ、「政治の世界からアプローチすれば、もっと大きな規模で実現できるのではないか」とアドバイスをいただいたのです。それが、政治家を目指す大きなきっかけとなりました。
ー参政党から参議院議員選挙に出馬したことは大きな決断だったと思いますが、どのような経緯があったのでしょうか?
2年前、私は当時所属していた日本維新の会から処分を受けました。国会での質疑について党内外から様々なご意見をいただいたことが発端です。そのような苦しい状況のときに、参政党の神谷宗幣代表が声をかけてくださいました。
しかし、その時は「私は日本維新の会の看板で議員にしていただいた立場ですし、投票してくださった有権者の期待に応えたい。ですから、党を離れることはできません」とお断りしました。
今年の夏、私は公認候補を決める予備選挙で敗れ、無所属で活動していました。政治家としての今後を模索している時に、たまたま神谷代表の記者会見をSNSで見かけたところ、政党要件である「現職国会議員5人以上」まで、あと一人足りないためにメディアの公開討論会に呼ばれないことに対して、大変悔しがっていました。
参政党が目指す方向は、私が実現したいこととほとんど同じです。日本のために良いことであり、4人の議員で奮闘してきた参政党にとってもプラスになる。そして、私の政治家としての想いも実現できる。これは「三方よし」の関係だと確信し、この好機を活かすことが正解に繋がると信じて、参政党からの出馬を決意しました。
「日本人ファースト」とは、日本人がのびのび生きられる社会
ー「日本人ファースト」は様々な意味で話題になりました。具体的な政策として、梅村さんが訴える「日本人ファースト」とは何ですか?
「排外主義ではないか」とご指摘を受けますが、決してそのようなことはありません。まず、その点は強く明確にしておきたいと思います。日本のルールを守り、私たちと一緒にこの国を良くしてくださる外国人の方は、もちろん大歓迎です。
私たちが目指す「日本人ファースト」とは、日本人が自分たちの国で、のびのびと安心して生きられる社会を取り戻すこと。「日本人の暮らしファースト」と言い換えても良いかもしれません。そのための政策の柱は、大きく分けて2つあります。
1つ目が「減税」です。積極財政で国民の暮らしを楽にしたいと考えています。税金や社会保険料の負担(国民負担率)が非常に高く、可処分所得がなかなか増えません。だからこそ私たちは、この国民負担率に「35%まで」という上限(キャップ)をはめることを提案しています。
2つ目は、日本の良さを守るための「外国人政策」の見直しです。現在、日本の大切な土地や企業が、外国資本によって次々と買収されている現実があります。国土は国家の基盤であり、これを守るのは国会議員の重要な責務です。この流れを断固として食い止めなければなりません。
次に、不法滞在者の問題です。ルールを守れなくなった方には、速やかに自国へお帰りいただく。これは国際社会の常識ですが、今の日本では徹底できていません。
さらに、オーバーツーリズムも深刻化しています。多くの観光客が訪れるのは喜ばしい反面、地域のバスが満員で住民が利用できなかったり、宿泊費の高騰で日本人が旅行しづらくなったりしています。文化財への敬意を欠くマナー違反も後を絶ちません。
こうした状況に対し、「それはおかしい」と声を上げ、ルールを整えることで、日本人が肩身の狭い思いをせずに済む、安心・安全な社会を築きたいと考えています。
ー次の臨時国会、来年の通常国会で、実現したい政策を教えてください。
参政党としては、まず「コロナ対策関連法案」です。この問題はまだ収束していませんし、国民の命と健康を守るための法整備は急務と言えます。
私個人としては、議員になってから一貫して訴え続けている「外国人による土地取得の規制」です。日本の国土を守るため、新たな法律の制定も視野に入れて取り組んでいきます。
もう一つが「スパイ防止法」の制定です。日本の重要な技術や情報が海外に流出し、安全保障が脅かされる事態を防ぐための法律です。他の先進国並みに厳格な法律について、日本でも議論を本格化させ、法案として成立させたいと考えています。
国会対策委員長に就任、「党と党との連携で政策実現を」
ー政策を実現していくために、参政党をどのように成長させていきたいですか?
党からは、参議院の国会対策委員長(国対委員長)を拝命しました。国対委員長とは、一言で言うと「党と党の交渉役」です。私はまだ7年目の議員で、まだまだ勉強をしていかなければならない立場にもかかわらず、党の重要な役割を任せていただきました。
特に現在は、与党が国会で過半数を確保できていないため、私たち野党が連携すれば、法案を成立させられる可能性が十分にあります。他の党と着実に関係を築き、政策実現のために汗をかく。責任の重い仕事ですが、大きなやりがいを感じています。
同時に、新人議員の研修も担当します。永田町には独特のルールや慣習がありますので、新しい仲間たちが国会で最高のパフォーマンスを発揮できるよう、しっかりとサポートしていくつもりです。
ー急成長している参政党ですが、今後の課題は何だとお考えですか?
課題は、政党としての組織づくりです。企業が急成長すると組織体制の整備が追いつかなくなるのと同様の状況です。国会議員の数が一気に増えたため、議員を支える秘書や党のスタッフも大勢必要になりました。
国のために働いてくれる優秀な人材を確保し、その方々が最も力を発揮できるような組織をいかに構築していくか。今、まさにその大きな課題に直面しています。
ー最後に、政策実現を通して、日本をどのような国にしたいのでしょうか?
子どもたちが「この国に生まれて、本当に良かった」と心から思える日本。そして私たち自身も、自国に誇りを持てる日本。
生まれてから人生の最期を迎えるその時まで、誰もがどのライフステージにおいても「日本は素晴らしい国だ」と感じられる。そのような社会を築き、次の世代に手渡していきたいと考えています。