住民税非課税世帯とは具体的にどのような世帯なのでしょうか?
ここ最近では、2022年9月に住民税非課税世帯を対象に「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」が給付されました。
今回は以下についてわかりやすく解説します。
- 住民税とは
- 住民税非課税世帯・非課税対象となる条件
- 住民税非課税世帯が受けられるメリットとは
- 臨時特別給付金とは
1、住民税とは
住民税とは地方税の一種で、区市町村民税と道府県民税(都民税)から構成されています。
住民税の金額は、前年の所得額によって決定します。
なお、納付先はその年の1月1日時点での居住地の自治体です。
また、住民税には「個人住民税」と「法人住民税」の2種類があり、その市区町村(都道府県)に住所などがある個人が負担するものが個人住民税です。
この記事では個人住民税に話題を絞ってご説明します。
(1)住民税の金額の決まり方(所得割と均等割)
まずは、住民税の金額の決まり方について見ていきましょう。
住民税は所得割と均等割から構成されており、それぞれを合わせた金額を納付します。
詳しく確認してみましょう。
所得割とは前年の所得から割り出される税額を指します。
所得割における税率は区市町村民税が6%、道府県民税(都民税)が4%の合計10%です。
一方で、均等割とは所得額に関わらず、住民税の課税対象となる人に一律で割り当てられる税額を指します。
2、住民税非課税世帯・非課税対象となる条件
所得や特定の条件を満たす世帯は住民税が非課税となる場合があります。
そのような住民税が課税されない世帯を住民税非課税世帯と呼びます。
(1)住民税非課税世帯の基準
非課税の対象がは以下の3通りに分かれます。
- 所得割のみ非課税対象
- 均等割のみ非課税対象
- 所得割と均等割両方が非課税対象
それぞれ条件があるので詳しく説明します。
住民税が非課税になるには下記のいずれかに該当する必要があります。
①所得割・均等割の両方が非課税対象
下記のいずれかに該当する方は所得割・均等割の両方で非課税対象となります。
- 生活保護の規定による生活扶助を受けている方
- 障がい者、未成年者、寡婦または寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下の方
②所得割のみ非課税対象
前年の総所得金額等の合計額が、次の算式で求めた額以下である方は所得割のみ非課税対象となります。
(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 32万円 + 10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下である方が該当します。)
③均等割のみ非課税対象
前年の総所得金額等の合計額が、次の算式で求めた額以下である方は均等割のみ非課税対象となります。
(1)生計を同一とする配偶者または扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円の金額以下
(2)生計を同一とする配偶者及び扶養親族がいない場合(単身者)
45万円以下
(2)住民税非課税世帯になるための申請方法
住民税非課税世帯になるために特別な申請はありません。
自分で確定申告を行う、会社で年末調整を受ける方法などして、収入の申告をした結果、家族全員の住民税が非課税であれば、住民税非課税世帯となります。
3、住民税非課税世帯が受けられるメリットとは
住民税非課税世帯の場合、さまざまな優遇措置が受けられます。
次は住民税非課税世帯が受けられるメリットを見ていきましょう。
(1)「国民健康保険料」「国民年金保険料」の減免が受けられる
住民税非課税世帯の場合、国民健康保険料の減免を受けることができます。
所得に応じて2割から7割の範囲で国民健康保険の保険料が減免されます。
国民年金保険料に関しても、申請をすれば、原則全額免除になります。
(2)0〜2歳児の保育料が無料になる
住民税非課税世帯に属する0〜2歳児の保育料は無料になります。
上記制度は令和元年10月1日から利用が始まりました。
(3)介護保険料が軽減される
介護保険料は所得や住民税の課税状況等により12段階に分かれています。
住民税非課税世帯に属する場合、負担額は保険料の30%〜70%です。
納付額の詳細はお住まいの地方自治体に確認することをおすすめします。
(4)高額療養費が軽減される
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
70歳未満の住民税非課税者の場合、同じ医療機関で1ヵ月に支払う自己負担限度額が35,400円となります。
厚生労働省保健局
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
4、臨時特別給付金とは
(1)臨時特別給付金の概要
臨時特別給付金とは、様々な面で困難に直面した人が、速やかに生活・暮らしの支援を受けられるように支給される給付金です。
2022年9月、内閣は住民税非課税世帯等に対して、1世帯あたり5万円の臨時特別給付金の支給を閣議決定しました。
この閣議決定は電力・ガス・食料品等の価格高騰による市民の負担増大を踏まえたものです。
2022年9月に支給が決まった臨時特別給付金のことを「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」と呼びます。
(2)臨時特別給付金 (電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金) の申請方法
電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の受給には手続きが必要です。
ご自身の世帯が下記どれに該当するかで必要な手続きが変わります。
- 令和4年度住民税(均等割)が非課税の世帯かつ、世帯の全ての方が、令和4年1月1日以前から現住所にお住まいの場合
- 令和4年度住民税(均等割)が非課税の世帯かつ、世帯の中に、令和4年1月2日以降に転入した方がいる場合
- 予期せず家計が急変したことで収入が減少し、世帯全員が住民税非課税相当となった世帯(家計急変世帯)
詳しくは内閣府が公表している以下のリーフレットをご覧ください。https://www5.cao.go.jp/keizai1/bukkahikazei/pdf/leaflet.pdf
具体的な申請方法や申請書類の郵送時期などはそれぞれの市区町村において設定されます。
そのため、お住まいの市区町村へ問い合わせるのがおすすめです。
(3)臨時特別給付金 (電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金)の申請期限
内閣府が公表している資料によると、申請期限は令和5年1月31日が基本となっています。※現在終了しています
申請方法と同じく、それぞれの市区町村において設定されるため、詳細はお住まいの市区町村へ問い合わせるのが望ましいでしょう。https://www5.cao.go.jp/keizai1/bukkahikazei/pdf/yokuaruotoiawase.pdf
5、まとめ
今回は「住民税非課税」について解説しました。
住民税非課税とは言葉の通り、住民税が課税されないことを指します。
また、住民税が課税されない世帯を住民税非課税世帯と呼び、住民税の納税免除や介護保険料の軽減などの優遇を受けることができます。
2022年9月には、昨今の電力・ガス・食料品等の価格高騰による負担増を踏まえ、住民税非課税世帯等に対して、1世帯あたり5万円の臨時特別給付金の支給を閣議決定しました。
各種給付金の申請方法や金銭的な優遇などは市区町村によって異なる場合があります。
そのため、お住まいの自治体のホームページなどで正しい情報を集めることが重要でしょう。