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スマホソフトウェア競争促進法とは? その目的と影響をわかりやすく解説

投稿日2025.2.7
最終更新日2025.02.07

2024年6月、日本で「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」、通称「スマホソフトウェア競争促進法」が成立しました。この法律は、スマートフォン市場における公正な競争を促進し、ユーザーやアプリ開発者がより自由にサービスを選択できる環境を整えることを目的としています。

では、なぜこの法律が必要とされたのでしょうか。そして、具体的にどのような変化が期待されるのでしょうか。

スマホソフトウェア競争促進法が制定された背景

スマートフォンは、今や生活やビジネスに欠かせないツールとなりました。しかし、そのソフトウェア市場は一部の大手IT企業による寡占状態が続いています。特に、アプリストアや課金システムにおいて、ユーザーや開発者が特定の企業のルールに従わざるを得ない状況が指摘されていました。

例えば、多くのスマートフォンでは、アプリをインストールする際に公式のアプリストアを経由する必要があります。加えて、アプリ内課金の際にも、そのプラットフォームが指定する決済システムを使うことが義務付けられるケースが多く、開発者にとっては高額な手数料が大きな負担となっていました。

こうした市場の独占状態が、消費者の選択肢を狭め、新しいアプリやサービスの参入を妨げているとの批判が高まりました。その結果、政府は競争を促進し、公正な市場環境を整えるために本法が制定されることになったのです。

スマホソフトウェア競争促進法の主な内容

この法律では、特定のソフトウェア事業者に対して、以下のような義務や禁止事項が設けられています。

1. 禁止事項

  • データの不当な利用の禁止
    ユーザーやアプリ開発者のデータを、不公平な形で自社サービスの優位性確保に使用することを禁止します。
  • 不公正な取扱いの禁止
    自社と競合するアプリを不利な条件で扱うことを防ぎ、公正な競争環境を確保します。
  • アプリストア利用の強制禁止
    特定のアプリストアを強制し、他の選択肢を排除する行為を禁止します。
  • 検索結果の不当な操作禁止
    検索結果で自社サービスを優先的に表示し、不当な競争優位を確立する行為を規制します。

2. 事業者が遵守すべき義務

  • データ取得条件の透明化
    どのようなデータが収集され、どのように使用されるのかを明確に公表することが求められます。
  • 標準設定の自由化
    ユーザーが自らの意思でブラウザや検索エンジンなどの標準設定を変更できるようにすることが義務付けられます。
  • 仕様変更の事前通知
    ソフトウェアの仕様変更があった場合、影響を受ける開発者に事前通知を行い、不利益が生じないよう配慮することが求められます。

このように、法律の内容は透明性の向上と市場の公正化を目的としており、ユーザーや開発者の利益を守ることを重視しています。

スマホソフトウェア競争促進法がもたらす変化―ユーザーと開発者への影響

この法律の施行により、ユーザーとアプリ開発者の双方にとって大きな変化がもたらされると予想されています。

ユーザーへの影響

まず、ユーザーは公式アプリストア以外の選択肢を持つことが可能になります。これまで制限されていたサードパーティ(※)製のアプリストアの利用が認められることで、より多様なアプリやサービスを利用できるようになります。(※注釈:特定の企業やプラットフォームに属さない第三者の企業やサービスのこと)

また、アプリ内課金についても、複数の決済手段を選択できるようになるため、手数料の引き下げが期待されます。結果として、ユーザーにとってはコスト削減やサービスの多様化といったメリットが生まれるでしょう。

アプリ開発者への影響

中小のアプリ開発者にとっては、これまで公式アプリストアの厳しい審査や高額な手数料が大きな障壁となっていました。しかし、サードパーティ製のアプリストアが利用可能になれば、より自由な方法でアプリを配信できるようになります。

さらに、外部課金システムの導入が可能になることで、収益の多様化も期待できます。開発者にとっては、これまでのように特定企業の決済手数料を支払う必要がなくなり、より柔軟なビジネスモデルを構築できるようになります。

スマホソフトウェア競争促進法が制定されたの今後の課題と展望

スマホソフトウェア競争促進法は、2025年12月までに施行される予定です。法律が施行されれば、特定ソフトウェア事業者は新たなルールに適応する必要があります。その動向次第では、今後さらに市場環境が変化する可能性もあります。

ただし、サードパーティ製アプリストアの普及には、セキュリティの確保が重要な課題となります。公式アプリストアでは一定の安全基準が設けられているため、代替アプリストアにおいても同様の安全性を担保する仕組みが求められます。また、ユーザーが新しい選択肢に戸惑わないよう、十分なガイドラインの整備も必要でしょう。

法律の施行により、公正な競争環境が整うことは確実ですが、それを活かすためには事業者や政府、そしてユーザー自身の理解と協力が欠かせません。

まとめ:スマホソフトウェア競争促進法によって公正な市場の実現へ

スマホソフトウェア競争促進法は、スマートフォン市場における公正な競争を確保し、ユーザーと開発者双方に利益をもたらすことを目的としています。この法律により、大手企業による市場の独占が緩和され、消費者の選択肢が広がることが期待されます。

今後、法律の運用状況を注視しつつ、より公正で開かれたデジタル市場の実現を目指していくことが重要です。スマートフォンを取り巻く環境がどのように変化していくのか、引き続き注目していきましょう。

 

この記事の監修者
政治ドットコム 編集部
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