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ポピュリズムとは?メリット・デメリットを徹底解説

投稿日2020.5.21
最終更新日2020.07.13

ポピュリズムとは、大衆に迎合し人気を得るタイプの政治姿勢を指します。
しかし、これだけでは具体的なイメージがつかないと思われます。

そこで今回は

  • ポピュリズムの概要
  • メリットやデメリット
  • ポピュリズムと日本の現状

などをご紹介致します。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、ポピュリズムとは


主に一般大衆の利益を守り、大衆指示のもと既存の体制や知識人などのいわゆるエリートと呼ばれる人々に対して批判的な政治的立場を指します。

歴史的には古代ローマの政治家であるガイウス・ユリウス・カエサル、さらにはローマ帝国の初代皇帝であるアウグストゥスなどもポピュリズムとされています。

古代ローマにおいては、元老院と呼ばれる有力者による合議制で統治を行っていました。
そのような時代に、ガイウス・ユリウス・カエサルやアウグストゥスは直接民衆に訴えて市民による投票を呼びかけたのです。

ポピュリズムの走りと言っても良いでしょう。

イタリアのファシズム運動やドイツのナチズムもポピュリズムとされています。
彼らは既存のエリートである大企業や外国資本などを攻撃し、さらに社会主義者や共産主義者、そして知識人をも攻撃対象とします。

一方で、大衆に対しては雇用・労働環境の向上を訴えることで人気を獲得しました。
ポピュリズムは増える傾向にあります。以下の例をご覧下さい。

  • アメリカ・・・トランプ政権
  • イギリス・・・ジョンソン政権
  • フィリピン・・・ドゥテルテ政権
  • ハンガリー・・・オルバン政権
  • ドイツの政党・・・ドイツのための選択肢
  • フランスの政党・・・国民戦線

世界各国でポピュリズム政党が政権を握りつつあります。
特にヨーロッパでは第一党ではないものの、政権に参加しているポピュリズム政党も多くあるのです。

(1)ポピュリズムの特徴

日本でも現在では日本維新の会がポピュリズム政党とされ、一定の支持を集めるに至りました。
国内のポピュリズムの走りは、元首相である小泉純一郎氏であるとされています。

彼のスローガンを見ていくと

  • 「抵抗勢力」
  • 「郵政民営化」

自民党や郵便事業という既成組織の解体を掲げ、反対する人々を抵抗勢力と呼びました。

大衆は、基本的には地位がない人々であり、彼らの意見の代弁者を自称しエリート層や既得権益に対する改革を主張していくことがポピュリズムなのです。

ただしポピュリズム的な考えを持つ政治家すべてが、大衆をバックボーンとしているわけではありません。
トランプ大統領は大富豪です。

維新の会の創設に関わった橋下徹氏は、弁護士でありタレントとしても売れっ子だったので、一般庶民とは言い難いかもしれません。

ポピュリズムにはもう一つの特徴として、カリスマ性があげられます。
ポピュリズム政党の多くは、カリスマ性のあるリーダーがおり積極的に発言します。

時には、かなり過激な発言をすることも珍しくありません。
彼らは大衆の代表であることが必須であり、力強く発信する必要があるためカリスマ性が求められるのです。

(2)ポピュリズムは必ずしも保守的でない

その一方で、ポピュリズムの政策には一貫性が少ないと言われることがあります。
確かに、世界のポピュリズムを見ると保守派が多いのは事実です。

しかし、イギリスのジョンソン氏を始めとして、政策を大衆の考えに合わせて主張を変えることも珍しくありません。

フランスの右派政党でありポピュリズム政党でもある国民戦線は、保守とは逆行する部分もある福祉国家モデルを標榜としています。

さらに右派政党の多くが進める新自由主義にも反対しています。

2、ポピュリズムと民主主義の違い

ポピュリズムと民主主義は、似ているように思う方もいるかも知れません。
民主主義も基本的には、大衆に支持されなければ政策を実行にうつせません。
選挙に勝てなければ議席も取れず、政権も取れないのです。

(1)民主主義の特徴

まずは民主主義について、確認してみましょう。
民主主義とは、国民が主権をもって自分たちの手で政治を行うことを指しています。

民主主義にも2つのタイプがあり、直接民主制と間接民主制があります。

直接民主制とは国民が直接政治に参加するものであり、間接民主制とは国民が代表を選挙で選びその代表者によって政治が運営されるものです。

日本を始めとして、世界の民主主義国家のほとんどが間接民主制を採用しています。

民主主義は国の方向性を、選挙によって選んだ代表者に委ねることになるわけです。
民主主義国家には基本的に議会があり、その議会では多数決による採決によって政策が決まります。

議員を選ぶ時の選挙もそうですが、民主主義では多数決によって物事が決定されるのです。

民主主義は皇帝や王、そして貴族などが市民を無視していた時代の反省から生まれたもの、と言っても過言ではありません。

少数の考えが市民に影響を与えることがないように、民主主義は成立したわけです。
では、具体的にポピュリズムと民主主義にはどのような違いがあるのでしょうか?

(2)相違点

議会制という面では、ポピュリズムも民主主義も違いはありません。

注目してほしいのが、ポピュリズムは大衆主義であり大衆の考えをそのまま政策に活かそうとする傾向にある、という部分です。

①ポピュリズムは急進的な政治になりやすい

移民排斥運動などの政策は、人道的に簡単には受け入れられませんし民主主義でそれらを実現しようとすると非常に時間がかかります。

結果として同じことになったとしても、慎重に議論を重ねる必要があるのです。

ポピュリズムの場合は、大衆の考えを直接吸い上げる傾向にあるため、すぐに政策に活かそうとする傾向にあります。
つまりポピュリズムのほうが、急進的な政治になりやすいわけです。

実際にヨーロッパの一部では移民を排斥する政策を掲げるAfD(ドイツのための選択肢)という政党が支持を伸ばしています。

②政治思想の異なり

ポピュリズムと民主主義の違いとして、政治思想の違いも挙げなければなりません。
民主主義の世界では、保守とリベラル、右と左といった対立構造があります。

保守政党であれば保守的な人々が集まり、革新政党であれば革新的な人々が集まります。
しかし、ポピュリズムには根本となるような政治思想がないことも珍しくありません。

大衆の影響を直接受けることになり、右寄りの政策を訴えたかと思えば、左寄りの政策を訴えることもあるため、やはり悪く言えば一貫性がないのです。

政治思想の違いは選挙運動にも関わってきます。
民主主義では、基本的に右派であれば左派を批判し、左派であれば右派を批判する形になりやすいです。

一方でポピュリズムは政治思想的な対立ではなく、エリート層に対する批判で成り立っています。

③マイノリティに対する考え方

マイノリティへの考え方にも、民主主義とポピュリズムでは違いが出てきます。

民主主義だからマイノリティを優遇するというわけではありませんが、ポピュリズムでは社会的少数者を無視することが多苦なる傾向にあります。

少数民族や移民は、ポピュリズムから攻撃対象になることもあります。
彼らは大衆の支持が重要なので、マイノリティを養護することは少なくなることもあるのです。

社会的多数派(マジョリティ)を重視するのがポピュリズムです。

3、メリット・デメリット

メリット・デメリット
ポピュリズムにはどのようなメリットとデメリット(問題点)が有るのでしょうか?

(1)メリット

  • 国民が政治に積極的に関われるようになる
  • 幅広い政策が発信される
  • 政治への関心が高まる

ポピュリズムには以上の3つのメリットがあります。

国民が政治に積極的に関われるようになります。
ポピュリズムは様々な難しい社会問題を、国民投票などを用いて直接的に解決を図ろうとします。

国民の考えがストレートに政策に活かされるようになるわけです。
幅広い人々が同じ政党に集まる、という部分もメリットの一つです。

既存の多くの政党は、特定の団体に所属していたり、特定の宗教に所属していたり、特定の属性がある人々の集まりです。

それぞれの政党の主張は、彼らの権益に関わるものになっていることが多く、社会全体にとってプラスにならない主張をされる恐れもあります。

一方で、ポピュリズム政党には年齢・性別・地域・宗教・組織などの属性という垣根を越えて人々が集まります。
より幅広い政策が発信されるようになり、政治に大きな変動を促すこともあるのです。

ポピュリズムは大衆の意見を吸い上げる傾向にあるため、多くの人々が問題だと思っていることを取り上げます。
つまり自分考えの代弁者となってくれるので、政治に対する興味関心が高まる傾向にあります。

政治に嫌気が差していた方が、ポピュリズム政党の熱狂的な支持者になる、ということも場合によってはあります。

(2)問題点

  • 社会が分断する
  • 立憲主義が蔑ろにされる
  • 独裁者を生み出しやすい

ポピュリズムには、以上3つのデメリットがあります。

ポピュリズム政党や政治家は、積極的に敵を作ります。
主に敵と味方を区別し争いを煽るような手法を用いるのです。
結果として、社会的な分断が生まれ、根深い対立が残ることもあります。

国家であろうと憲法には逆らえません。
国家の暴走を許さないように憲法の力によって抑えるのが立憲主義です。
状況によってはポピュリズムと立憲主義は敵対してしまうこともあるでしょう。

また、繰り返しになりますが、ポピュリズム政党はカリスマ性のあるリーダーが生まれやすい傾向にあります。

カリスマ性のあるリーダーは独裁的になりやすく、最終的には自分の考え一つで国家を動かすことにつながる可能性もあります。

4、ポピュリズムの台頭

ポピュリズムは世界中に広まっているとされていますが、実際にどのような国で台頭しているのでしょうか?

(1)アメリカの例

世界一の経済・軍事大国であるアメリカでは、トランプ大統領が誕生しました。
彼は既存の共和党という大政党に所属していますが、ポピュリズム的な傾向が強いです。

エスタブリッシュメント(支配者階級)と呼ばれる人々を度々攻撃しています。

大統領を争った民主党のヒラリー・クリントン氏もエスタブリッシュメントとして攻撃を繰り広げ、結果として大衆の支持を取り付けることに成功したのです。

その後は移民に対する強硬な政策なども実行しています。

(2)イギリスの例

イギリスでは、ポピュリズム政党・政治家が力を得たことでEU離脱となりました。
EU離脱キャンペーンを積極的に実施したのは、イギリス独立党です。

イギリス独立党はポピュリズム政党とされ、ファラージ党首の発信力により徐々に力を蓄え、主に白人労働者階級から支持を得るに至りました。

(3)オランダの例

オランダにはポピュリズム政党の自由党があります。
オランダ議会の第二院(150議席)に20議席を獲得しており、一定の力を持っています。

オランダのようなヨーロッパの環境や福祉の先進国では、新しい形態のポピュリズムも生まれています。
自由、人権、男女平等を積極的に推進しようとし、そのためにイスラム排斥運動を実施しているのです。

イスラムは女性を抑圧し、さらに政教分離や個人の自由を認めない「反リベラル的な存在である」と訴えることで一定の支持を得ています。

5、日本とポピュリズムの関係

ポピュリズムが流行る傾向として「経済格差」があります。
つまり大衆の多くが格差を感じ、社会に不満をいだいているとポピュリズムが支持されやすいのです。

日本の財政状態は良いとは言えない状態にあります。
しかしポピュリズム政党が大きく支持を伸ばしていると言うこともありません。

日本でポピュリズムが流行らない理由として考えられるのが、社会保障サービスの充実です。
日本が財政難であることは事実ですが、社会保障サービスについては維持しています。

そのため格差はあるにはありますが、ある程度抑えられてもいるのです。
日本では、中流家庭が圧倒的多数です。

社会に不満を強く抱くような状況ではないため、それほどポピュリズムが流行っていないと考えられます。

しかし、今後日本の格差が大きく広がらないという保証はありません。
ポピュリズムが日本で台頭する可能性も少なからずあるのです。

まとめ

今回はポピュリズムについてお伝えしました。

ポピュリズムとは、一般大衆の利益を守り、大衆指示のもと既存の体制や知識人などのエリート的な人々に対して批判的な立場とる政治姿勢のことです。

ポピュリズムは最近になって生まれたものではありません。
古代ローマはもちろん、ファシズムやナチズムもポピュリズムの一つなのです。

ポピュリズムにはメリットもデメリットもあります。
大衆の声を直接吸い上げる役割があるため、政治が活性化します。
一方で、社会的な分断を招くなどの深刻な問題があることも事実です。

ポピュリズムについて正しく認識し、自分で考えて行動することが大切です。
当記事が、選挙に向けて悩んでいる方の参考になれば幸いです。